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家族の安心

実家に会社から電話?一人暮らし1年目。母には自分の口から先に

約13分で読めます

一人暮らしの部屋から、会社に伝える前に母へ退職の予定を話す若い社員

一人暮らし1年目で退職代行を調べ、会社から実家に電話が来るのがこわくて止まっている人へ。電話を止める決まりは見つかっていないので、母に話す日・会社に伝える日・書類が届く時期を1本の線に置いて、先に母に話す記事です。

実家を出て一人暮らし、入社1年目。辞めたいと思って退職代行を調べていたら、「会社が緊急連絡先に電話するかもしれない」という話に行き当たった。入社のときに書いた緊急連絡先は、実家の番号。母に先に知られるのがこわい。休みの日に母から電話が来て、その声で、あの欄に実家の番号を書いたことを思い出した。

この記事を読むと、「会社から実家への電話を止める」ではなく「電話が来ても母がその電話で初めて知ることのない状態を先に作る」と決めて、母に話す日・会社に伝える日・書類が届く時期を1本の線に置いて動けます。

止められるなら話さずに済ませたい、止められないなら話すしかない

止まっている形を言葉にすると、こうなります。会社から実家に電話が来るのを止められるのかが分からず、「辞める前に母に話す」か「話さずに辞める」かを決められない。止められるなら話さずに済ませたいし、止められないなら話すしかない。でも、止められるかどうかが分からないから、どちらにも進めない。

答えを先に書きます。止める決まりは、見つかっていません。だから、止める側ではなく、先に話す側で動きます。

線を引く前に、入社のときの書面で、自分の雇用に契約の期間があるかを見てください。この記事の線は、期間の定めのない雇用(いわゆる正社員など)の人の決まりで引いています。期間が決まっている人は辞め方の決まりが別です。また、法律の説明は2026年10月時点のもので、線を引いたあとに決まりが変わることもあります。動く前に最新の案内を見てください。

会社から実家への電話は、止められるのか

まず、いちばん知りたいことから書きます。

会社が、辞めようとしている人の家族(緊急連絡先)に電話をかけることについて、それを禁じる決まりも、許す決まりも、確かめた範囲では見つかっていません。法律の条文にも、労働局や個人情報の役所の公式な説明にも、この場面を正面から書いたものがありませんでした。

周りの情報として分かっているのは、緊急連絡先というものが、本人に万一のことがあったときの連絡先として集められるのが通常だ、ということまでです。だからといって、退職の場面で会社が実家に電話をすることを「目的外だから違法」と、この記事で決めることはできません。当てはまるかどうかは、個別の判断になります。

退職代行を使った場合も同じです。代行は会社に「本人に直接連絡しないでほしい」とお願いはできますが、それはお願いで、会社を縛る力はありません。代行に頼めば実家に電話は来ない、とは言えないのです。

つまり、「電話を止める」という手は、今のところ確かな形では存在しません。止めようとして止まらなかったとき、母は会社からの電話で初めて知ることになります。

だから、この記事の答えは「先に母に話す」です。電話が来ても、母がその電話で初めて知ることのない状態を、先に作っておく。これなら、電話が来るかどうかで、動く順番を変えずに済みます。

最終日から逆算する線

やることを、1本の線に置きます。線の右端が最終日で、そこから左へ逆算します。

順番 出来事 日付(書き込む) 決め方
① 母に話す日  月 日 ②より前の日
② 会社に伝える日  月 日 ③から逆算。就業規則の申し出の期間があればその日数以上前。なければ2週間以上前
③ 最終日  月 日 自分で決める
④ 書類が届く時期  月ごろ ③のあと。送り先を確かめる

決める順番は、③→②→①です。最終日を先に決めないと、会社に伝える日が決まらず、母に話す日も決まりません。

③ 最終日。 自分で決めます。給料の締め日や、引っ越しの予定があればそれも見ます。

② 会社に伝える日。 期間の定めのない雇用では、退職を申し入れてから2週間がたつと雇用は終わる(民法627条1項)と決められています。就業規則に「1か月前まで」のような申し出の期間があれば、労働局は、それが常識的な長さならまずそれに沿って申し出るほうがもめにくい、と説明しています。2週間は法律上の最低線です。就業規則は、会社が働く人の見られる場所に置くか、書面で渡すか、パソコンなどで見られるようにしておくことになっています(労働基準法106条1項)。見当たらなければ人事に聞きます。

① 母に話す日。 ②より前の日にします。会社に伝えたあとは、いつ電話が来てもおかしくない状態になるからです。前の日でも、1週間前でもかまいません。②より前、という1点だけ守ります。

④ 書類が届く時期。 辞めたあと、会社から書類が届きます。主なものは、離職票と源泉徴収票です。離職票は、会社が辞めた日の翌日から10日以内にハローワークへ手続きをする決まりで、そのあとに本人へ届きます。源泉徴収票は、国税庁の案内では「退職後1月」が交付の期限です。ここで大事なのは、送り先です。会社に届け出てある住所が実家のままだと、書類が実家に届くことがあります。一人暮らしの部屋に届けてほしければ、辞める前に「書類の送り先はこの住所にしてください」と会社に伝えます。急いで辞めても、書類は実家に届くことがある、というのはこのためです。

