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家族の安心

親が今も「公務員にしておけば」と言う。安定の中身を数字で返す

約15分で読めます

親の心配する安定の中身を、仕事の見通しと収入、力で伝える親子

帰省のたびに「公務員にしておけば」と言われる人が、安定を続けられる年数・収入・備えの三つの数字に分けて自分の今を測り、転職・資格・現状維持のどれを選ぶかと、親に返す一文を決められます。

※この記事には広告(PR)が含まれます。

この記事を読むと、親の言う「安定」を三つの数字に分けて自分の今を測り、会社を替えるか、学ぶか、今の会社のまま数字で伝えるかを選べます。次の帰省で親に返す一文も、ここで決めます。

「公務員にしておけば」に、なぜ黙ってしまうのか

民間の会社で働いていて、実家に帰るたびに親が言う。「公務員にしておけばよかったのに」。就職して何年もたつのに、今も言われる。言い返す言葉が出ず、黙って食事を続ける。そういう人に向けて書いています。

黙ってしまうのは、言い負かされたからではありません。親の言う「安定」が何を指しているのか、自分の側でも決まっていないからです。中身の決まっていない言葉には、うなずくことも、違うと言うこともできません。

親が「安定」と言うとき、心にあるのはおそらく、子どもが食べていけなくなる心配です。勤め先がなくならないこと。収入が急に減らないこと。年を重ねても働く場所があること。親はそれを「公務員」という一語で言っています。子どもの選んだ道を責めたいわけではなく、心配の言い方がそれしかない、という場合が多いのです。

そこでこの記事では、「公務員か、民間か」を比べません。「安定」を三つの数字に分けて、自分の今を測ります。数字が出れば、返事ができます。

親や周りが勧めた道を選んできて、自分の好みを聞かれると答えられないなら、正解だと言われた道を選んできた人が、昼ごはんから取り戻す話で、7日間、好き・嫌いを1つずつ記録できます。

先に知っておくこと:公務員の給与は、民間の給与を調べて決められている

親に返事をする前に、仕組みを一つだけ確かめておきます。人事院の説明によると、国家公務員の毎月の給与は、次のように決められています(2026年10月11日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。

  • 民間の会社の4月分の給与を調べ、役職、勤務地域、学歴、年齢が同じ人どうしで、国家公務員の給与と比べる。
  • 比べる相手は、企業規模100人以上で事業所規模50人以上の事業所の、事務・技術関係の仕事をしている人。
  • 比べて出た差を埋めることを基本に、人事院が給与の改定を勧告する。
  • ボーナスも、直近1年間の民間の支給の割合に合わせることを基本にしている。

つまり、公務員の給与は民間の給与の動きに合わせて動く仕組みです。民間が下がった時期にはボーナスが引き下げられ(令和2年・3年)、民間が上がっている令和5年以降は、引き上げの勧告が続いています。

この仕組みから言えるのは、「公務員と民間は、別々の世界ではない」ということまでです。どちらが多い、少ないという話ではありません。人事院も、役職や年齢などの人の構成が違うので、平均どうしを単純に並べても水準は判断できないと説明しています。地方公務員の給与については、都道府県や政令指定都市などの人事委員会が、人事院と共同で民間の給与を調べたうえで勧告しています。

だから、親に返すのは「公務員と比べてどうか」ではなく、「自分の今がどうか」です。ここからは、その測り方です。

「安定」を三つの数字に分ける

ここでの三つの分け方は、この記事での整理です。決まった物差しがあるわけではありません。親の心配に一つずつ返事ができるように、こう分けています。

親の心配 数字 測るもの
勤め先がなくならないか 続けられる年数 会社の先行き
収入が減らないか 収入 今の年収と、5年後の見込み
年を重ねても働く場所があるか 備え 会社がなくなっても次に就ける力

一つ目の数字:今の会社で、あと何年続けられそうか

会社の先行きを正しく言い当てることは、だれにもできません。ここでは、見る数字を二つに絞ります。

  • 会社の売上が、この3年で増えているか、減っているか。
  • 自分と同じ仕事をしている人の数が、この3年で増えているか、減っているか。

売上は、会社が外に出している数字で確かめます。上場している会社なら、金融庁のEDINETで有価証券報告書を見られます。上場していない会社は、会社のサイトにある決算公告のページや、社内の会議で示される数字が手がかりです。上場していない会社について外から分かることには限りがあるので、分からなければ「分からない」と書きます。

