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家族の安心

内定より親への報告が怖い。転職を伝える順番と、最初の一文

約15分で読めます

親への転職報告を始める前に、電話と伝える内容を準備する手元

内定は出たのに、親への電話ができない人へ。伝える4つの順番と最初の一文、「続くのか」「給料は」への答え方を文例つきで書きました。電話の前に何を済ませるかを、3つの問いで決められます。

この記事を読むと、転職を親に伝えるときの順番と最初の一文、聞かれそうなことへの答えが決まります。あわせて、今日電話をかけてよいのか、その前に済ませることがあるのかも決められます。

内定の知らせは届いた。それなのに実家の番号が押せない

応募した会社から、内定の知らせが届いた。うれしいはずなのに、次に浮かんだのは親の顔だった。実家の番号を画面に出して、押せないまま閉じる。夕食のあとにもう一度出して、また閉じる。

選考のあいだは、やることがはっきりしていました。書類を出し、日程を合わせ、聞かれたことに答える。ところが親への報告には、決まった形がありません。何から話すか、どこまで話すか、反対されたらどうするか。どれも決めていないまま電話をかけようとするので、手が止まります。

止まる理由は、人によって違います。話す中身はそろっていて、親の反応だけが怖い人。「続くのか」と聞かれたら答えられない人。そもそも内定を受けるかどうかを、自分の中で決め切れていない人。この3つでは、電話の前にやることが違います。

そこでこの記事では、先に自分がどれに当たるかを見分けます。そのあとで、伝える順番と文例、原因ごとの進め方を書きます。

電話の前に、自分に聞く3つの問い

次の3つに、声に出して答えてみてください。紙に書いてもかまいません。なお、この分け方は研究などで決まったものではなく、この記事での整理です。

  1. 決めた理由を、一文で言えるか。「今の会社が嫌だから」ではなく、「次の会社で何が変わるか」で言えるかを見ます。
  2. 「続かなかったらどうする」に、答えがあるか。親に聞かれる前に、自分がこの問いで言葉につまるかどうかを見ます。
  3. 内定を受けることを、自分の中で決め切れているか。返事をまだしていない、または返事はしたが迷いが残っている、という状態でないかを見ます。
答え 当てはまる原因 電話の前にやること
3が「いいえ」 C:自分でも決め切れていない 親に話す前に、自分で決める
3は「はい」で、2が「いいえ」 B:「続くのか」への答えがない 答えを用意してから話す
3つとも「はい」 A:理由は言える。怖いのは親の反応だけ 順番を決めて話す

見る順番は、3、2、1です。3が「いいえ」なら、1や2に答えられてもCとして進めます。決め切れていないことを親に話すと、親の意見で決まってしまい、あとで「自分で決めた」と言えなくなるからです。

1だけが「いいえ」の人は、このあとの「②理由は1つだけ」を読んで一文を作ってみてください。作れたらAです。作れなかった場合は、Cとして進めます。

親に伝える4つの順番

AとBの人は、最後は親に転職を話します。そのときの順番を先に決めておきます。順番は、①決めたこと、②理由、③暮らしがどう変わるか、④親の心配を聞く、の4つです。

この順番にする理由は2つあります。1つは、最初に結論を言わないと、親は「相談された」と受け取り、止めるための話を始めるからです。もう1つは、親に伝わりにくいのは仕事の細かい中身で、伝わりやすいのは暮らしの話だからです。新しい仕事の中身は、同じ仕事をしていない親には想像しにくいものです。お金、住む場所、働く時間なら、親も自分の経験と比べて聞けます。そこで理由は短くし、暮らしの話に時間を使います。

①決めたこと:最初の一文

最初の一文には、「転職する」「決めた」「いつから」の3つを入れます。

「報告があって電話した。転職することに決めた。( )月から、新しい会社で働く。」

避けたいのは、「ちょっと相談があって」「転職しようかと思っていて」という入り方です。決めたことなのに相談の形で話すと、親は意見を言う役になります。意見を聞いたあとで「でも決めたから」と返すと、親は「聞いておいて聞き入れなかった」と感じます。決めているなら、決めたと言うほうが、親にとっても話が分かりやすくなります。

入る日がまだ決まっていない場合は、「入る日はこれから決まる。決まったらまた知らせる」と足します。分からないことを分からないと先に言っておくと、あとで聞かれたときにあわてずに済みます。