線はこれで全部です。4つの日付を書き込めば、動く順番が決まります。

母に言う一文

母に話すのは、2つだけです。辞めると決めたこと。会社から電話が来るかもしれないこと。理由の説明は、求められたら1行で足ります。

そのまま口に出せる文例です。

「会社を辞める。手続きは自分でやる。途中で会社から電話が来ても、自分で決めたことだから『本人に聞いてください』と言ってほしい。」

この一文には、母に頼むことが1つだけ入っています。「本人に聞いてください」と言うこと。母に頼むことは1つだけ、と伝わる形にします。

自分の言葉に直して、ここに書いてください。

母に言う一文  

緊急連絡先を自分の携帯番号に変えられるかどうかは、会社の決まりによります。確かめたければ人事に聞きますが、変えられなくても、母に先に話してあれば困りません。変更できるかどうかに、辞める予定を乗せないほうがよいです。

線のどこで止まっているか、3つの問い

ここからは、自分の今の状態を見分けます。3つの問いに答えてください。A・B・Cは、線のどこで止まっているかを見るためにこの記事が分けたもので、診断ではありません。

  1. 母に先に話すこと自体はできるか。電話を止められないのがこわいのと、母に話せないのは、別のことです。
  2. 会社に辞めると伝えること自体はできるか。
  3. 会社の電話がこわいのは、母に知られることか、それとも会社の人と話すことか。

  4. 原因A:会社に伝えることはできる(問い2が「できる」)。母に先に知られるのがこわくて止まっていた(問い3が「母に知られること」)。

  5. 原因B:会社の人と話すこと自体ができない(問い2が「できない」、問い3が「会社の人と話すこと」)。会社から母に電話が行くのも、その延長でこわい。
  6. 原因C:辞めたい理由が、1年目の今の配属や時期のことで、変わる見込みがある。母に話す前に、確かめることが残っている。

問い1が「できない」だった人は、原因の前に、母に言う一文の欄をもう一度見てください。話すのは2つだけで、理由は求められたら1行です。それでも話せない場合は、線の①を「母に話す日」から「母に手紙を出す日」に変えて進む手があります。

原因A:線の①を先に済ませて、自分で伝える

原因Aの人は、会社には伝えられます。止めていたのは、母に先に知られることのこわさだけでした。線を引いた今、母には自分から話すので、母に先に知られる、という形は線の①でなくなります。

手順は、線の①→②→④の順に3つです。

①の日:母に文例の一文を言う。 電話をかけます。「会社を辞める。手続きは自分でやる。途中で会社から電話が来ても、『本人に聞いてください』と言ってほしい。」

②の日:最終日を決めて、会社に伝える。 上司に言います。「○月○日で退職したいと考えています。」口で伝えたあと、同じ日付を書いた退職届を渡します。口頭でも退職の意思表示は有効とされていますが、行き違いを防ぐために書面を残すほうがよい、というのが労働局や自治体の説明です。

④のために:書類の送り先を、自分の部屋に指定する。 退職届を渡すときに、「離職票と源泉徴収票は、この住所に送ってください」と、一人暮らしの住所を添えます。

線が崩れるとしたら、①の電話で母に「辞めるな」と言われる場面です。ここで反対されると、線の②が動きそうになります。動かしません。母に電話をかけた目的は、許しをもらうことではなく、2つのことを先に伝えることでした。「決めたことと、電話が来るかもしれないことを伝えたかった」と、目的に戻します。母の反対で日付は動かさない、と先に決めておくと、電話のあとに迷いにくくなります。

代行に頼んでも、線の①は消えない

原因Bの人の手順に入る前に、代行が線のどこを代わってくれるのかを、はっきりさせます。

代行が代わるのは、線の②だけです。②の「会社に伝える日」が「代行に頼む日」になり、本人が決めた「○日で辞める」を代行が会社に届けます。それが、弁護士でない退職代行にできることのすべてです。

線の①(母に話す日)は、代行が代わってくれません。代行は会社に「家族に連絡しないでほしい」とお願いはできますが、止める力はないからです。①は自分の口で、②より前に置きます。

線の④(書類が届く)も、代行が代わってくれません。送り先の希望を代行に伝えてもらうことはできますが、どう扱うかは会社の対応によります。届いた書類を受け取り、健康保険と年金を切り替え、会社から本人や実家に来た連絡に答えるのは、自分です。

もうひとつ、線の外のことです。退職日や有給の条件、お金のことを会社と話し合うのは法律の仕事に当たり、弁護士でない人が報酬を受け取って行うと弁護士法72条の問題になります。弁護士会や労働委員会が、この点について注意を呼びかけています。条件やお金で困ることがあれば、代行ではなく、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)や労働基準監督署へ、自分で相談します。

代行に頼むか、人事に退職届を渡すか郵便局から送るか。②を自分の声でやらない方法は、この2つがあります。後のほうには代行の費用がかかりません。代行の費用は、頼む前に自分で見て、線の②の横に書いておきます。

