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これからのお金

営業に向いてない?歩合のない月の手取りから確かめる

約15分で読めます

歩合の少ない月の収入を前に、営業の働き方を考える人

歩合で月収が変わる営業職が「向いていない」と感じた時に、歩合のない月の手取り、歩合が付いた月の苦痛、件数が落ちた段階の3つで原因を分け、移る・学ぶ・続けるを選ぶ手順を書きました。

※この記事には広告(プロモーション)が含まれます。

月末の夕方、あなたは実績表の自分の行に数字を入れて、席を立ちます。目標との差は、入力する前から分かっていました。帰り道に「営業に向いていないのかもしれない」と考え、同じ夜、来月の家賃のことも頭に浮かびます(説明のための例です)。

歩合(インセンティブ)で月収が変わる人にとって、数字が出ない月は、評価が下がる月であり、振込額が減る月でもあります。1つの数字が、給与と達成率と順位表に同時に届くからです。別々のことが同じ日に起きるので、「向いていない」の一言にまとまります。

この記事では、その言葉を3つに分けます。給与の形が合っていないのか。仕事の中身が合っていないのか。進め方に、変えられる所が残っているのか。最初に見るのは、歩合がいちばん少なかった月の手取り(口座への振込額)です。

この記事で扱う悩み:数字が出ない月が続いて「営業に向いていないのかも」と思うが、辞めるか続けるかを何で決めればいいのか分からない。

この記事で分かること

  • 給与明細と日報の件数から、自分の原因がどれかを見分ける方法
  • 原因ごとの進め方(求人の給与の書き写し方、移る先の職業の絞り方、上司へ送る3行の文例)
  • 転職・資格・現状維持を選ぶ基準と、明細を出した日にすること

分ける前に、窓口へ行くほうが先の人

次のどれかに当てはまる人は、相談が先です(2026年10月時点。今後変わることがあります)。

  • 眠れない日、食事がとれない日が続いている。医療機関の受診を考えてください。話す先がほしい時は、厚生労働省の「こころの耳」が、働く人と家族の相談を電話・SNS・メールで受けています。こころの耳の相談では、病名の診断や治療方法の提示は受けられません。
  • 目標に届かないことを理由に、自社の商品を買うよう求められている。代金を給与から引かれている。都道府県労働局・労働基準監督署のリーフレット(令和7年3月)は、こうした例を取り上げ、賃金控除に関する労使協定がないまま購入代金を賃金から引いた場合は労働基準法(賃金の全額払い)の違反になる、と説明しています。あなたの場合が当てはまるかどうかは、この記事では判断できません。日時、相手、言われた内容、金額のメモと給与明細を持って、代金が給与から引かれている人は労働基準監督署へ、買うよう求められている段階の人は総合労働相談コーナーへ相談してください。
  • 長い時間の強い叱責が、くり返されている。社内の相談窓口か、総合労働相談コーナー(労働局や労働基準監督署の中など全国378か所。面談か電話、予約不要、無料)に状況を伝えます。

「向いていない」を、数字2つと問い1つで分ける

給与の形・仕事の中身・進め方という3つへの分け方は、この記事で置いたものです。研究で決まった分類でも、適性の検査でもありません。

数字1:歩合がいちばん少なかった月の振込額

固定の給与と歩合を分け、毎月必要な支出と比べる
固定の給与と歩合を分け、毎月必要な支出と比べる。

直近12か月分の給与明細と、毎月の引き落としの一覧を用意します。12か月は目安で、そろわない人は手元の月数で進めます。

  1. 明細の支給の項目を、「毎月同じ額のもの」と「数字で変わるもの」に分ける。
  2. 数字で変わるものが、いちばん少なかった月を探す。その月の手取り(明細の差引支給額。口座に振り込まれた額)を書く。以下、振込額と書きます。
  3. 家賃、返済、通信費、保険料に、食費や光熱費のうちこれ以上は削れない額を足して、毎月出ていく額を合計する。この記事では「固定の支出」と呼びます。
  4. 2から3を引く。
書く項目 例(仮の数字)
その月の振込額 18万円
固定の支出の合計 21万円
差 18万円−21万円=−3万円