②理由は1つだけ

理由は1つにします。3つも4つも並べると、親はその中でいちばん弱く聞こえるものを取り上げて、「それくらいで辞めるのか」と返しやすくなります。1つなら、話はその1つについてだけになります。

理由は、今の会社への不満ではなく、次の会社で変わることで言います。不満で言うと「どこへ行っても同じだ」と返されやすく、「前の会社に悪くないか」という話にもつながります。

「理由は1つ。(  )の仕事を中心にやりたい。今の会社ではそれが仕事全体の( )割くらいで、次の会社ではそれが中心になる。」
「理由は1つ。帰る時間を( )時までにしたい。今は( )時を過ぎる日が多くて、次の会社は終わりの時刻が( )時と決まっている。」

書いてみて一文にならないときは、3つ目の問いに戻ってください。理由が言葉にならないのは、話し方がまずいからではなく、まだ決め切れていないからかもしれません。

③暮らしがどう変わるか:お金・住む場所・働く時間

ここが、いちばん長く話すところです。お金、住む場所、働く時間の3つを、今と転職したあとで並べます。電話の前に、次の表を埋めておきます。

項目 今 転職したあと
毎月の給料(税金などが引かれる前) ( )円 ( )円
賞与 ( ) ( )
住む場所 ( ) 変わらない/( )へ引っこす
通う時間 片道( )分 片道( )分
働く時間 ( )時から( )時 ( )時から( )時
休み ( ) ( )

「転職したあと」の列は、内定先から受け取った書面を見て書きます。会社は、働く契約を結ぶときに、給料や働く時間などの条件を働く人に示さなければならないと、労働基準法で決まっています。契約の期間、働く場所と仕事の中身、始まりと終わりの時刻、休み、給料の決め方と支払いの時期、退職に関することは、書面で示すものとされています(本人が望めばメールなどでも示せます)。これは2026年10月11日に確かめた決まりで、今後変わることがあります。

賞与のように、会社に決まりがある場合にだけ示される項目もあります。書面をまだ受け取っていない、または表の中に書けない項目があるときは、内定先の担当の人に聞いてから親に話します。そうすれば、③の途中で言葉につまりません。

給料が下がる場合は、下がると言います。隠して話すと、あとで分かったときに、転職そのものよりも「言わなかったこと」が話の中心になります。下がる額と、それでも暮らせる理由(家賃、毎月残るお金)を数字で言えれば、親は自分で計算して確かめられます。

「給料は月に( )円くらい下がる。家賃は今と同じで、毎月( )円は残る計算になっている。」
「住む場所は変わらない。通う時間は片道( )分になる。」
「働く時間は( )時から( )時。帰りは今より( )時間くらい早くなる。」

引っこす場合は、どこへ、いつごろ、実家からの行き来に何時間かかるかを足します。親にとっては、子どもに会える回数が変わる話だからです。

④親の心配を聞く

①から③を言い終えたら、自分から聞きます。

「ここまでが決めたこと。心配なことがあったら聞かせてほしい。」

ここで聞くのは、決めたことを変えるためではありません。親が何を心配しているかを知るためです。心配の中身が分かれば、答えられるものには答え、答えられないものは「入ってから分かったら知らせる」と言えます。聞かずに電話を切ると、親の心配は残ったままになり、次の電話や、実家に帰ったときに同じ話がもう一度始まります。

親が強い言葉で反対したときも、言い返す前に「何がいちばん心配か、1つ教えて」と聞きます。心配を1つにしぼってもらうと、何に答えればよいかがはっきりします。

親が聞きそうな3つのことと、答え方

親が聞くこと 答えの形 文例
「続くのか」 「続く」と約束はしない。続けるために自分がやることを言う 「続けるつもりで決めた。最初に任されるのは(  )で、入るまでに(  )を学んでおく。」
「給料は」 ③の表の数字をそのまま言う 「月に( )円。今より( )円(上がる/下がる)。賞与は( )。」
「前の会社に悪くないか」 良い悪いではなく、辞めるまでの予定を言う 「辞める日は上司と話して決める。引きつぎは( )月( )日までに終える予定にしている。」

「続くのか」に対して「大丈夫」とだけ答えると、親は「なぜ大丈夫と言えるのか」を聞いてきます。先のことは約束できません。約束の代わりに、続けるために自分がやることを言います。ここで言えることが何もない人が、原因Bです。

