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子どものいる暮らし

子どもがいると転職は不利、は本当か。不利になる条件を先に知る

約15分で読めます

子どもがいることだけで諦めず、実際に不利になる条件を確かめるイメージ

「子どもがいると転職は不利」という話を、公的な資料で確かめられた範囲で仕分けます。不利になる条件に自分が当てはまるかを数え、今動くか、学んでから動くか、今の職場の制度を使い切るかを決められます。

※この記事には広告(PR)が含まれます。

この記事を読むと、「子どもがいると転職は不利」という話のうち、決まりの上で本当のことと、そうとは言えないことを分けられます。そして、自分が不利になる条件に当てはまるかを数えて、今動くのか、学んでから動くのか、今の職場にいるのかを決められます。

誰にも言われていないのに、求人を閉じた

子どもを寝かしつけたあと、求人を開く。仕事の内容は悪くない。そこで「でも、子どもがいるし」と思い、画面を閉じる。

面接で断られたわけではありません。誰かに「子どもがいる人は採らない」と言われたわけでもありません。閉じたのは自分です。

ここで起きているのは、「不利」という一言の中に、種類の違う話がいくつも入ったままになっていることです。法律で決まっていて本当のこと。会社ごとに違うこと。確かめようのないこと。これらが1つのかたまりになっているので、どれか1つが気になるだけで全部があきらめる理由になります。

この記事では、よく言われる4つの話を1つずつ取り出し、厚生労働省などの公的な資料で確かめられた範囲で仕分けます。内容は2026年10月11日に確かめたもので、今後変わることがあります。

4つの話を、1つずつ確かめる

話1:「子どもがいるだけで落とされる」

厚生労働省は、採用の選考について、応募した人の適性と能力にもとづいた基準で行うことを基本として会社に求めています。あわせて、本人に責任のないことの例として家族に関することを挙げ、選考で把握しないよう配慮する事項にしています。

また、男女雇用機会均等法は、募集と採用で性別にかかわりなく同じ機会を与えることを会社に求めています。厚生労働省の資料では、女性にだけ「子どもが生まれたあとも働き続けるか」を聞くことが、この法律に反する例として挙げられています。

確かめられたのはここまでです。面接で子どものことを聞くことが一律に禁止されている、とまでは資料に書かれていません。個々の会社が実際にどう決めているかも、外からは分かりません。

仕分けると、「子どもがいるという事実だけで決める」のは、国が会社に求めている選考のやり方とは合いません。ただし「どの会社でも起きない」とは言えません。ここは、自分では変えられない部分です。変えられない部分を理由に全部の求人を閉じるのかどうかを、あとの問いで考えます。

話2:「入ってすぐは使えない制度がある」

これは、条件つきで本当です。育児のための制度のいくつかは、会社に労使協定がある場合に、入社して1年たっていない人を対象から外せることになっています。協定がない会社では、入社1年未満でも対象です。

制度 法律上の対象 入社1年未満の人の扱い(確かめた範囲)
育児休業 原則、1歳になるまでの子を育てる人 労使協定がある会社は、対象から外せる
短時間勤務 3歳になるまでの子を育てる人 労使協定がある会社は、対象から外せる
残業の免除(所定外労働の制限) 小学校に入る前の子を育てる人 労使協定がある会社は、対象から外せる
柔軟な働き方のための措置 3歳から小学校に入る前の子を育てる人 労使協定がある会社は、対象から外せる
時間外労働の制限(月24時間・年150時間まで) 小学校に入る前の子を育てる人 協定に関係なく、請求できない
深夜業の制限 小学校に入る前の子を育てる人 協定に関係なく、請求できない
子の看護等休暇 小学校3年生が終わるまでの子を育てる人 入社してすぐでも対象(週の所定労働日数が2日以下の人は、協定で外せる)

表の一番下は、2025年4月に変わった点です。それまでは、入社6か月未満の人を労使協定で対象から外す仕組みがありましたが、廃止されました。子どもの発熱などで休むための休暇は、移ってすぐでも対象になる方向に変わっています。法律上は年に5日、子が2人以上なら10日で、原則として時間単位でも取れます。休んだ時間の給料が出るかどうかは、確かめた資料には書かれていなかったので、会社ごとに確かめる点です。

