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面談や面接で「5年後、10年後にどうなっていたいですか」と聞かれて、答えに詰まることがあります。描けない理由は人によって違います。材料が足りない場合もあれば、忙しくて考える余裕がない場合、先のことを決めたくない気持ちがある場合もあります。どの場合でも、10年後の姿を1つに決める必要はありません。この記事では、材料を4種類書き出し、次の1〜2年で試したい方向を3つの道にして比べます。
読み終えると、いまの延長で続ける・職場を替える・学びを加える、の3つを自分の材料で比べ、試したい道を1つ選んで、最初の一手を決められます。
この記事で渡すもの
- 描けない理由の3つの見分け方
- 今日1つずつ書く、4種類の材料
- 外から材料を足す方法
- 3つの道(シナリオ)の書き方と比べ方、選んだ道の最初の一手

10年後を1本に決めなくてよい
将来の姿を先に描き、そこから逆算して計画を立てる方法は、目指す姿がすでにある人には役に立ちます。けれども、目指す姿がまだない人が同じ方法を使おうとすると、白紙の前で止まってしまいます。
答えに詰まったとき、頭の中が空なのではなく、「相手が納得しそうな答え」を探していることがあります。それは自分の内側にはないので、見つかりません。その結果、「自分には何もない」と感じてしまいます。
人が思い描ける働き方は、これまでに見聞きしたものに影響されやすいものです。ふだん接しているのが同じ職場の人だけであれば、思いつく選択肢が少なくなるのは自然なことです。ただし、材料さえ増やせば必ず将来の姿が描ける、とは言えません。
この記事では、10年後の正解を探すかわりに、次の1〜2年で試す方向を比べられるようにします。
描けない理由を、3つに分ける
次の3つのうち、いちばん近いものを選びます。この分け方は、この記事での整理です。
- これまでに見聞きした働き方が少なく、思いつく選択肢がない。→ 材料が足りていません。次の見出しから進めてください。
- 材料を書こうとしても、疲れていて手が動かない。→ 考える余裕がないのかもしれません。まず休むことを優先してください。
- 先のことを決めること自体に、気が進まない。→ 描かないまま、目の前の1年を選び続ける進み方もあります。その進み方が劣っているわけではありません。この記事では、10年後ではなく、次の1〜2年だけを比べます。
4種類の材料を、今日1つずつ書く
次の4種類について、今思い当たることを1つずつ書きます。まとめて書こうとせず、あとで思い当たることがあったら、1行ずつ足します。
| 材料 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 過去に満足したこと | 仕事や仕事以外で、やってよかったと感じたこと | 後輩に教えて、理解してもらえたとき |
| 嫌だった条件 | もうくり返したくないと感じた状況 | 当日に予定が何度も変わる働き方 |
| 羨ましかった場面 | ほかの人を見て、いいなと思ったこと | 自分の判断で仕事を進めている先輩 |
| やってみたいこと | 小さなことでよい。興味があること | 社外の人と一緒に進める仕事 |
外から材料を足す3つの方法
自分の経験だけでは材料が足りないと感じたら、外から足します。負担の小さい順に3つあります。
| 方法 | 得られるもの | 向いているとき |
|---|---|---|
| 職業の情報を読む | 仕事の具体的な内容、必要な知識、関わる相手 | 1人で始めたいとき |
| 少し先を行く人に、1日の流れを聞く | 時間の使い方、何が面白く、何が大変か | 実際の様子を知りたいとき |
| 利害のない人に、考えを話してみる | 話しているときの、自分の反応 | 材料はあるが、まとまらないとき |
職業の情報は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」で読めます。職業ごとに、仕事の内容や必要な知識が整理されています。興味のある職業だけでなく、名前は知っているが中身を知らない職業を、いくつか読んでみてください。
人に聞くときは、将来の目標よりも、1日の流れを尋ねます。「1日のうち、いちばん時間を使っているのは何ですか」「意外と地味だと感じる作業はありますか」「その働き方を選んだ決め手は何でしたか」といった質問です。聞いているうちに、「これはいいな」「これは避けたい」という反応が起きます。その反応が、材料になります。
