※この記事には広告(PR)が含まれます。
この記事を読むと、毎週している仕事のうち、ほかの会社でも通じる分がいくつあるかを数えられます。数えた結果から、今の持ち物のまま外に出るのか、知識を1つ足すのか、今の会社で通じる仕事を増やすのかを決められます。
後輩に教えている最中に、ふと気づく
後輩に、社内の道具の使い方を教えている。入力する順番、画面の切り替え方、ここを先に押すとエラーになるという落とし穴。聞かれたことには全部すぐ答えられる。
そのとき、「自分はこの道具に詳しいだけではないか」と気づく。この道具は、この会社にしかない。会社の外に出たら、いま教えている知識を使う場所がない。そう考えると、何年も働いてきたのに、手元に何も残っていないように見えてきます。
ここで止まっている人の多くは、「通じないスキルばかりだ」と感じてはいても、実際にいくつが通じて、いくつが通じないのかを数えていません。数えていないので、「何か勉強したほうがいいのか」「このままでいいのか」「外に出られるのか」のどれも決められないままになります。
この記事で解くのは、行き先の話ではありません。どの会社に行くか、どの仕事に移るかは決めずに、いま自分が持っているものだけを分けて数えます。
道具の名前で覚えていると、全部が「ここだけ」に見える
仕事は、ふだん道具の名前で覚えています。「あの画面に入力する」「あの書式で申請を出す」「あの表を更新する」。道具がその会社にしかないものだと、作業もその会社にしかないものに見えます。
けれども、1つの作業には2つの面があります。
- 何を使ってやっているか(道具)
- 何のためにやっているか(目的)
道具は会社ごとに違います。目的のほうは、会社が変わっても同じであることが少なくありません。注文をまちがいなく記録する、支払いが決まりに合っているか確かめる、初めての人に手順を教える。こうした目的は、道具が変わっても残ります。
そこで、作業を道具の名前のまま分けたあと、「何のための作業か」に言い直して、もう一度分けます。分けるための入れ物として、3つの箱を使います。
3つの箱(この記事での整理)
下の3つの箱は、この記事で考えやすくするために作った分け方です。決まった検査や診断の方法ではありません。箱に入れた数で、人の力の高い低いが決まるわけでもありません。
| 箱 | 入れるもの | 例 |
|---|---|---|
| この会社の中だけ | この会社にしかない道具・書式・決まりを知らないとできない作業 | 自社だけの受注画面の操作、社内の申請書の通し方 |
| 同じ業界なら | 業界の言葉、商品の知識、業界で共通の決まりを使う作業 | 業界の用語でお客さんに説明する、業界で決まっている書類を作る |
| どこの会社でも | 業界が変わっても、同じ目的の仕事があれば使える作業 | 数字を集めて報告する、初めての人に手順を教える、日程を調整する |
仕分けは4つの作業で終わる
1. 毎週の作業を10個書く
紙でもメモでもかまいません。毎週くり返している作業を10個書きます。書き方の決まりは3つだけです。
- 1つを1行で書く
- 「〜する」で終わらせる(「経費」ではなく「経費を入力する」)
- 道具の名前は、ふだん呼んでいるとおりに入れてよい
10個出てこないときは、きのうの朝から帰るまでを順に思い出します。会議の準備、返信、確認の依頼のような、仕事と思っていなかった作業も1行にします。10個より多く出たら、時間を多く使っているものから10個を残します。
2. そのまま箱に入れる
書いた10個を、書いたままの言葉で3つの箱に入れます。迷ったら「この会社の中だけ」に入れておきます。この時点では、「この会社の中だけ」がいちばん多くなっても、それで合っています。道具の名前で書いているからです。
3. 「この会社の中だけ」を言い直す
ここがこの記事の中心です。「この会社の中だけ」に入った作業を1つずつ取り出し、道具の名前を消して、「何のための作業か」に言い直します。言い直すと、別の箱に移るものが出てきます。
下は言い直しの例です。説明のために作った例で、どこかの会社の実際の仕事ではありません。
| 書いたままの言葉 | 何のための作業かに言い直すと | 移る箱 |
|---|---|---|
| 社内の経費の画面に領収書を入力する | 月( )件の支払いが、決まりに合っているかを確かめて記録する | どこの会社でも |