「柔軟な働き方のための措置」は、2025年10月に始まった決まりです。会社が、始業時刻の変更、テレワーク、保育施設の設置運営など、養育両立支援休暇、短時間勤務の5つから2つ以上を選んで用意し、働く人はその中から1つを選んで使います。5つ全部が使えるわけではなく、どれがあるかは会社ごとに違います。

話3:「今の職場の制度は、移ると最初からになる」

これは、本当の部分と、そうでない部分があります。

本当の部分は2つです。1つ目は、話2で見た「入社して1年」の数え方です。数えるのはその会社で続けて雇われた期間なので、移れば数え直しになります。2つ目は、会社が独自に手厚くしている決まりです。法律は最低限の決まりで、会社によっては、小学校に入ったあとも短時間勤務を認めるなど、法律より長い期間にしています。その上乗せは今の会社のもので、移る先にあるとは限りません。

そうでない部分は、法律で決まっている制度そのものです。3歳になるまでの短時間勤務、小学校に入る前までの残業の免除、小学校3年生が終わるまでの子の看護等休暇は、どの会社にも共通する最低限の決まりです。移ったら制度ごとなくなる、ということではありません。

お金の面で1つ、分けておくことがあります。育児休業という「休む制度」と、育児休業給付金という「お金の制度」は、別の仕組みです。給付金は雇用保険の制度で、休業を始める前の2年間に、賃金の支払いの基礎になった日が11日以上ある月(ない場合は80時間以上の月)が12か月以上あることが条件になっています(2026年10月31日に確認)。転職をはさんだ場合の数え方は人によって変わるので、これから育児休業を取る予定がある人は、ハローワークで自分の場合を確かめてください。

3つの話を並べると

よく言われる話 仕分け 自分で確かめる先
子どもがいるだけで落とされる 国が会社に求める選考のやり方とは合わない。ただし会社ごとの実際は外から分からない 確かめようがない。自分では変えられない部分
入ってすぐは使えない制度がある 条件つきで本当。労使協定がある会社では、入社1年未満を対象から外せる制度がある 移る先の就業規則と労使協定
今の職場の制度は、移ると最初からになる 期間の数え方と、会社独自の上乗せは本当。法律で決まった制度そのものは、どの会社にも共通 今の会社の就業規則(上乗せの有無)

「働ける時間を伝えると不利になる」という話もよく聞きます。これは、公的な資料では本当とも思い込みとも確かめられなかったので、表には入れていません。確かめられたのは、会社が男性だけ、または女性だけに「残業はできるか」と聞くことが、男女雇用機会均等法に触れる質問の例として大阪労働局の資料に挙げられていることまでです。この話は、原因Aの所で、伝えた場合と伝えなかった場合に起きることを並べて考えます。

「不利になる条件」は4つ。当てはまる数を数える

仕分けの結果から、転職で実際に不利になりうる条件を4つ取り出します。この4つは、この記事での整理です。

  1. 入社して1年以内に、育児休業、短時間勤務、残業の免除、柔軟な働き方のための措置のどれかを使う必要がある。
  2. 入社して1年以内に、時間外労働の制限か深夜業の制限を請求する必要がある。
  3. 今の会社が法律より手厚くしている独自の制度を、今使っている。または近く使う予定がある。
  4. 近いうちに育児休業を取る予定があり、給付金を家計の前提にしている。

当てはまる数を数えてください。1は、移る先に労使協定がなければ消える条件です。3は、移る先にも同じ決まりがあれば消えます。つまり、確かめれば消える条件と、時間がたたないと消えない条件があります。

逆に言うと、子どもが小学校に入っていて今は制度を使っていない人や、子どもの年齢に関係なく今の会社で制度を使わずに働けている人は、4つのどれにも当てはまらないことがあります。その場合、「子どもがいるから不利」の中身は、話1の「確かめようのない部分」だけです。

3つの問いで、自分の原因を見分ける

ここからの原因の分け方も、この記事での整理です。上から順に答えます。

問い 答え 原因
今の職場の制度で、まだ使っていないもの、これから使うものがあるか。それは移ると使えなくなるものか どちらも「はい」 C:今の職場の制度を使い切っていない
希望の働き方ができる仕事に、今の経験で応募できるか 「いいえ」 B:経験や技術が足りない
不利になる条件のうち、確かめても消えないものは残っているか 「残っていない」 A:不利になる条件に当てはまっていない