この例では、歩合のない月は3万円足りません。基準は平均ではなく最低の月です。平均で払えていても、最低の月に足りなければ貯蓄から出すことになるからです。

問い:歩合が付いた月も、同じ作業が苦痛だったか

歩合がしっかり付いた月を1つ思い出します。その月の訪問、提案、断られた場面を3つ書きます。振込額に不安がなかった月でも、作業そのものが苦痛だったかを見ます。

数字2:件数が落ちたのは、どの段階か

日報や案件の管理表にある件数を、成績が出ていた月と今月で並べます。

段階 成績が出ていた月(例) 今月(例)
訪問 50件 50件
提案 18件 17件
見積 12件 5件

落ちたのは見積です。次に、同じ商材を扱う人も同じ時期に落ちているかを見ます。周りは届いていて、自分の特定の段階だけが落ちているなら、進め方に変えられる所があります。周りも落ちている、担当先が減った、目標だけが上がった、という場合は、自分では変えられない側です。

3つを順に当てはめる

順番 確かめること 「はい」の人の原因 進む先
1 最低の月の振込額で、固定の支出を払えなかった A:給与の形 転職
2 歩合が付いた月でも、訪問・提案・断られることそのものが苦痛だった B:仕事の中身 資格
3 1も2も「いいえ」で、落ちた段階を1つ言える C:進め方 現状維持

1と2の両方が「はい」の人は、原因Bとして読み進めます。固定給の多い営業へ移っても、苦痛な作業は残るからです。ただし、原因Aの節の手順1で「最低の線」を書いておきます。移る時の求人を、その線で比べます。

1も2も「いいえ」で、落ちた段階も言えない人、落ちた理由が自分では変えられない側にある人は、原因Cの節の「手順どおりに進まない時」から読んでください。

歩合のない仕事で「向いていない」と感じている人には、この分け方は合いません。できているか・疲れ方・続けたい理由の3本の物差しで今の仕事に点をつける方法のほうが使えます。

原因A:給与の形が理由だった人は、最低の線を先に決める

変えるのは職種ではなく、月収のうち固定で支払われる割合です。固定給の割合が高い営業も、移る先に入ります。

手順1:最低の線を1行で書く

上の例なら、「振込額で21万円」です。数字1で出した合計が、そのまま線になります。

手順2:今の会社の下限を確かめる

歩合が付かない月の支給額がどう決まっているかは、勤務先の賃金規程(給与の決まりを書いた就業規則の一部)に書かれています。分からない時は、人事か総務に聞きます。

例:「歩合の計算方法と、歩合が付かない月の支給額の定めを確認したいと考えています。どの規程の、どの箇所を見ればよいでしょうか」

規程とは別に、国の決まりが2つあります。

  • 出来高払制の保障給(労働基準法27条)。条文は、出来高払制で働く人に、労働時間に応じた一定額の賃金を保障するよう使用者に求めています。金額は条文に書かれていません。厚生労働省の事業者向けの解説は、少なくとも、法律で決まった計算で出す「平均賃金」の6割程度の保障が妥当とされていること、固定給が賃金総額のおおむね6割程度以上を占める人はこの規定の対象に当たらないことを説明しています。6割という数は、条文ではなく解説が示す目安です。
  • 最低賃金。歩合給にも適用されます。固定給と歩合給の両方がある場合は、「固定給÷1か月の平均所定労働時間」と「歩合給÷その期間の総労働時間」を足した額を、最低賃金額と比べる方法が示されています(通勤手当や残業代などは除いて計算します)。

あなたがどれに当たるのか、勤務先の定めが足りているのかは、個別の事情で変わり、この記事では判断できません。規程を読んで分からない点は、労働基準監督署か総合労働相談コーナーで確かめられます。

手順3:求人の給与を3列に書き写す

列 書き写すもの
固定の額 基本給と、毎月同じ額で出る手当の合計の下限
歩合 何をもとに計算するか。目標に届かない月の支給
賞与 決まった月数か、業績で変わるか

比べるのは固定の額の列だけです。書かれていない列には「不明」と書き、応募の前か面接の終わりに聞きます。

例:「月給の下限の額は、歩合を含まない固定の額でしょうか。目標に届かなかった月の支給は、どうなりますか」

手順4:固定の額から振込額を見積もる

今の明細で、歩合がいちばん少なかった月の「振込額÷総支給額」を出し、求人の固定の額に掛けます。たとえば総支給額23万円、振込額18万円なら、18÷23=約0.78です。固定の額が26万円の求人は、26万円×0.78=約20.3万円で、21万円の線に届きません。27万円なら約21.1万円で、線を上回ります。税や社会保険料は収入や住む地域で変わるので、この掛け算は目安です。