同じ仕事をしている人の数は、社内にいれば分かります。3年前の部署の人数と今の人数を思い出して書きます。

二つとも増えているなら、続けられる年数を長めに置けます。二つとも減っているなら、不安の印をつけます。片方だけなら、どちらが減っているかを書いておきます。そのうえで、「少なくとも( )年は続けられそうだ」と自分の見立てを書きます。

二つ目の数字:収入は今いくらで、5年後にいくらの見込みか

今の収入は、源泉徴収票の「支払金額」を書きます。1年分の額で、税金や社会保険料が引かれる前の数字です。

5年後の見込みは、次の順で探します。

  1. 会社に賃金の決まり(等級と金額の表など)があれば、5年後に自分がいそうな等級の額を見る。
  2. 表がなければ、5年先に入社した人が今ついている役職と、その役職の手当を手がかりにする。
  3. 会社の外の目安として、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」で自分の仕事の名前を検索し、「年齢別の年収グラフ」を見る。

job tagの年収は、国の賃金の調査をもとにした統計上の平均です(2026年10月11日に確かめた表示です。数字は更新されます)。その年の、年齢ごとの平均を並べたもので、同じ人がこのとおりに上がっていくことを示すものではありません。目安として使います。源泉徴収票もjob tagの年収も1年分の額なので、月の給料の額と混ぜないようにします。

5年後の欄には、「増える見込み」「ほぼ同じ」「分からない」のどれかも、あわせて書いておきます。

三つ目の数字:会社の名前を外して言える力が、いくつあるか

三つ目は、今の会社がなくなっても次の仕事に就ける力です。確かめ方は一つ。会社の名前を使わずに、「自分は( )ができる」と言えるかどうかです。

「(会社名)で営業をしている」は、会社の名前に頼った言い方です。「法人向けに、見積もりから契約までを一人で進められる」は、会社が変わっても通じます。資格の名前、仕事の種類の名前、扱える分野の名前がつくものを数えます。

思いつかないときは、job tagで自分の仕事のページを開き、「どんな仕事?」にある作業の一覧を見ます。自分が今やっている作業に印をつけ、その中から「一人でできる」と言えるものを数えます。

数えてみて0個だった人は、毎週の作業を10個書いて言い直すと、会社の名前なしで言える力が見つかることがあります。

書き込み欄

数字 書き込む所
続けられる年数 売上は3年で(増えている・減っている・分からない)/同じ仕事の人は3年で(増えている・減っている)/少なくとも( )年
収入 今( )万円/5年後の見込み( )万円(増える見込み・ほぼ同じ・分からない)
備え 会社の名前なしで言える力( )個 その一つ目:( )

三つの問いで、自分がどこで止まっているかを見る

書き込んだ紙を見ながら、次の問いに上から答えます。これも、この記事での整理です。

問い① 数字にしたら、会社の先行きに不安が出ましたか。売上も人の数も減っている、5年後の収入が「分からない」のまま、という場合です。

問い② 会社が変わっても通じる力を、一つ言えますか。三つ目の欄が0個の場合や、一つ目が書けなかった場合は「言えない」です。

問い③ 三つとも足りていて、親に伝わっていないだけですか。

答え 原因 進む道
①に「はい」。②は言える A:数字にしたら、今の会社の先行きが本当に不安だった 転職
②に「言えない」 B:会社が変わっても働ける力が足りない 資格
①は「いいえ」、②は言える、③に「はい」 C:数字にしたら足りている。親に伝わっていないだけ 現状維持

①に「はい」で、②も「言えない」という人は、Bから進みます。通じる力を言えないまま会社を替えると、次の会社でも同じ所で不安が残るからです。

ここで一つ気づくことがあります。AとBの人は、親の言葉が耳に痛かったのは、親の言い方のせいだけではなかったということです。自分でもうすうす気になっていた所に、言葉が当たっていました。Cの人は反対に、心配される理由がないのに、それを伝える手立てを持っていませんでした。