| 自社だけの受注画面で注文を登録する | お客さんの注文の内容を聞き取り、まちがいなく記録して次の担当に渡す | どこの会社でも |
| 社内の申請の書式で、買いたい物の申請書を作る | 買う理由と金額を1枚にして、決める人が判断できる形にする | どこの会社でも |
| 部内の週報を、いつもの表で作る | 毎週の数字を集めて、先週との違いを短く知らせる | どこの会社でも |
| 自社の商品の型番を覚えて、問い合わせに答える | この業界の商品の違いを、お客さんの使い方に合わせて説明する | 同じ業界なら |
言い直すときは、次の3つを順に行います。
- 道具・画面・書式の名前を消す
- 「だれのために」「何がどうなるように」を足す
- 言い直した文を読み、ほかの会社にも同じ目的の仕事がありそうかを考える
全部が移るわけではありません。「社内でだれに先に話を通すと早いかを知っている」「この会社だけの承認の順番を覚えている」のように、言い直しても中身がこの会社の事情そのものである作業は、「この会社の中だけ」に残します。むりに移すと、あとで数えた結果が当てになりません。残るものがあるのは、長く働いていればふつうのことです。
冒頭の場面の「後輩に社内の道具の使い方を教える」も言い直せます。道具の名前を消すと、「初めての人に、手順を分けて教え、ひとりでできるようにする」になります。教える相手と中身が変わっても使える作業なので、「どこの会社でも」の箱に移ります。
4. 箱ごとに数える
言い直しが終わったら、箱ごとの数を書きます。
- この会社の中だけ:( )個
- 同じ業界なら:( )個
- どこの会社でも:( )個
合わせて10個になっているかを確かめます。
数えたあとに、3つの問いに答える
数だけでは、次にすることは決まりません。次の3つに順に答えます。
- 言い直したあと、「どこの会社でも」にいくつ入ったか。この記事では、10個のうち5個以上を「十分にある」、4個以下を「少ない」として話を進めます。この線は記事の中で話を分けるために置いたもので、調べて出した数字ではありません。4個と5個で大きな差があるわけではないので、境目の人は次の2つの問いの答えで決めてください。
- 「どこの会社でも」の箱の中身を、一文で説明できるか。箱に入った作業をつなげて、「( )を( )して、( )できる」という一文にできるかどうかです。作業の名前を並べただけで、何ができる人なのかが言えないなら、「できない」と答えます。
- 今の会社で、その箱の仕事を増やせる見込みがあるか。同じ部や近くの担当に、その箱に入る仕事がまだあるか。上司に「増やしたい」と言える間柄か。この2つがそろえば「ある」と答えます。
答えの組み合わせで、当てはまる所が決まります。
| 問い1 | 問い2 | 問い3 | 当てはまる所 |
|---|---|---|---|
| 5個以上 | 説明できる | 見込みがない | A |
| 4個以下 | 説明できない | どちらでも | B |
| 5個以上 | 説明できる | 見込みがある | C |
5個以上あるのに一文にできない人は、言い直しがまだ道具の名前に寄っていることがあります。手順3の3つをもう一度行い、それでも一文にならなければBとして読み進めてください。
当てはまった所ごとに、進む道が違う
A:言い直したら、通じる分は十分にあった → 転職
「通じないスキルばかり」と見えていたのは、道具の名前で数えていたからでした。持ち物は足りています。足りていて、今の会社では増やす見込みがないなら、その持ち物を使える所へ移るのが合います。
手順
- 「どこの会社でも」の箱の作業をつなげて、一文にする。型は「(だれ)のために、(何)を(どうして)、(どうなる)ようにしてきた」。
例:「営業担当のために、毎週の注文と支払いの記録をまちがいなくそろえ、月の締めが遅れないようにしてきた」 - その一文から、仕事を探す言葉を3つ取り出す。上の例なら「注文の記録」「支払いの確認」「締めの管理」。職種の名前が思いつかなくても、作業の言葉で探せます。
- 取り出した言葉で仕事を探し、応募の書類のいちばん上にその一文を置く。
使うもの:仕分けたメモ。それと、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」。職業の名前で調べると、その仕事でする作業の一覧が出ます。自分の「どこの会社でも」の箱と重なる項目がいくつあるかを数えると、一文がどの職業で通じるかの見当がつきます(2026年10月11日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。