1つ目の問いに答えるには、今の会社の制度を知っている必要があります。分からない人は、原因Cの手順にある一覧を先に作ると答えが出ます。

原因Aの人:条件を先に伝えて探す(転職)

不利になる条件に当てはまっていないなら、求人を閉じる理由は「確かめようのない部分」だけです。ここは動いてみないと分かりません。ルートは転職です。

手順

  1. 働ける時間を書く。「出社できる一番早い時刻」「会社を出る一番遅い時刻」「月に何回までなら遅くなれるか」の3つです。
  2. 譲れない条件を書く。3つまでにします。例:「18時までに保育園に着ける場所」「子どもの発熱の日に休める、または家で働ける」。
  3. 書いた条件を、応募の早い段階で伝える。
  4. 内定が出たら、入社を決める前に、就業規則の育児に関する部分を読ませてもらう。見るのは「対象から外す人」の決まりです。

詰まる所:条件を言うのが怖い

伝えたときにどう受け取られるかは会社ごとで、外からは分かりません。ここでは、伝えた場合と伝えなかった場合に起きることを並べます。

先に伝える 伝えずに進む
選考 条件が合わない会社とは、早い段階で話が終わる 選考は進みやすいかもしれない
入社後 条件を知ったうえで採った会社で働く 入社してから時間の話を初めてする。入社1年未満は制度の対象外という会社だと、話し合いの足場が少ない

伝えずに入って困るのは、入社後の自分です。早い段階で話が終わる会社は、入っても続けにくかった会社だと考えられます。

求人に「女性が活躍」と書かれていても、続けられる職場か分からないなら、『「女性が活躍できる会社」は十八時の廊下だけでは分からない』で、公表データと面接で見る7項目を確かめられます。

次の手:伝える一文

「勤務できるのは( )時から( )時までです。前の日までに分かっていれば、月に( )回まで( )時まで残れます。この時間の中で、今の職場では( )の仕事を担当しています。」

入れるのは、時間、できる範囲、その時間で今やっている仕事の3つです。「ご迷惑をおかけしますが」のようなおわびの言葉は入れません。条件は、おわびではなく情報として伝えます。

原因Bの人:足りない知識を1つ選んで学ぶ(資格)

希望の働き方ができる仕事はある。けれど、今の経験では応募の条件に届かない。この場合、不利の中身は「子どもがいること」ではなく「その仕事に要る知識がまだないこと」です。ルートは資格です。

手順

  1. 希望の働き方を1行で書く。例:「17時に終わる」「家で働ける日がある」。
  2. その働き方ができそうな仕事を調べる。厚生労働省の職業情報サイト(job tag)で職業の名前を検索すると、仕事の内容や、その仕事に就くまでの道すじが載っています。
  3. 気になる仕事を2つまでにしぼり、就くために要る知識や資格を書き出す。
  4. 書き出した中から、今の自分にないものを1つだけ選ぶ。
  5. 学ぶ計画を立てる。

どの仕事が合うか自分だけで決めにくい人は、厚生労働省の事業であるキャリア形成・リスキリング支援センターで、仕事の方向についての相談を無料で申し込めます。仕事を紹介してくれる所ではなく、考えを整理するための相談です(2026年10月11日に確かめた内容です。利用できる条件や方法は、公式の案内で確かめてください)。

詰まる所:時間がない

「何時間学ぶ必要があるか」から考えると、時間が足りないという答えしか出ません。順番を逆にして、1日に使える時間から学ぶ量を決めます。

起きてから寝るまでの流れを紙に書き、自分だけで使える時間に丸をつけます。丸がついた時間のうち、半分だけを学ぶ時間にします。残りの半分は、子どもの発熱や寝かしつけが長引いた日のための余りです。

例:丸がついたのが1日50分なら、学ぶ時間は25分。これを週に5日続けると、25分×5日=125分(2時間5分)。4週間で125分×4=500分(8時間20分)です。

この数字を、講座や試験の案内に書かれている学習時間の目安と比べます。目安が大きすぎるなら、資格を小さいものに変えるか、試験の日を先にのばします。自分の時間を削る方向では合わせません。

原因Cの人:今の職場の制度を使い切る(現状維持)