Aの人:不安な数字が良い会社へ移る

親の心配は、半分当たっていました。ただし答えは「公務員になり直す」ではなく、「不安な数字が良い会社を選び直す」です。

順番 やること
1 不安な数字を一つに絞る。「続けられる年数」か「5年後の収入」か、より気になるほうを選ぶ
2 その数字が良い会社の条件を、三つまで書く。例:売上が3年続けて増えている/自分と同じ仕事の人を増やしている/5年後の等級と額が決まりとして示されている
3 今の会社で働きながら、条件に合う会社を探す。上場している会社はEDINETで売上の動きを確かめる
4 外から確かめられない条件は、選考の中で会社に聞く項目として紙に書いて持っていく

使うもの:書き込み欄、EDINET、job tag(仕事ごとの求人の賃金や有効求人倍率が載っています)。

詰まる所:先行きの見方が分からない。会社の数字は細かく見ればきりがありません。見るのは、一つ目の数字で使った二つだけにします。売上の向きと、同じ仕事をしている人の数の向きです。今の会社を測ったのと同じ物差しで次の会社を測れば、比べられます。物差しを増やすと、決められなくなります。

親に返す一文:

安定のことは、自分でも数字で調べてみた。今の会社は売上が3年続けて減っていて、そこは心配している。だから、そこが良い会社に移るつもりで、働きながら探している。

会社を移ると話したら「逃げだ」と返されそうな人は、先に『親は「転職は逃げ」と言う。逃げかどうかを自分で決める三つの問い』で、動く理由を自分の言葉にしておけます。

Bの人:会社が変わっても通じる力を、一つ持つ

親の言う安定は「勤め先に持ってもらう安定」です。もう一つ、「自分で持つ安定」があります。会社の名前を外しても言える力のことです。Bの人は、これを一つ作ります。

順番 やること
1 今の仕事に近い分野で、名前のつく力を一つ選ぶ。job tagの自分の仕事のページにある「就業するには?」と「類似する職業」が手がかりになる
2 学ぶ期間と費用を調べて書く。試験があるなら試験の月も書く
3 今の会社で働きながら学ぶ
4 学び終えたら、書き込み欄の三つ目を書き直す

近い分野から選ぶのは、今までの仕事の経験と合わせて説明できるからです。経理の仕事をしている人が会計の資格を取れば、「経験」と「名前のつく力」がそろいます。遠い分野は、経験の積み上げが最初からになります。

使うもの:job tag、学ぶ先の案内、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」。

費用については、雇用保険の教育訓練給付を使える場合があります。対象の講座を受け、条件を満たすと、費用の一部が支給される制度です。確かめられている内容は次のとおりです(2026年10月11日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。

  • 種類は三つ。基本の率は、一般教育訓練が費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練が40%(上限20万円)、専門実践教育訓練が50%(年間の上限40万円)。資格を取って就職した場合などに上乗せがあるものもあります。
  • 働いている人は、原則として、受講を始める日に雇用保険に入っていた期間が3年以上あること。初めて使う人は、一般と特定一般は1年以上、専門実践は2年以上。
  • 特定一般と専門実践は、受講を始める日の2週間前までに、訓練前のキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードを作り、ハローワークで手続きをしておくことが要ります。始めてからでは間に合いません。
  • 対象の講座は入れ替わります。教育訓練講座検索システムで確かめます。

雇用保険に入っていた期間の数え方は人によって違うので、ハローワークで確かめてください。

詰まる所:親に説明しにくい。「資格の勉強を始めた」とだけ言うと、親は「今の仕事がうまくいっていないのか」と受け取ることがあります。先に「安定」という親の言葉を使って説明します。

親に返す一文:

安定って、勤め先に持ってもらうものと、自分で持つものがあると思う。今、( )の勉強をしていて、( )月に試験を受ける。会社が変わっても働けるようにしておくつもり。

Cの人:三つの数字を、親が読める形にする

数字にしたら足りていた人は、会社を替えることも、急いで学ぶことも要りません。足りていないのは、親に届く形です。

順番 やること
1 三つの数字を、紙一枚に三行で書く
2 それぞれの行に「何をもとにした数字か」を一言足す
3 返事の一文を決める
4 言われたときに、その一文を言い、紙を渡す

紙の書き方の例です。

  • 続けられる年数:少なくとも( )年。会社の売上は3年続けて増えている。
  • 収入:今( )万円。5年後は( )万円くらいの見込み。会社の賃金の決まりで確かめた。
  • 備え:( )ができる。会社が変わっても( )の仕事を探せる。