詰まる所と次の手:一文が弱く感じる。そのときは、数字を1つだけ足します。回数、件数、人数のどれかです。「毎週の注文をそろえた」を「毎週およそ( )件の注文をそろえた」に、「後輩に教えた」を「( )人の後輩がひとりでできるようにした」に変えます。数字は、自分で数えて確かめられるものだけを使います。大きく見せるために丸めたり足したりはしません。
一文を応募の書類の1項目に広げる時は、仕事を10行に分けて、外でも伝わる実績に書き換える手順が使えます。
B:言い直しても、通じる分が少ない → 資格
言い直しても「どこの会社でも」が4個以下で、一文にもならない。この場合、今のまま外に出ると、相手に伝える中身が足りません。足すものを1つ決めて学ぶのが合います。
ここで大事なのは、足す場所です。何もない所から新しい分野を始めるのではなく、「同じ業界なら」の箱から選びます。この箱には、すでに毎週使っている業界の知識が入っています。それに名前がつくと、会社の外の人にも中身が伝わります。
手順
- 「同じ業界なら」の箱の作業を見て、使っている知識を書く。例:「取引の書類の決まり」「商品の安全の決まり」「お金の記録のつけ方」。
- その知識に、世の中で名前がついているかを調べる。資格や検定の名前がある知識は、学ぶ範囲と確かめ方がはっきりしています。
- 1つだけ選び、学ぶ期間を決めて始める。
使うもの:仕分けたメモと、job tag。職業のページの「就業するには?」の欄を読み、資格の名前が出てくるかを見ます。免許・資格の名前から職業を探すこともできます。また、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」では、学ぶ費用の一部が戻る制度(教育訓練給付)の対象になっている講座を調べられます。この制度は、雇用保険に入っていた期間などの条件を満たす人だけが使えます。自分が当てはまるかどうかは、ハローワークで確かめてください(2026年10月11日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。
詰まる所と次の手:何を選ぶかで迷う。そのときは、10個の中でいちばん長い年数やってきた作業に近いものを選びます。長くやってきた作業は、学ぶ内容の中に、すでに仕事で知っていることが含まれやすく、続けやすいからです。人気がある、役に立ちそうだ、という理由だけで遠い分野を選ぶと、今の仕事の経験とつながらず、せっかく学んでも「どこの会社でも」の箱の一文になりにくくなります。
資格を取れば転職がうまくいく、収入が上がる、とは言えません。ここでの目的は、「同じ業界なら」の箱にある知識に名前をつけて、外の人に説明できる分を増やすことです。
C:通じる分はあり、今の会社でまだ増やせる → 現状維持
通じる分は十分にあり、今の会社にその仕事がまだある。この場合は、今の会社にいたまま、「どこの会社でも」の箱の仕事を増やすのが合います。箱の数が増えれば、あとで外に出ると決めたときにも、残ると決めたときにも、手元にあるものが多くなります。
手順
- 「どこの会社でも」の箱から、もっと増やしたい仕事を1つ選ぶ。
- その仕事を増やすために、何を任せてほしいかを具体的に決める。「もっと成長したい」ではなく、「( )の担当に入れてほしい」「( )を毎月任せてほしい」まで決める。
- 上司に伝える。
使うもの:仕分けたメモと、上司との面談の時間。
詰まる所と次の手:伝え方が分からない。「外で通じる力をつけたい」とそのまま言うと、辞める準備をしていると受け取られることがあります。会社にとっての良い点を先に言い、頼みごとを1つにします。下は文例です。
「いま毎週、数字を集めて報告する仕事をしています。この仕事を、部全体の分まで広げて担当させてもらえないでしょうか。今は( )さんが別に作っている分とまとめれば、作る手間が減ると考えています。」
「後輩に手順を教える役を、今期も続けて担当させてください。教えた内容を手順書にまとめておけば、次に入る人にも使えます。」
どちらも、「増やしたい仕事」「会社にとって何が良くなるか」「頼みごとは1つ」の3つが入っています。断られた場合は、「何ができるようになれば、任せてもらえますか」と条件を聞きます。条件を聞いても答えが出なかった時は、問い3の答えが「見込みがない」に変わったということです。そのときはAに戻って読み直してください。