「前の会社に悪くないか」は、親が自分の働いてきたころの感じ方から聞いていることがあります。良いか悪いかを言い合っても、答えは出ません。いつ辞めるか、引きつぎをどうするかという予定を伝えます。辞める日や引きつぎの進め方は会社との話し合いで決まるので、まだ決まっていなければ「これから上司と決める」と言えば足ります。

原因ごとの進め方

A:理由は言える。怖いのは親の反応だけ(転職の報告として話す)

話す中身はそろっています。足りないのは、順番と、言い負かされそうになったときに戻る場所です。

  1. 最初の一文を紙に書く。
  2. 同じ紙に、②の理由、③の表、「親が聞きそうな3つ」への答えを書く。
  3. 電話をかける時間を決める。親が食事や仕事で急いでいない時間を選び、「今、10分くらい話せる?」と聞いてから始める。
  4. ①、②、③、④の順に話す。
  5. 反対されても、決めたこととして伝えて終える。

使うもの:紙1枚と、内定先から受け取った書面。

詰まる所:言い負かされる。親が次々に心配を挙げ、1つずつ答えているうちに「もう少し考えたら」と言われて、うなずきそうになる。

次の手:最初の一文に戻ります。

「心配してくれているのは分かった。そのうえで、転職することは決めた。( )月から新しい会社で働く。」

親をその場で納得させることを、電話の目標にしません。今日の電話で終えることは、「決めたことを知らせる」と「心配を聞く」の2つです。親が受け入れるまでには、親の側で時間がかかることがあります。その日に分かってもらえなくても、報告は済んでいます。「今日はここまでにする。入る日が決まったら、また電話する」と言って切ってかまいません。

反対されたまま電話を終えることに気が引ける人は、次に知らせることを1つ決めておきます。入る日、最初の給料日、引っこしの日などです。次に話す用事があれば、電話を切ることが話の終わりにはなりません。

親から「逃げだ」と言われて決めたことが揺れた時は、辞めたい理由を三つの問いで確かめ直す方法で、自分の答えを見返せます。

B:「続くのか」への答えがない(入るまでに学ぶものを1つ決める)

内定を受けることは決めている。けれど「続くのか」と聞かれると黙ってしまう。これは親が怖いのではなく、次の仕事でやっていけるかという自分の不安が、親の問いの形で出てきている状態です。この不安を残したまま電話をすると、「続くのか」のところで答えが止まり、親の心配が大きくなります。

  1. 不安な点を1行で書く。「(  )ができるか分からない」の形にする。「なんとなく不安」のままでは、学ぶものが決まらない。
  2. 次の会社で最初に任されることを確かめる。
  3. 1と2が重なるところから、入るまでに学ぶものを1つ決める。
  4. 決めたことを、4つの順番の中で親に伝える。

使うもの:厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」。職業の名前で調べると、その仕事でどんな作業をするかの一覧や、求められる知識などが載っています(2026年10月11日に確認。内容は更新されることがあります)。載っているのはその職業の一般的な内容なので、内定先での仕事とは違う部分もあります。

詰まる所:何を学べばよいか分からない。

次の手:最初に任されることを、内定先の担当の人に聞きます。

「入社までに準備をしておきたいので、教えてください。入ってから最初の3か月ほどで任される仕事は、どのようなものでしょうか。先に学んでおくとよいことがあれば、あわせて教えてください。」

学ぶものを1つにするのは、入るまでの時間が限られているからです。2つ3つと手を広げると、どれも途中になり、「続くのか」への答えになりません。

資格の勉強を選ぶ場合も、その資格で学ぶ中身が、最初に任される仕事で使う知識と重なっているかを先に見ます。名前のよく知られた資格でも、最初の仕事で使わないものは、入ってからの不安を小さくしません。入る日までに試験を受けられなくても、かまいません。親に伝えるのは「受かった」ではなく、「何を学ぶと決めて、もう始めている」だからです。

「続くかどうかは、やってみないと分からない。ただ、最初に任されるのは(  )だと聞いている。入るまでに(  )を学ぶことにして、もう始めている。」

C:自分でも決め切れていない(先に自分で決める)

