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家族の安心

辞めたら寮も出る新卒。次の部屋の鍵を受け取ってから、寮の鍵を返す

約12分で読めます

新しい部屋の鍵で扉を開け、寮の鍵は別に持っている新卒社員

会社の寮に住む新卒1年目が辞めたいと思ったとき、退職日と退去日を別に置く方法。確かめること・渡すもの・受け取るもの・次の部屋の書類の四つの一覧に印をつけ、次の部屋の鍵を受け取る日から逆に辞める日を決めます。

この記事を読むと、寮の規程と手続きの一覧に印をつけながら、退職日と退去日を別に置き、次の部屋の鍵を受け取る日から逆に辞める日を決められます。

辞めたいと思った夜、この部屋が会社のものだと気づいた

新卒で入って1年目、会社の寮に住んでいる人の話です。会社が借り上げた部屋で、家賃は給料から引かれています。実家は遠く、戻る選択は考えていません。

辞めたい、と思いました。そのあとで、今いるこの部屋が会社のものだと気づきました。辞める日が引っ越す日になるとしたら、次の部屋を決めて、初期費用を払って、荷物を運ぶ日が、全部その前に要ります。寮の規程は読んだことがなく、退去までに何日あるのかも知りません。

ここで止まっている理由は、はっきりしています。退職日と退去日を別に考えていないので、辞めることが「住む所がなくなること」としか見えず、どちらの日付も決められないのです。

この記事は、期間の定めのない雇用で働いている人に向けて書いています。契約期間を決めて働いている人は、辞めるときの決まりが別(民法628条)になります。

退去までの一覧に、済んだものから印をつける

寮を出るまでにやることを、四つの一覧にします。済んだものから印をつけてください。印がつく順番は人によって違います。全部に印がつく前に、退職日を決める必要はありません。

一覧1 確かめること

確かめること 分かったこと 印
寮の規程に書かれた、退去までの猶予(出るまでに待ってもらえる日数)  日
家賃が給料から引かれる、最後の月  月分まで
敷金のような預け金があるか、あるなら精算の方法
鍵と備品の返し方(誰に、どこで)
郵便物の転送(郵便局での手続き)

一覧1の一行目が、この記事の要です。寮を出る時期は、法律で一律に決まっているわけではありません。会社の寮の規程や、使用の契約によります。都道府県の労働相談の説明では、多くの会社が規程で30日から3か月ほどの猶予を設けているとされていますが、これは国の説明ではなく、あなたの会社の日数は規程を見るまで分かりません。だから、一行目を埋めるまでは、どの日付も仮です。

一覧2 会社に渡すもの

渡すもの 渡す相手 印
退職届(退職日を書く)
寮の退去届(退去の希望日を書く)
鍵
社員証と備品

退職届と退去届は、別の書類です。退職日と退去日が別の日になりうる、ということが、この二枚が別である理由です。

一覧3 会社から受け取るもの

受け取るもの 受け取る時期 印
離職票
源泉徴収票(退職後1月が交付の期限)
退職証明書(請求したときに出る。労働基準法22条1項)
預け金の精算の明細

退職証明書は、自動では出ません。本人が請求したときに、会社がすぐに出す書類です。次の部屋の契約で求められることがあるかは会社や物件によるので、要りそうなら早めに請求しておきます。離職票は、会社が手続きをしない場合でも、ハローワークに申し出れば本人の請求で手続きが進みます。

一覧4 次の部屋のためにいる書類

書類 用意できる時期 印
収入が分かる書類(在職中のほうが用意しやすい) 在職中
本人確認の書類 いつでも
緊急連絡先 いつでも

一覧4は、在職中のほうが用意しやすいものを先に置いています。辞めたあとに「収入が分かる書類」をそろえるのは、辞める前より難しくなります。部屋を探すなら、辞める前に動く理由がここにあります。

日付を三つ置く

四つの一覧の下に、日付を三つ置きます。

日付 日
① 次の部屋の契約日  月 日
② 次の部屋の鍵を受け取る日  月 日
③ 寮の鍵を返す日  月 日

退職日は、この三つを見てから決めます。順番は①→②→③で、②が③より前にあることが、この記事の答えです。次の部屋の鍵を受け取ってから、寮の鍵を返す。退職日は、③と、一覧1の猶予の日数から、逆に数えて置きます。

期間の定めのない雇用では、退職の申し入れをした日から2週間がたつと雇用が終わります(民法627条1項)。これは法律上の最低線で、就業規則に申出の期間があり、それが常識的な長さなら、それに合わせて申し出るほうがもめにくいです。退去の猶予が「退職日から○日」と書かれているなら、退職日を決めると③の上限が決まります。③を先に決めたい人は、猶予の日数を逆に引いて、退職日を出します。