②の横に書く、自分が見た費用     円

原因B:①を②より前に置き直して、代行に頼む

原因Bの人は、会社の人と話すこと自体ができません。実家への電話がこわいのも、その延長です。この人の線は、原因Aの線と同じ形で、②が「代行に頼む日」になります。①が②より前にある、という形は変わりません。

頼む前に決めること(4つ)

決めること 書き込む欄
母に先に話す日(線の①)  月 日(頼む日より前)
最終日(線の③)  月 日
書類の送り先(線の④) 一人暮らしの住所/実家
貸与品(鍵、社員証など)の返し方 郵送/人事に渡す

頼む。 決めた4つを渡します。代行は、本人が決めた意思を会社に伝えます。書類の送り先も、このときに伝えてもらいます(送り先をどう扱うかは会社の対応によります)。

頼んだあとは、線の④の前後で動く。

④の前、つまり書類が届く前にやるのは、退職届を郵便局から送ること(最終日を書き、日付を入れる)と、貸与品を返すことです。

④で、離職票と源泉徴収票を受け取ります。届かなければ、離職票はハローワークに申し出られ、源泉徴収票は税務署に届け出られます。実家に届いてしまったら、母に「封筒が届いたら教えてほしい」と、①の電話で言い添えておくと、慌てません。

④のあと、健康保険と年金を切り替えます。期限が短い手続きがあるので、最終日の翌日には市区町村の窓口で聞きます。

線のどこかで、会社から電話が来ることがあります。本人に来たら、「退職の意思は伝えたとおりです」と同じことをくり返します。実家に来たら、①で頼んだとおり「本人に聞いてください」と言ってもらう形です。母がどう答えるかまでは決められませんが、①で先に話してあれば、母がその電話で初めて知ることはありません。

線が崩れるとしたら、「代行に頼めば実家に電話は来ない」と思っていた、という点です。頼めば止まると思っていたから、母に話す日を線に置いていなかった。代行は会社を縛れません。母に先に話す日を、頼む日より前に置き直します。これで、電話が来ても来なくても、母がその電話で初めて知ることはなくなります。

原因C:母に「○日に決める」と先に言って、1つ確かめる

原因Cの人は、辞めたい理由が、1年目の今の配属や時期のことで、変わる見込みがあります。母に話す前に、確かめることが残っています。

期限は、上司との面談か、配属の見直しの時期です。会社に面談や見直しの時期がなければ、自分で日付を決めてカレンダーに書きます。

条件は、変わってほしいことを1つ、上司に聞くことです。「今の配属のことで(時期のことなら、その時期のことで)、○月ごろまでに変わる見込みはありますか。」

そして母には、先にこう話します。「仕事のことで迷っている。○日に決める。」辞めるかどうかはまだ言わなくてよいのですが、迷っていることと、決める日は先に言っておきます。期限の日に辞めると決めたら、原因AかBの線に入り、①の電話をかけます。そのとき母はもう「迷っている」ことを知っているので、その電話で初めて知る、という形にはなりません。

線が崩れるとしたら、母に心配をかけたくなくて、「迷っている」すら話せないことです。でも、比べてみてください。「迷っている。○日に決める」を先に聞いているのと、ある日会社から実家に電話が来て初めて知るのと、どちらが母にとって驚きが大きいか。先に話すほうが、母の驚きは小さくなります。心配をかけない手は、話さないことではなく、先に話すことです。

線の①はどの道にもある。違うのは②だけ

3つの道を線で見ると、形がそろいます。

原因Aの線は、①母に話す→②自分で会社に伝える→③最終日→④書類が自分の部屋に届く。
原因Bの線は、①母に話す→②代行に頼む→③最終日→④書類が届く。
原因Cの線は、①母に「○日に決める」と話す→期限の日に決める→そこからAかBの線に入る。

どの線にも①があり、①は②より前にあります。違うのは②のやり方だけです。自分の声で伝える②は費用がかからず、これが基本の形です。代行の②は、会社の人と話すこと自体ができないときに②を代わってもらう手段で、①や④を代わる手段ではありません。Cの線は、期限の日付が入って初めて線になります。

今日、線に書き込む1か所

  • 原因Aの人:母に言う一文を、1行書く。文例を自分の言葉に直す。
  • 原因Bの人:線の①に、母に話す日を書く。頼む日より前の日付を入れる。
  • 原因Cの人:上司に聞くことを、1つ書く。配属のことか、時期のことか。

線の1か所を埋めるだけで、残りの日付は自然に決まっていきます。

母に電話をかける日

線の①の日。母に電話をかける。会社より先に、自分の口から「辞める」と言う。「手続きは自分でやる。会社から電話が来たら、本人に聞いてくださいと言ってほしい。」

母は、聞く。反対するかもしれないし、心配するかもしれない。でも、知っている。

あとで会社から実家に電話が来るかもしれない。来ないかもしれない。どちらでも、母はもう知っているので、その電話で初めて知る、ということは起きません。

②を自分の声でやった人も、代行に頼んだ人も、①のこの電話は同じです。原因Cの人は、先に「○日に決める」と言っておいて、その日が来て決めたら、同じ電話をかけます。