求人に「女性が活躍できる会社」と書いてあっても、その一文だけでは、働き続けやすい会社かどうかは分かりません。分かるのは、その会社がそう書いたということまでです。比べるには、会社が公表している数字と、面接で聞ける事実を、同じ表に並べます。
面接で会社を訪ねたときに見えた夕方の職場の様子も手がかりにはなりますが、1回見ただけで決めるのは危ういです。
この記事では、厚生労働省のデータベースで見られる項目と、その読み方、数字が出ていない所を面接で確かめる聞き方をまとめます。制度の内容は2026年10月に厚生労働省の案内で確かめた範囲で書いています。
読み終えると、気になる1社の数字を調べ、自分にとって外せない2項目を決めて、2〜3社を同じ7項目で比べられます。
この記事でわかること
- 公表データで確認できる項目と、調べる場所
- 面接で事実として聞ける質問の例
- 夕方の職場の様子を、どこまで判断材料にしてよいか
- 複数の会社を同じ7項目で比べる表

求人の一文から分かること、分からないこと
「女性活躍」という記載から分かるのは、その会社がそう書いたという事実までです。嘘だという意味ではありません。その一文だけでは、ほかの会社と比べる材料にならないという意味です。
育児休業や短時間勤務の制度は、法律で定められているものも多くあります。差が出やすいのは、制度があるかないかよりも、使った人がその後どう働いているかのほうです。そこは求人にはほとんど書かれません。そのため、別の材料を自分で集めることになります。
子どもがいて、比べる前に「そもそも転職で不利にならないか」が気になっている人は、先に子どもがいると転職は不利、は本当かで、不利になる条件に自分が当てはまるかを数えてください。
公表データで見る項目
女性活躍推進法により、一定の規模以上の会社は、女性の活躍に関する情報を公表することになっています。2026年4月1日からは、常時雇用する労働者が101人以上の会社に、男女の賃金の差異と女性管理職比率の公表が義務づけられています。これに加えて、301人以上の会社は2項目以上、101〜300人の会社は1項目以上を選んで公表します。100人以下の会社は、公表が努力義務です。新しく義務になった項目の初めての公表は、改正後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に出す決まりです。会社の事業年度の区切りによっては、まだ数字が出ていないこともあります(2026年10月31日に厚生労働省の案内で確認)。
公表先の1つが、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。会社名で検索できます。自社のウェブサイトで公表している会社もあります。
| 項目 | 見るところ | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 女性管理職比率 | 管理職に占める女性の割合 | 業種や女性社員の比率によって水準が違います。同じ業種の会社どうしで比べます |
| 男女の賃金の差異 | 男性の賃金に対する女性の賃金の割合 | 職種や雇用形態の構成の違いも反映されます。差の理由を説明している会社もあります |
| 男女別の育児休業取得率 | 女性だけでなく男性の取得率 | 取得率だけでは期間や復帰後の役割は分かりません。面接で補います |
| 平均残業時間 | 1か月あたりの平均 | 全社の平均で、配属先によって違います |
| 有給休暇取得率 | 取得した割合 | 同上 |
| 男女の平均継続勤務年数の差異 | 男女で勤続年数に差があるか | 設立から日が浅い会社では短く出ます |
選ぶ項目は会社が決めて公表するため、すべての会社で同じ項目が見られるわけではありません。公表の義務がない規模の会社では、数字が出ていないこともあります。数字がないことだけで良し悪しは決められないので、その場合は面接で聞きます。
表の空欄は、面接で事実として聞く
「女性は働きやすいですか」と聞いても、返ってくるのは感想です。事実を聞く形にすると、比べられる答えが返ってきます。聞くのは、公表データで埋まらなかった項目にしぼります。
事実を聞く質問の例
「配属予定の部署で、育児休業から復帰された方は、いまどのような業務を担当されていますか」
「短時間勤務や在宅勤務を利用している方は、部署に何人くらいいらっしゃいますか」
「この部署の月の残業時間は、どのくらいの幅がありますか」
面接の担当者が答えを持っていない場合もあります。その場で答えが出なくても、後日教えてもらえるか、現場の社員と話す機会をもらえるかを尋ねてかまいません。
時短で働く希望があり、それをいつ言うかで迷っている人は、時短希望を言う時期と言い方を決めるで、働ける時間を時刻で書いてから面接に進んでください。
十八時の廊下で見えたことは、1回の出来事として扱う
面接で会社を訪ねたとき、夕方の職場の様子が目に入ることがあります。例えば、定時を過ぎて帰る人がいるか、帰る人にまわりがどう反応しているか、といった場面です。ただし、これは1つの部署の、ある1日の、数分間の様子にすぎません。繁忙期かどうか、見えた場所がどの部署かで大きく変わります。良く見えた場合も悪く見えた場合も、それだけで決めません。見えたことは、公表データや面接の答えと合っているかを確かめる材料として使います。
7項目で比べる表と、外せない2項目
1社だけを見ても、数字が高いのか低いのかは分かりません。同じ業種で2〜3社を並べます。
| 項目 | 調べ方 | A社 | B社 |
|---|---|---|---|
| 1. 管理職の構成 | 公表データ | ||
| 2. 男女の賃金の差異 | 公表データ | ||
| 3. 育児休業の取得と、復帰後の役割 | 公表データ+面接 | ||
| 4. 時間外労働 | 公表データ+面接 | ||
| 5. 有給休暇の取得 | 公表データ | ||
| 6. 昇進した人の事例 | 面接 | ||
| 7. 短時間勤務・在宅勤務の利用実態 | 面接 |
7項目すべてを同じ重さで見る必要はありません。先に、自分にとって外せない項目を2つ選んでおきます。長く働くことを重視するなら3と7、昇進を重視するなら1と6、というように選びます。
表が埋まってきたら、次のように読みます。
- 外せない2項目が埋まり、公表データ、面接の答え、職場で見えたことが合っている。その会社を候補に残し、ほかの条件と合わせて検討します。
- 項目が埋まらない。追加で質問します。内定後に、配属先の社員と話す機会を頼む方法もあります。
- 材料どうしが食い違う。数字は良いが面接の答えがあいまい、といった場合は、食い違った点をそのまま質問します。説明に納得できなければ、候補から外すことも選択肢になります。
採用や配置で性別を理由にした不利益な扱いを受けたと感じた場合は、各都道府県の労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
今日やることは1つです。気になる会社を1社、女性の活躍推進企業データベースで検索し、出ている数字を表に写します。数字が出ていない項目は空欄のままにして、面接で聞くことの一覧にします。外せない2項目が埋まり、公表データと面接の答えが同じ方向を向いていれば、その会社を候補に残します。食い違う所があれば、その点をそのまま質問します。
よくある質問
数字が良い会社なら安心ですか
数字は会社全体の平均で、配属先の状況までは分かりません。数字は候補をしぼるために使い、配属先のことは面接で確かめます。
公表データが見つからない会社は避けるべきですか
公表の義務がない規模の会社もあるため、見つからないことだけでは判断できません。面接で同じ項目を質問してください。
面接でこうした質問をすると不利になりませんか
会社によって受け止め方は違うため、不利にならないとは言い切れません。事実を尋ねる形にし、働き続ける前提で確かめていると伝えると、意図が伝わりやすくなります。
出典・公的情報(2026年10月10日確認)
- 厚生労働省「女性活躍推進法が改正されました!(男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務の拡大)」。制度は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の案内で確認してください。
- 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
- 厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
- 7項目の比較表はCareerPivotが整理したものです。本文中の場面は説明用の例です。