年収が下がる求人しか残らなかったら

比べる数字を2つにします。年間の合計と、最低の月の振込額です。固定給が中心の仕事へ移ると、合計は下がり、最低の月は上がることがあります。固定の支出が今の最低の月を上回っている人には、最低の月が上がるほうが、支払いの見通しが立ちます。

探している間の支払いは、取り置ける貯蓄を不足の月額で割って、埋められる月数を出します。たとえば貯蓄30万円、不足が月3万円なら、30万円÷3万円=10か月です。歩合のない月が続いた場合の、いちばん短い見積もりです。

原因B:仕事の中身が理由だった人は、歩合が付いた月の場面から移る先を決める

歩合が付いた月でも苦痛だったのなら、給与の形を変えても、その作業は残ります。使うのは、問いで書いた3つの場面です。

手順1:3つの場面に共通する作業を、1行にする

3つの場面を並べ、3つともに出てくる作業を1行で書きます。

例:断られた直後に、次の訪問先へ入る

共通する作業が見つからない時は、いちばん苦痛だった場面の作業を1つ書きます。

手順2:公的な職業情報サイトで、候補を2つ開く

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、今の仕事に近い職業のページを開きます。「類似する職業」の欄から2つ選び、それぞれのタスクの一覧を開きます。

手順3:タスクの一覧に、先に三角をつける

三角は、手順1の作業に当たる行です。三角が少ないほうの職業を残します。次に、残した職業の一覧で、説明、見積、納期の調整など、営業ですでにやっている作業の行に丸をつけます。三角が同じ数だった時は、2つとも丸をつけて、丸が多いほうを残します。丸が少なくて不安な人は、営業の作業を10個書き出して、ほかの仕事でも通じる分を数える手順を先に済ませると、丸をつけられる行が増えます。

手順4:印のない行から、学ぶものを1つ決める

丸も三角もつかなかった行が、まだ持っていない分です。同じページの「就業するには?」の欄を読み、その行に当たる知識の名前を1つ書きます。資格や検定があれば、公式の案内で出題の範囲を開き、営業でまだ扱ったことのない項目の数を数えます。その数が、学ぶ量の目安です。資格を取れば移れる、とは約束できません。

ページに載っている賃金は、その職業が属する職業分類の統計で、その職業だけの数字とは限らないと注記されています。自分の年代の相場としては読まず、金額は求人の固定の額で比べます。

原因C:進め方が理由だった人は、落ちた段階を1つだけ動かす

最低の月でも支払いは回り、作業は苦痛でなく、落ちた段階を言える。今の営業を続けたまま変えられます。

手順1:今月の数字を3行に分ける

  • 事実:目標、実績、差を数字だけで書く。
  • 自分で動かせた部分:件数、時期、順番で書く。
  • 動かせなかった部分:担当先の入れ替わり、価格、相手先の予算の時期など。

例:目標12件、実績8件、差4件。

例:見積3件の提出が第4週になり、返事が翌月へ回った。

例:先月引き継いだ5社は更新の時期が先で、今月は提案の場がなかった。

手順2:2行目から、来月変えることを1つ決める

上の例なら、「見積を第2週までに出す」です。

手順3:週の終わりに、上司へ3行で送る

月末に結果だけを伝えると、上司が同行などで手伝える日が残りません。書くのは、現在、見込み(数えている案件と返事が出る日)、お願い(1つだけ)です。文は記事の終わりのほうに載せています。

手順どおりに進まない時

  • 原因が自分の側にない。3行目のお願いを、支援の依頼に替えます。担当先が減ったなら、例:「担当替えで40社から28社になり、訪問できる先が足りていません。担当先の配分を相談させてください」。目標だけが上がったなら、例:「担当先は変わっていないので、どの先で上乗せを見込む計画かを教えてください」。
  • 落ちた段階が絞れない。同行を頼みます。例:「見積のあと返事が止まる商談が続いています。来週の訪問に同行して、進め方を見ていただけますか」。
  • 件数は戻ったのに、月収が戻らない。賃金規程で4点を見ます。何に対して付くか。率に段階があるか。付かない月の支給額。いつの数字がいつの給与に反映されるか。
  • 頼んでも、配分も目標も変わらない。頼んだ日、内容、返事を1行ずつ残します。そのうえで数字1をもう一度計算し、不足が出ていれば原因Aへ進みます。不足が出ていない人は、支払いは回っているので急ぐ理由はありません。記録を続け、担当先の配分や目標が次に決まる時期を上司に聞いて、その前にもう一度同じ依頼を出します。