3つの道を書いて比べる:現状維持/転職/資格
書いた材料をもとに、次の3つの道(シナリオ)を、それぞれ2〜3行で書きます。対象とする期間は、次の1〜2年にします。
| 道 | 内容 | 考えること |
|---|---|---|
| いまの延長(現状維持) | いまの職場・職種で続ける | 続けた場合、満足したことは増えそうか。嫌だった条件は減りそうか |
| 職場を替える(転職) | 働く場所を替える | 変えたい条件は何か。替えることで失うものは何か |
| 学びを加える(資格) | いまの仕事に、新しい知識や技能を足す | 何を学ぶと、やってみたいことに近づくか |
3つを書いたら、4種類の材料と照らし合わせます。
比べ方の例(架空)
嫌だった条件「当日に予定が何度も変わる」→ いまの延長では変わらない。職場を替えれば変わる可能性がある
やってみたいこと「社外の人と進める仕事」→ 学びを加えると、いまの職場でも担当できるかもしれない
「職場を替える」を選ぶ前に、今の経験がほかの会社で通じるかを知りたい人は、外で通じる分を仕分けるで、毎週の作業を10個書いて数えてください。
どれか1つに決めなくてもかまいません。「まず学びを加え、そのあとで職場を替えるかを考える」のように、順番を付ける形でもよいです。3つとも試したいと思えなかった人は、材料がまだ足りないのかもしれません。外から材料を足す方法を1つ選んでください。
材料がまとまらないときは、人に話してみる方法があります。厚生労働省の委託事業で、キャリアコンサルティングなどの支援が無料で行われています。在職中の人や仕事を探している人が対象で、対面またはオンラインで受けられます。利用の条件は公式の案内で確かめてください。
選んだ道の最初の一手
試したい道が決まったら、その道の最初の一手を1つだけ打ちます。面談や面接で将来について聞かれたときは、固まった将来の姿がなくても、次の1〜2年で試したい方向をそのまま伝えられます。
いまの延長を選んだ人
それも結論です。「いまの仕事を続ける。理由は( )が増えそうだから」と、材料の言葉を使って一文で書きます。
職場を替えるを選んだ人
「嫌だった条件」の中から、替えたい条件を1つ選んで丸をつけます。替えるかどうかの決め手がまだ決まらない人は、『友人の転職の決め手を聞いた。自分に決め手がないとき、作る基準』で、動く条件と残る条件を一文ずつ書けます。
学びを加えるを選んだ人
「やってみたいこと」を1つ選び、厚生労働省の職業情報提供サイトで、それに近い職業のページを1つ読んで、必要な知識の名前を1つ書き写します。
「やってみたいこと」に近づくために足りない知識が1つ決まった人は、講座で学ぶ方法もあります。材料がまだ集まっていない人、疲れていて余裕がない人には向きません。先に材料を書くか、休むほうを優先してください。
申し込むと受講料がかかります。申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。使わない場合は、職業情報提供サイトで必要な知識を読み、本を1冊選んで始められます。
学ぶと決めたが、講座の費用を見て手が止まっている人は、講座の申込画面で迷う人が、先に出す数字で、払ったあとに残る貯金と、学び終えるまでの週の数を先に出してください。
よくある質問
10年後を描けない人は、不利になりますか
長い見通しを持つことが役に立つ場面も、状況に合わせて選び直せることが役に立つ場面もあります。どちらがよいとは言い切れません。
まわりは、将来をしっかり考えているように見えます
人が語る将来像は、整えたあとのものであることが多く、その前の迷いは見えません。比べるより、自分の材料を増やすことに時間を使ってください。
材料を集める時間が取れません
まとまった時間を取ろうとせず、気づいたときに1行書くだけにしてください。通勤中に職業の情報を1つ読む、といった小さな単位で進められます。
出典・相談先・この記事の前提(2026年10月31日確認)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」
- 描けない理由の3つの分け方、4種類の材料、3つの道(シナリオ)は、CareerPivotが整理した方法です。例は架空のものです。