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1年間忙しく働いたのに、「できるようになったことは」と聞かれて答えに詰まることがあります。すぐに「成長していない」と決める必要はありません。この1年の変化を5つの欄に書き出すと、増えていないのか、言葉にしていなかっただけなのかが分かります。
読み終えると、書き出した結果から、空いた欄を学んで埋めるのか、職場を替えて埋めるのか、今の仕事のまま言葉にして残すのかを選び、今日の一手を決められます。
この記事で渡すもの
- スキルを5つの種類で書き出す方法
- 仕事の配合の見方
- 原因ごとの進め方と、学ぶ・移る・残るの選び方

「増えていない」と決める前に、書き出して確かめる
「スキルが増えた気がしない」という感覚は、当てにならないことがあります。日々の仕事の中で少しずつ身についたことは、本人には変化として感じにくいものです。また、「スキル」と聞くと、資格や新しい技術のような目に見えるものだけを思い浮かべやすくなります。
一方で、本当に同じことのくり返しで1年が過ぎた、という場合もあります。任された仕事を確実に終わらせる人ほど、慣れた仕事が集まりやすく、新しいことに触れる機会が減ることがあります。ただし、これが原因だと決めつけることはできません。どちらなのかは、書き出して確かめます。
スキルを5つの種類で書き出す
1年前の自分と比べて、次の5つの種類ごとに、変わったことを書きます。
| 種類 | 内容 | 変化の例 |
|---|---|---|
| 処理 | 決まった作業を、正確に速く進める | 同じ作業にかかる時間が短くなった。ミスが減った |
| 判断 | 状況を見て、どうするかを決める | 以前は上司に確認していたことを、自分で決められるようになった |
| 改善 | やり方を見直して、よくする | 手順を変えて、手戻りを減らした |
| 説明 | 人に分かるように伝える | 後輩に手順を教えた。他部署向けの資料を作った |
| 調整 | 立場の違う人の間で、進め方を合わせる | 部署をまたぐ日程の調整を任されるようになった |
予定表、送ったメール、作った資料など、日付の入った記録を見返しながら書くと、思い出しやすくなります。
処理の欄にしか書けなかった場合でも、それは価値のあることです。慣れた仕事を高い精度で進められることは、評価される力です。ただ、ほかの欄が空のままであれば、次の章に進みます。
5つの欄のいくつかに書けた場合は、増えていなかったのではなく、言葉にしていなかっただけです。書いた内容は、面談や職務経歴書の材料として残しておきます。書けた内容が今の会社の中でしか通じないものに見える人は、外で通じる分を仕分けるで、毎週の作業を10個書いて3つの箱に分けてみてください。
空いた欄があった人:仕事の配合を見る
先週1週間の仕事を、次の3つに分けます。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| A:考えなくても進められる仕事 | やり方が決まっていて、手が動くもの |
| B:少し考える仕事 | 毎回、判断が必要だが、進め方は分かっているもの |
| C:やり方を知らない仕事 | 調べたり、人に聞いたりしないと進まないもの |
Cがほとんどない週が続いているなら、新しいことに触れる機会が少ないことになります。多くの職場では、放っておくとAとBが大半を占めます。Cは、取り組んでいる間は時間がかかり、効率が落ちて見えるので、忙しいと避けられやすいからです。
原因ごとの進め方
ここまでの結果を、次の3つの原因に分けます。この3つは、この記事での整理です。研究で確かめられた分類ではありません。自分がどれに近いかを、下の問いで見分けてください。
| 原因 | 見分ける問い | 進む道 |
|---|---|---|
| ① 書けたのに、言葉にしていなかった | 5つの欄のうち、いくつ書けたか | 残る(現状維持) |
| ② 書けない欄がある。ただ、Cの仕事を入れる余地は今の担当の中にある | 先週のCの仕事は何件だったか。Cを入れたいと上司に言える担当があるか | 学ぶ(資格) |
| ③ 書けない欄があり、Cの仕事を入れる余地が今の担当にない | 担当の範囲が決まっていて、上司に聞いても新しい仕事に関わる機会がないか | 移る(転職) |
①の人:書いた内容を、伝える材料にする
5つの欄に書いた行から、いちばん自信のあるものを選びます。その行を、次の面談で上司に伝える一文にします。書いた内容は、職務経歴書の材料にもなります。詰まりやすいのは、書いた内容が社内の言葉ばかりで、外の人には伝わらないときです。その場合は、上で紹介した仕分けの方法で、外で通じる言葉に言い直します。
②の人:空いた欄に当たる知識を、学んで埋める