3つ目の問いが「いいえ」の人は、親に電話をする前に、自分で決めます。親に話しにくいのは、親が怖いからではなく、話す結論がまだないからです。

  1. 返事の期限を確かめる。内定の知らせに書いていなければ、担当の人に「お返事はいつまでにすればよいでしょうか」と聞く。
  2. 今の会社と内定先を、理由・お金・時間の3つで比べる。
  3. 期限の前に決める。
  4. 断る場合は、期限の前に内定先へ伝える。
比べること 今の会社 内定先
理由(そこで働く理由を一文で) (  ) (  )
お金(毎月の給料、賞与) (  ) (  )
時間(働く時間、通う時間、休み) (  ) (  )

詰まる所:表を埋めても決まらない。理由は内定先が上、お金は今の会社が上、というように行ごとに勝ち負けが分かれる。

次の手:「これだけは譲れない」を1つ選びます。理由・お金・時間の3つのうち、1つしか守れないとしたらどれを守るか。選んだ行で上になっているほうを取ります。3つを同じ重さで見ているあいだは、どちらにも良い点と悪い点があるので決まりません。

比べた結果、今の会社に残ると決めたら、内定先に断りを伝えます。

「内定のご連絡をありがとうございました。よく考えた結果、今回はお受けしないことに決めました。選考にお時間をいただいたのに、申し訳ありません。」

断る理由を細かく説明しなくても、失礼にはなりません。大事なのは、期限の前に、受けないことをはっきり伝えることです。

残ると決めた場合、親には話さなくてもかまいません。話すなら、「ほかの会社から内定をもらったが、比べて今の会社に残ると決めた」という報告になります。残ったあとは、表の「今の会社」の列で、内定先より下だった行を1つ選びます。それが、今の職場で変えたいことです。時間の行なら、帰る時刻について上司に話す、という進め方になります。

比べた結果、内定先を選んだ人は、もうCではありません。3つの問いをもう一度やり直してください。

資格・転職・現状維持のどれが合うか

原因 合う道 選ぶ基準
A:怖いのは親の反応だけ 転職(内定を受けて、4つの順番で報告する) 3つの問いに全部「はい」と言える
B:「続くのか」への答えがない 資格(入るまでに学ぶものを1つ決め、それを添えて報告する) 受けると決めているが、続けるためにやることを1つも言えない
C:自分でも決め切れていない 現状維持(比べたうえで、今の会社に残る) 返事を決め切れず、比べたら譲れない1つで今の会社が上だった

AとBは、どちらも新しい会社に入ります。違うのは、電話の前に何を用意するかです。Aは順番と一文、Bは学ぶものです。Bの人がAのやり方だけで電話をすると、「続くのか」で止まります。Aの人がBのやり方を足す必要はありませんが、足しても困ることはありません。

Cの人が、決め切れないままAのやり方で電話をするのは、すすめません。最初の一文で「決めた」と言ってしまうと、あとで自分の考えが変わったときに、親にも内定先にも言い直すことになります。

選んだ先で、今日やること

転職を選んだ人(A):最初の一文を書く

紙を1枚出して、いちばん上に最初の一文を書きます。「転職することに決めた。( )月から新しい会社で働く。」その下に、理由を1つ、③の表、親が聞きそうな3つへの答えを書き足します。書き終えたら、電話をかける時間を決めます。紙は電話のあいだ、手元に置いておきます。話がそれたら、いちばん上の一文を読み直します。ここまでは、自分ひとりで今日のうちにできます。

資格を選んだ人(B):不安な点を1行で書く

「(  )ができるか分からない。」と1行で書きます。書けたら、job tagで次の仕事の職業名を調べ、作業の一覧の中から、その1行に近いものを探します。近いものが見つかれば、それが学ぶものの候補です。見つからなければ、最初に任される仕事を内定先の担当の人に聞く文を、今日のうちに書きます。学ぶ方法は、本でも、公開されている教材でも、講座でもかまいません。入る日までの週の数と、1週間に使える時間を先に書いておくと、その時間に収まるものを選べます。

現状維持になるかもしれない人(C):返事の期限を確かめる

内定の知らせをもう一度開き、返事の期限が書いてあるかを見ます。書いていなければ、担当の人に聞く一文を送ります。期限が分かったら、その日付を比べる表の上に書きます。表を埋めるのは、そのあとです。期限が分からないまま比べ始めると、決める日が決まらず、親にも内定先にも何も言えない日が続きます。

親への電話は、3つの原因のどれであっても、自分の中の準備が済んでからで間に合います。紙に書いた一文があれば、電話の画面を開いたとき、次に何を言うかはもう決まっています。