ここに書いた決まりは2026年10月時点のものです。法律や制度、会社の規程は変わることがあります。

三つの日付で、原因を決める

この原因の分け方は、この記事での整理です。診断ではありません。

問い① 寮の規程に猶予の日数があり、上司に辞めると伝えることはできるか。
規程に日数があって、伝えること自体はできる。そうなら、止まっていたのは日付の置き方を知らなかったことだけです。

問い② 伝える相手の上司が同じ寮に住んでいて、伝えたあとも顔を合わせるのが無理か。
辞めると言った翌日も、廊下や食堂でその上司と顔を合わせる。それを思うと、最初の一言が出ない。そうなら、止まっているのは言う場面です。

問い③ 次の部屋のめど(物件・初期費用)が、まだ何もないか。
物件も見ていない、初期費用もいくら要るか知らない。そうなら、止まっているのは退職の話より前の、住まいのめどです。

原因 中身 道
A 規程に退去の猶予があり、上司に伝えることはできる。日付の置き方を知らなかっただけ 自分で伝える
B 伝える相手の上司が同じ寮に住んでいて、辞めると言ったあとも毎日顔を合わせる。言う場面を作れない 退職代行を使う
C 次の部屋のめどがない。初期費用も、物件も決まっていない 今は残る(期限と条件つき)

二つ以上に当てはまると感じたら、問い③を先に見てください。次の部屋のめどがないまま退職日を決めると、退去日だけが先に確定します。

原因A:猶予を確かめて、二つの日付を自分で出す

Aの人は、伝えることはできます。知らなかったのは、退職日と退去日を別に置く、という日付の置き方だけです。

手順1 一覧1を、総務で確かめる。
寮の規程を総務にもらい、猶予の日数の行に印をつけます。就業規則は、見やすい場所への掲示や書面の交付などで、働く人が見られるようにしておく決まりがあります(労働基準法106条1項)。寮の規程が就業規則とは別の文書になっている会社もあるので、「寮の規程を見たい」と伝えてください。

手順2 次の部屋の鍵を受け取る日(②)を決める。
物件が決まっているなら、契約日と鍵の受け取り日を不動産の窓口で確かめます。まだなら、一覧4の書類をそろえて探します。

手順3 退職日と、退去の希望日を書いた退職届と退去届を出す。
退職日は、就業規則の申出期間に合わせた日。退去の希望日は、②より後で、規程の猶予の中に入る日。二枚を同じ日に出します。口で伝えるだけでも退職の申し入れは成り立ちますが、あとで「聞いていない」と言われないように書面で出すほうが望ましい、と労働局は説明しています。

手順4 鍵を返す日に、備品の一覧と一緒に返す。
備品の一覧は、一覧2の四行目を使います。返した日付を書いた控えを、自分でも持っておきます。

詰まる所と次の手。
「退職日に出てほしい」と言われたとき。規程に猶予の日数があるなら、その行を示して、相当の期間を話し合います。規程に猶予が書かれていない場合は、こう考えてください。都道府県の労働相談の説明では、寮の貸し方(賃貸借か使用貸借か)によって扱いが変わり、使用貸借なら労働契約が終わると明け渡す義務を負うのが通常とされていますが、規程で猶予を設ける会社が多く、短い期間を求められても相当の期間を話し合うことを勧めています。自分の寮がどちらの貸し方に当たるかは個別の判断で、この記事では決められません。これを頭に置いて、総務と日程を決め、決まらないときは総合労働相談コーナーへ。費用はかからず、予約もいりません。

最初の一手。
寮の規程を総務にもらい、猶予の日数の行に印をつける。今日は、もらうところまでです。

退去日は、代行には頼めない

Bの道に進む前に、寮に住んでいる人が特に知っておくことを一つ。退去の日の相談は、代行には頼めません。

代行に頼めるのは、本人が決めた退職の意思を会社に伝えることだけです。寮をいつ出るか、預け金をどう精算するか、最後の給料をどうするか。こうした条件やお金の話し合いは法律事務に当たり、弁護士でない人が報酬を受けて扱うことは弁護士法72条で禁じられています。弁護士会や労働委員会が、この点について注意を呼びかけています。

だから、退去の希望日は、代行ではなく自分が総務に書面で伝えます。退職の一言を代行に頼んでも、一覧2の退去届、鍵と備品の返却、一覧3の書類の受け取り、健康保険と年金の切り替えは、自分の手で進めます。自分で伝える道と違うのは、上司への最初の一言を誰が言うか、その一点だけです。

代行の料金:(    円)←自分で見た額を書く。この額で頼めるのは、上司への最初の一言までで、退去日の話は含まれません。

自分で伝える道には、この料金がかかりません。それが基本の道で、代行は、同じ寮に住む上司に最初の一言がどうしても言えない人のための道です。

代行を使わない場合の代わりは、上司ではなく、総務や人事に退職届を書面で出す方法です。退職の意思は会社に届けば効力があるので、相手を同じ寮に住む上司に限る必要はありません。