空いた欄を1つ選び、その欄の力を使う場面が、今の担当のどこにあるかを決めます。学んだことを使う場面がないと、知識だけが増えて、仕事の中身は変わりません。使う場面は、次の方法で作れます。
| 方法 | やり方 |
|---|---|
| 同じ仕事を、1回だけ違うやり方で行う | 順番を変える、道具を変えるなど。うまくいかなければ元に戻せる範囲で試す |
| 人に説明する機会を1つ作る | 後輩に教える、手順をまとめて共有する。説明しようとすると、自分が分かっていない点が見つかる |
| 週の終わりに、3行のメモを書く | 「何をしたか」ではなく「何ができるようになったか」で書く。書けない週が続いたら、配合を見直す合図にする |
目安として、仕事全体の1割ほどを新しいことに充てる、という考え方があります。ただし、この「1割」は試してみるための仮の数字であり、根拠のある適正値ではありません。週に1つ、Cの仕事を入れるところから始めれば足りるでしょう。
手順や成果物を変えるときは、事前に上司に伝えます。安全や法令、顧客との取り決めに関わる作業は、自分の判断で変えないでください。詰まりやすいのは、工夫してもCの仕事を入れる余地がほとんどないときです。担当の範囲が固定されているなら、原因は③です。
③の人:5つの欄を持って、外の募集と比べる
5つの欄の行を、外の人が読んでも分かる言葉に言い直します。それを手元に置いて、同じ職種の募集で、どんな力が求められているかを見ます。動く条件と残る条件をまだ持っていない人は、決め手がないとき、作る基準で、穴のあいた3つの文を埋めてから動いてください。
学ぶ・移る・残るを選ぶ基準と、今日やること
選ぶ基準は、空いた欄を埋める場所が今の担当の中にあるかどうかです。書けた欄がいくつかあり、言葉にしていなかっただけなら、残ることを選べます。空いた欄を埋める場面が担当の中にあるなら、学ぶことを選べます。担当の中に場面がなく、上司に聞いても変わらないなら、移ることを選べます。
先に増やしたい力を1つ決めておくと、どの道を選んでも動きやすくなります。5つの種類のうち、次に増やしたいものを1つ選び、その力を使う仕事を、担当の中から1つ決めます。
決め方の例(架空)
増やしたい能力:説明
使う仕事:月次の報告を、他部署の人にも分かる1枚にまとめ直す
学ぶ人の今日の一手
空いた欄を1つ選び、同じ職種の求人を3〜5件開いて、その力がどう書かれているかを見ます。求人から学ぶものを決める方法は、求人3〜5件の応募条件から、学ぶものを決めるにまとめています。
学ぶものが1つ決まった人は、試験の案内で出題の範囲を確かめ、書籍か講座かを選びます。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ有料の資格講座です。学ぶものがまだ決まっていない人、仕事の中身そのものを変えたい人には合いません。申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。使わない場合は、出題の範囲に沿った書籍1冊から始められます。
移る人の今日の一手
5つの欄の行のうち、いちばん書きやすいものを1行、外の人が読んでも分かる言葉に言い直します。その行を使って、次に選ぶ職場に求める条件を1つ書きます。
残る人の今日の一手
5つの欄に書いた行から1つ選び、次の面談で上司に伝える一文を作ります。
上司に相談しにくい場合や、1人で整理しにくい場合は、厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」で、キャリアコンサルティングなどの支援を受けられます。個人の相談は無料です。詳しい利用の方法は、案内ページで確かめてください。
よくある質問
資格を取れば、解決しますか
資格は、知識があることを示す証明になりますが、日々の仕事の内容が変わらなければ、「増えた気がしない」という感覚は残るかもしれません。先に書き出しと配合の確認をして、必要だと分かったものを学んでください。
同期は、新しい仕事を次々に任されています
任される仕事は、本人の力だけでなく、所属や時期によっても変わります。比べるなら、自分の以前の書き出しと比べてください。
この状態で転職しても、通用しないのではないでしょうか
慣れた仕事を正確に進められることは、評価される力です。それを具体的に説明できるように、書き出した内容を残しておいてください。
相談先・この記事の前提(2026年10月11日確認)
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」(個人の相談は無料で受けられます。全国に支援センターと相談コーナーがあります)
- 5つの種類、A・B・Cの分類、「1割」という目安は、CareerPivotが整理した確認用のものです。例は架空のものです。