まだ使っていない制度があり、移るとそれが使えなくなる。それなら、今の職場にいる理由があります。ルートは現状維持です。ただし、何もしないという意味ではありません。使える制度を実際に申し込みます。

手順

  1. 今の会社の制度を一覧にする。
  2. 使っていないものに印をつける。
  3. 印をつけたものを申し込む。
制度 法律上の対象 自分の会社の決まり 使っているか
短時間勤務 3歳になるまで ( )歳まで ( )
残業の免除 小学校に入る前まで ( )まで ( )
柔軟な働き方のための措置 3歳から小学校に入る前まで 用意されているもの:( )( ) ( )
子の看護等休暇 小学校3年生が終わるまで 年( )日・給料は( ) ( )
会社独自の制度 なし ( ) ( )

使うものは、就業規則と、育児に関する決まりを書いた社内の資料です。「自分の会社の決まり」の列が法律より長くなっている所が、移ると使えなくなるかもしれない部分です。

詰まる所:言い出しにくい

制度を使うことは、就業規則に書かれた手続きで申し出るものです。気持ちを長く説明しなくても申し出られます。制度によっては会社が認めない場合の決まりもあるので、返事を聞いてから次を考えます。伝えるのは、子どもの年齢、制度の名前、始めたい日の3つです。

「子どもが( )歳です。( )の制度を、( )月( )日から使いたいです。手続きと書式を教えてください。」

2025年の法律の改正で、会社は、子どもが3歳になる前の時期などに、勤務の時間帯や勤務地、制度を使う期間について本人の意向を聴き、自社の状況に応じて配慮することになりました。希望がそのまま通るという決まりではありませんが、会社の側から聞かれる機会があるということです。聞かれたときに答えられるよう、一覧を先に作っておきます。

転職・資格・現状維持のどれが合うか

  • 不利になる条件に当てはまっていない人は、転職。待っても、確かめようのない部分は確かめられるようになりません。
  • 希望の仕事に知識が足りない人は、資格。子どもの年齢が上がっても、知識は自然には増えません。
  • 使っていない制度があり、移ると使えなくなる人は、現状維持。使える制度を使わないまま移ると、手放すものが大きくなります。

「子どもが大きくなるまで待つ」は、この3つのどれでもありません。待つことで消えるのは、不利になる条件のうち、子どもの年齢や入社からの期間にかかわるものです。4つのどれにも当てはまっていないなら、待っても変わるものがありません。

待つと決める人は、「いつまで」を日付にしておきます。『子どもが小さいうちは転職するな、はいつまでか。時期の決め方』で、子どもの節目と制度が切れる日を1本の線に並べて決められます。

今日できる最初の一手

転職を選んだ人

働ける時間を書きます。「一番早く出社できる時刻」「一番遅く会社を出られる時刻」「月に何回まで遅くなれるか」の3行です。書けたら、その下に譲れない条件を3つまで足します。この紙があれば、求人を見たときに閉じるかどうかを、気分ではなく条件で決められます。応募と条件の確認は、この紙を手元に置いて自分で進められます。子どもの行事で休みが足りず、休みを使わずに応募を進める段取りを決めたい人は、『子どもの行事で有給が尽きた。休みを使わず転職活動を進める段取り』で決められます。

資格を選んだ人

1日に使える時間を書きます。起きてから寝るまでの流れを書き、自分だけで使える時間に丸をつけ、その半分の分数を出します。数字が出たら、気になる仕事を職業情報サイトで1つ検索し、要る知識を書き写します。教材や講座を選ぶのは、使える時間の数字が出てからです。

学ぶと決めることと、どの講座に申し込むかを決めることは、別の決め事です。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。扱っている資格は講座ごとに決まっています。

  • 向く人:気になる仕事を2つまでにしぼり、今の自分にない知識を1つ選び、1日に使える時間の数字を出した人。
  • 向かない人:使える時間の数字をまだ出していない人(先に「詰まる所:時間がない」の手順へ)。原因A・Cの人。
  • 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
  • 使わない場合:講座や試験の案内の学習時間の目安と、自分の数字を比べて、本で進められます。

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現状維持を選んだ人

就業規則を開いて、育児に関する制度の名前を確かめます。名前が分かれば、一覧の左の列が埋まります。就業規則の場所が分からない人は、人事に「育児に関する制度が書かれた資料はどこで見られますか」と聞くところからで足ります。