原因B:最初の一言を代行に任せ、退去は自分で書面にする

Bの人は、辞めると言ったあとも、毎日その上司と寮で顔を合わせます。最初の一言を自分で言う場面が作れない。その一言だけを、代行に頼みます。

手順1 頼む前に決めること。
三つあります。退職日。退去の希望日。次の部屋の鍵を受け取る日(②)。順番は、②が退去の希望日より前です。この三つは、代行が会社に伝える中身と、自分が総務に出す書面の中身になります。代行は決めてくれません。

手順2 代行が、退職の意思を伝える。
代行の役割は、この一言で終わります。退去日の話は、始まりません。

手順3 頼んだあとに、自分でやること。
一覧2と一覧3を、上から順に進めます。

自分でやること どこで・いつまでに
退職届と退去届を郵送する 退去の希望日は退去届に書き、総務あてに出す
鍵と備品を返す 返す相手と日を、退去届に書いた日に合わせる
離職票と源泉徴収票を受け取る 届かないときは、離職票はハローワークに申し出れば本人の請求で進む。源泉徴収票は退職後1月が交付の期限
健康保険と年金を切り替える 国民健康保険と国民年金は原則として退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口。任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出

もう一つ、寮にいる間に上司から声をかけられたときの返し方を、先に決めておきます。代行が「本人への連絡は控えてほしい」と伝えることはできますが、それは依頼であって、会社を縛るものではありません。同じ寮にいれば、顔を合わせる日はあります。「退職の話は書面で出しました。退去日は総務と決めます」の一文を、口に出せる形で持っておきます。

詰まる所と次の手。
退去日の話が進まないとき。代行は伝えるまでなので、ここから先は自分です。総務に「退去の希望日」を書いた書面を自分で出します。応じてもらえないときは、総合労働相談コーナーへ。

最初の一手。
次の部屋の鍵を受け取る日(②)の候補を、1つ書く。物件が決まっていなくても、「○月○日ごろ」でかまいません。

原因C:鍵を受け取る日まで残る

Cの人は、次の部屋のめどがありません。このまま退職日を決めると、退去日だけが先に決まって、住む所のめどがないまま期限が来ます。だから、期限を「次の部屋の鍵を受け取る日」に置いて、それまでは残ります。

期限。
次の部屋の鍵を受け取る日(②)。まだ日付がなくても、「②が決まった日」を期限にします。

手順1 在職中に、収入の分かる書類をそろえて、部屋を探す。
一覧4の一行目です。在職中のほうが用意しやすいので、辞める前にそろえます。

手順2 鍵を受け取った日に、退職届を出す。
AかBで。上司に伝えられるならA、同じ寮の上司に言う場面が作れないならB。

手順3 残る間に、一覧1〜4の印を埋めていく。
一覧1の猶予の日数、一覧2の渡す相手、一覧3の受け取る時期、一覧4の書類。鍵を受け取る日までに、できるだけ多くの行に印をつけておきます。

詰まる所と次の手。
部屋が決まる前に、辞めたくなったとき。退職日を先に伝えないでください。代わりに、一覧1の猶予の日数だけを先に確かめて、「ぎりぎりの日付」を知っておきます。猶予が30日なら、今日退職届を出したとして、いつまで寮にいられるか。その日付を知っていれば、「今すぐ辞めたい」と「今すぐ出なければならない」が別のことだと分かります。

部屋が決まることを、この記事は約束しません。初期費用が足りない、審査に通らない、ということはあります。それでも、期限を「鍵を受け取る日」に置いておけば、決まるまでは住む所があります。

最初の一手。
初期費用に、いくら貯まっているかを、通帳で見る。金額を書くところまでです。

②の日付があるかどうかで、道を分ける

三つの道で迷ったら、日付の欄を見てください。

②(次の部屋の鍵を受け取る日)の欄が空なら、C。②に日付の候補が入っていて、上司に伝えられるなら、A。②に候補が入っていて、同じ寮の上司の顔を見ると一言が出ないなら、B。

料金がかかるのはBだけで、頼めるのは最初の一言までです。Aで行けるなら、A。Cから進むときも、②の欄が埋まった日に、この順で見ます。

どの道でも、日付の順番は同じです。次の部屋の鍵を受け取ってから、寮の鍵を返す。

次の部屋の鍵を受け取ってから、寮の鍵を返す

最後の場面は、どの道でも同じところに着きます。

Aの人は、退職届と退去届の日付を、②→③の順で書きます。
Bの人は、代行に伝える退職日と、自分で出す退去届の希望日を、②→③の順で決めます。
Cの人は、②を期限にして残り、②が来た日に、AかBで退職届を出します。

手の中に、次の部屋の鍵がある。それから、寮の鍵を返す。

辞める日が引っ越す日になる、と思っていた夜から見ると、日付が三つに分かれただけです。ただ、その三つの順番を自分で決めたことで、「住む所がなくなる」は「鍵を受け取ってから返す」に変わります。上の日付の欄に、②から書いてください。