原因が決まれば、選ぶものは1つに決まる

選ぶもの 当てはまる事実 選んでも残ること
転職(原因A) 最低の月の振込額が固定の支出を下回る。歩合が付いた月は、作業そのものは苦痛でない 歩合が多かった月の月収には届かない場合がある
資格(原因B) 歩合が付いた月でも、作業そのものが苦痛 学ぶ時間と、仕事を覚え直す期間が要る
現状維持(原因C) 最低の月でも支払いは回る。作業そのものは苦痛でない。落ちた段階を1つ言える 歩合の割合は自分では変えられない

原因Aの人が職種ごと替えると、営業の経験を手放すうえ、給与の形は次の仕事でも確かめ直しになります。原因Bの人が固定給の営業へ移ると、苦痛な作業は残ります。3つのどれかが、だれにとっても正しいわけではありません。

明細を出した日に、ここまで進める

今の営業を続ける人:件数を並べ、3行を下書きする

相手は直属の上司です。日報から訪問・提案・見積の件数を、成績が出ていた月と並べて書きます。次に、下の文の数字と案件を入れかえて下書きに保存します。送るのは週の終わりです。

(例)今週の報告です。

現在:今月の目標15件に対して、受注は10件です。

見込み:月末は12件の見込みです。見積を提出済みで25日に回答が出る1件と、27日に訪問する1件を数えています。残りの3件は、埋める先がまだありません。

お願い:残り3件の進め方を、来週の前半に10分相談させてください。

資格を選んだ人:類似する職業を2つ開き、三角をつける

job tagで今の仕事に近い職業のページを開き、「類似する職業」から2つ選んで、タスクの一覧で、歩合が付いた月にも苦痛だった作業に三角をつけます。学ぶものが決まったあとは、試験の公式の案内と入門書があれば、自分で始められます。

学ぶものが決まったあとの学び方の1つに、オンラインの資格講座があります。スマートフォンやパソコンで学べます。

  • 合う人:取る資格と試験の時期が決まっていて、すき間時間に通信講座で学ぶと決めた人
  • 合わない人:学ぶものをまだ決めていない人(先に、タスクの一覧で決めます)、独学で進められている人、いまは受講料を出せない人
  • 負担:受講料がかかります。学習時間は自分で確保する必要があり、合格は保証されません

合う条件に当てはまり、負担も確かめた人は、次のボタンから講座の案内ページへ進めます。申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。

広告|オンラインの資格講座

資格講座の内容と費用を見る

広告です。受講は有料です。ボタンを押すと、広告主の講座の案内ページに移ります。ページを見るだけでは申込みになりません。

学ぶものをまだ決めていない人と、いまは受講料を出せない人は、先にタスクの一覧で学ぶものを決めてください。

転職を選んだ人:差を1行で書き、求人を3件書き写す

最低の月の振込額と固定の支出の差を、1行で書きます。次に、厚生労働省のハローワークインターネットサービスで求人を3件開き、給与を「固定の額・歩合・賞与」の3列に書き写します。

ハローワークの窓口と求人検索でも、3列を埋めながら探せます。移るかどうかをまだ決めていない人には、国が委託して行う無料のキャリア相談があります。仕事の紹介は行われないので、考えを整理する場として使います(2026年10月時点。今後変わることがあります)。

歩合のない月の手取りが、最初の材料になる

「向いていない」は、評価の話と、支払いの話と、仕事の中身の話が、同じ月末に重なって出てきた言葉でした。3つは、別々に扱えます。先に見るのは支払いです。歩合のない月の手取りで暮らしが回るかが分からないままだと、作業が苦痛なのか、支払いが怖いのかを区別できないからです。明細を12か月分出して、歩合がいちばん少なかった月を探す所から始めてください。

この記事で確かめた公的な情報

内容は今後変わることがあります。使う前に各案内で確かめてください。