転職・資格・現状維持を、数えた結果で選ぶ
| 数えた結果 | 選ぶもの | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 通じる分が5個以上あり、一文にできる。今の会社では増やせない | 転職 | 持ち物は足りている。増やす場所が今の会社にない |
| 通じる分が4個以下で、一文にならない | 資格 | 外の人に伝える中身が足りない。今ある知識に名前をつけて足す |
| 通じる分が5個以上あり、今の会社でまだ増やせる | 現状維持 | 動かなくても増やせる。増やしてから、あらためて決められる |
この表は、「通じないスキルばかりだ」という悩みに対して、どれが合うかを分けたものです。給料や人間関係など、別の理由で会社を出たい人は、その理由のほうで考える必要があります。ここで決められるのは、手持ちのスキルが理由で動けないと感じている人が、次に何をするかまでです。
仕分けた日のうちに、すること
仕分けをまだしていない人は、どの道に進むにしても、毎週の作業を10個書く所から始めます。10個書くのにかかる時間は、長くても数十分です。書いたあとは、当てはまった所ごとに次のとおりです。
転職を選んだ人(A)
10個のメモから「どこの会社でも」の箱の作業を選び、一文を1つ書きます。書けたら、数字を1つ足せるかを確かめます。次に、job tagで自分の職業の名前を調べ、作業の一覧と自分の箱を見くらべて、重なる項目に印をつけます。そのページにある「類似する職業」も同じように見て、重なりが多い職業の名前を3つ書き出します。その3つの名前と、一文から取り出した言葉が、仕事を探すときの入口になります。探すのは、ハローワークでも、自分で会社の採用の案内を見るのでもかまいません。応募の書類のいちばん上には、作った一文を置きます。
資格を選んだ人(B)
箱ごとの数を数え、「同じ業界なら」の箱の作業の横に、使っている知識を1つずつ書きます。その中から、いちばん長くやってきた作業に近い知識を1つ選び、その知識に資格や検定の名前があるかを調べます。名前が見つかったら、試験の範囲の目次を読み、すでに仕事で知っている項目に印をつけます。印の多さで、学ぶ量の見当がつきます。学び方は、本で独学する、公的な職業訓練や講座を調べる、のどちらでも始められます。期間を先に決め、終わったら「どこの会社でも」「同じ業界なら」の箱をもう一度数え直します。
学ぶと決めることと、どの講座に申し込むかを決めることは、別の決め事です。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。扱っている資格は講座ごとに決まっています。
- 向く人:「同じ業界なら」の箱から知識を1つ選び、その知識に資格や検定の名前があると分かった人。
- 向かない人:資格の名前がまだ見つかっていない人(上の手順で、知識に名前がついているかを調べる所が先です)。本や公的な職業訓練で学ぶと決めた人。
- 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
- 使わない場合:試験を行う団体の案内と市販の本で、目次に印をつける所から同じ手順を進められます。
講座で学ぶと決めた人は、申し込む前に、講座代が戻る条件を5つの項目で確かめる表で、給付を受けられるかを見ておけます。
現状維持を選んだ人(C)
「どこの会社でも」の箱から、増やしたい仕事を1つ選びます。選んだら、上の文例の( )に自分の仕事を入れて、伝える一文を書きます。次の面談の日が決まっていればその日に、決まっていなければ「相談したいことがあるので、15分ください」と上司に頼みます。伝える日を手帳に書く所までが、今日の分です。
数えたメモは、捨てずに残しておく
10個の作業と3つの箱のメモは、あとでも使えます。担当する仕事の中身が変わったら、新しい作業を書き足して、もう一度箱に入れ直します。「どこの会社でも」の数が前より増えていれば、選ぶ道が変わることもあります。
「この会社でしか通じない」と感じたのは、後輩に教えられるほど、その仕事を深く知っているからでもあります。道具の名前を消して数えてみると、手元に残っている分が見えます。足りるのか、足すのかは、数えてから決めれば間に合います。