辞めるか残るかを決められないとき、理由を聞かれても「なんとなく怖い」としか言えないことがあります。怖さがぼんやりしているうちは、備えようがなく、決められないまま時間が過ぎます。最悪の場合を3つ書き出し、それぞれを起こりやすさ、影響、自分で対処できるかの3点で見ると、怖さの中身が分かれます。
書き出す目的は、不安を増やすことではありません。「怖いのはこの3点で、そのうちいくつは備えられる」と言える状態にすることです。
読み終えると、生活費が何か月もつかを自分の数字で出せます。そのうえで、在職のまま動き始めるのか、先に学ぶのか、今の職場で1つ伝えるのかを選べます。
この記事で渡すもの
- 迷いを具体的にする3つの問い
- 起こりやすさ・影響・対処の3点での見方
- 書けなかった問いの読み方と、移る・学ぶ・残るの選び方

書く前に:眠れない、食欲がない日が続いている人へ
眠れない、食欲がないといった状態が続いている人は、書き出すより先に、体調の相談をしてください。書いているうちに不安が強くなって止まらなくなる人は、そこでやめて、日を改めるか、人と一緒に書きます。
怖さを具体的にする3つの問い
| 問い | 書き方 |
|---|---|
| 1. 転職活動がうまく進まなかったら、生活費は何か月もつか | 貯金額を、1か月の支出で割って月数を出す。感覚ではなく計算する |
| 2. 入った先が合わなかったら、次にどうするか | 1行で書く。「もう一度探す」でもよい |
| 3. いまの職場に残ると決めた場合、1年後に何がいまと違っていればよいか | 具体的な状態を1つ書く |
1つ目の計算例です(説明用の架空の数字)。貯金が120万円、1か月の支出が20万円なら、120÷20で6か月です。退職後に雇用保険の給付を受けられる場合もありますが、受けられる条件や時期、金額は人によって違います。ハローワークで自分の場合を確かめ、分かるまでは計算に入れないでおくと安全です。
書く時間は15分ほどで区切ります。書けない問いは、空欄のままにします。
書いた3つを、起こりやすさ・影響・対処で見る
3つの問いに答えたら、それぞれについて次の3点を書きます。
| 見る点 | 書き方 |
|---|---|
| 起こりやすさ | 高い・中くらい・低い・分からない。根拠を一言添える |
| 起きたときの影響 | 生活や仕事にどのくらい響くか。戻せるかどうか |
| 自分で対処できるか | できるなら対策を1行。できないなら「できない」と書く |
記入例です(架空の例)。
| 最悪の場合 | 起こりやすさ | 影響 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 転職活動が長引き、貯金が減る | 中くらい。在職中に活動すれば下がる | 大きいが、6か月の余裕がある | 在職のまま活動を始める。退職は内定後にする |
| 入った先が合わない | 分からない | 大きい。ただし再度探すことはできる | 入社前に、配属先の人と話す機会を頼む |
| 残って1年後も何も変わっていない | 高い。この1年も変わらなかった | 気持ちの面で大きい | 1年後に違っていてほしいことを1つ、上司に伝える |
景気や他人の反応のように、自分では動かせないものもあります。それらは「対処できない」と書いて、いったん脇に置きます。備えを考えるのは、対処できるものだけでかまいません。
いちばん大きい怖さから、原因を見分ける
先に、書けなかった問いがないかを見ます。
| 書けなかった問い | 考えられること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 1(生活費) | 毎月の支出を把握していない | 先に1か月の支出を調べます。これは、転職を決めるより前の準備です |
| 2(合わなかった場合) | うまくいかなかったときの道を考えたことがない | 「もう一度探す」と書けるかを確かめます。書ければ、思っていたより軽い場合があります |
| 3(1年後) | 残る場合の目標がない | 残ると決めているのではなく、まだ決めていない状態かもしれません |
1つ目が書けなかった人は、下のA・B・Cを見る前に、1か月の支出を調べるのが先です。
3つの問いのうち、いちばん大きい怖さがどれだったかで、次にすることが変わります。この分け方は、この記事での整理です。
- A:生活費の怖さがいちばん大きい。月数を出してみたら、在職のまま動けば足りると分かった
- B:入った先で通じない怖さがいちばん大きい。「もう一度探す」と書けないのは、自分の知識や経験に自信がないから
- C:3つ目が書けた。残るなら、1年後に違っていてほしいことがある
3つ目に「来年の春に、今の案件を最後まで担当し終えている」のような答えが出るなら、今の職場でやることがあります。それは残る理由になりえます。
3つ目が書けず、なぜ今の会社に残っているのかも言えない人は、辞めなかった理由を年表にする方法で、残っている理由を先に出してください。
移る・学ぶ・残るを選ぶ基準と、今日やること
A・B・Cのどれに近いかで、選ぶ道と今日やることが決まります。
Aの人は、在職のまま動き始めます。退職は、次が決まってからにします。今日やることは、1か月の支出を明細で確かめ、月数の計算を自分の数字でやり直すことです。月数が出たら、ハローワークか転職サイトで、自分で募集を探し始めます。月数が足りても動く決め手がないときは、自分に決め手がないとき、作る基準で、「いつまでに何がどうなっていなければ動く」という一文を作ってください。
Bの人は、先に学びます。今日やることは、「通じないと感じるのは( )だ」の( )を1つ書くことです。何を学ぶかが決められないときは、求人3〜5件の応募条件から決める手順で、求人に書かれた条件から学ぶ1つを選べます。
Cの人は、今の職場に残ります。今日やることは、3つ目に書いた「1年後に違っていてほしいこと」を、上司に伝える一文にすることです。あわせて、それがかなわなかったらどうするかも1行書いておきます。
どれも決められない人は、無理に決めなくてかまいません。何が怖いのかが分かった状態で待つことと、ぼんやりしたまま悩むことは違います。
1人で書くと悪いことばかり並ぶ場合は、人に聞いてもらうと、対処できるものとできないものが分かれやすくなります。厚生労働省の委託事業である「キャリア形成・リスキリング推進事業」では、キャリア形成や学び直しの相談や支援を無料で受けられます(2026年10月に事業の案内ページで確認)。利用の条件は、事業の案内ページで確かめてください。
よくある質問
3つ書いても、決められません
すぐに決める必要はありません。3つを書いた紙は、残しておいてください。次に考えるときは、何が怖いのかが分かった所から始められます。
家族に反対されそうで、書けません
反対の理由は、お金、生活の変化、気持ちのどれかであることが多いです。どれに当たりそうかを分けてから話すと、何を説明すればよいかが見えてきます。
出典・この記事の前提
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」(2026年10月10日確認)
- 3つの問い、3点での見方、原因の分け方は、CareerPivotが整理した方法です。記入例と数字は架空のものです。
- 雇用保険の給付や税金・社会保険の扱いは人によって異なります。個別の内容はハローワークなどの窓口で確認してください。