詰まる所:親が聞いてくれない。「何回言えば分かるの」「今の仕事が好きなんだよ」と気持ちから話すと、親は「好きだけでは食べていけない」と心配を重ねます。順番を逆にします。数字を先に、気持ちを後に。「売上は増えている。収入もこうなる見込み。だから続ける。それに、この仕事が好きだから」。同じ中身でも、数字が先にあると、気持ちは裏づけのあるものとして聞こえます。

一度で納得してもらおうとしないことも大事です。親が長く持ってきた考えは、一回の帰省では変わりません。変わらなくても、返事を持っている側は黙らずにすみます。

親に返す一文:

心配してくれてありがとう。今の会社は売上が3年続けて増えていて、収入は5年後に( )万円くらいになる見込み。もし会社に何かあっても、( )の仕事で次を探せる。だから今は、このまま続けるつもり。

転職・資格・現状維持を並べて見る

原因 選ぶ道 合う理由 親に返す一文の芯
A:先行きが本当に不安だった 転職 不安のもとが会社の数字にあり、今の会社にいたままでは自分で変えられないから 不安な数字が良い会社へ移る
B:会社が変わっても働ける力が足りない 資格 不安のもとが自分の側にあり、会社を替えても残るから 安定を自分で持つ
C:足りている。伝わっていないだけ 現状維持 動く理由がなく、足りないのは伝える形だけだから 数字を先に、気持ちを後に

どの一文にも、公務員を低く言う言葉は入れません。「公務員だって大変でしょ」「民間のほうが稼げる」と返すと、話は「どちらが上か」に戻り、親はもう一度同じことを言います。親の心配は「どちらが上か」ではなく「この子は大丈夫か」です。返すのは、自分の数字だけで足ります。

次の帰省までにやること

資格を選んだ人(原因B)

今日は、「自分は( )ができる」を会社の名前なしで一行書いてみます。書けなかった所が、学ぶ分野の入り口です。続けて、job tagで自分の仕事のページを開き、「就業するには?」に出てくる資格や学ぶ分野の名前を一つ書き写します。そのあと、教育訓練講座検索システムでその名前を検索し、学ぶ期間と費用を紙に足します。給付を使うつもりなら、受講を始める日より前に、ハローワークで自分が条件に合うかと、受講前に済ませる手続きを聞いておきます。

学ぶと決めることと、どの講座に申し込むかを決めることは、別の決め事です。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。扱っている資格は講座ごとに決まっています。

  • 向く人:今の仕事に近い分野で、名前のつく力を1つ選び、学ぶ期間と費用を紙に書いた人。
  • 向かない人:三つ目の数字がもう1個以上ある人(原因AかCの手順へ)。給付を使うつもりで、ハローワークにまだ聞いていない人(受講を始める前に聞きます)。
  • 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
  • 使わない場合:教育訓練講座検索システムと本で、同じ手順を進められます。

広告|オンラインの資格講座

資格講座の内容と費用を見る

広告です。受講は有料です。ボタンを押すと、広告主の講座の案内ページに移ります。ページを見るだけでは申込みになりません。

転職を選んだ人(原因A)

今日は、書き込み欄の三つの数字を全部うめます。そのうえで、不安な数字に丸をつけ、「この数字が良い会社」の条件を三つまで書きます。次に、job tagで自分の仕事の名前を検索し、求人の賃金(こちらは月の額です)と有効求人倍率を見て、今の仕事の経験を求めている会社が外にどのくらいあるかの目安をつかみます。応募する会社が上場していれば、EDINETで有価証券報告書を開き、売上の動きを確かめてから応募します。

現状維持を選んだ人(原因C)

今日は、親に返す一文を決めて、声に出して一度読みます。長ければ削ります。次に、三行の紙を書きます。今の会社では、これまでどおり働きながら、「会社の名前なしで言える力」の一つ目を、もう一段くわしく言える形に書き直しておきます。「営業ができる」を「法人向けに、見積もりから契約までを一人で進められる」に直す、という作業です。これは親への返事にも、自分の備えにもなります。

次に実家で「公務員にしておけば」と言われたとき、手元には三つの数字と一文があります。黙って食事を続ける以外の返事が、一つできます。