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これからのお金

「お金のためです」と答えるとき、声が小さくなる|何のために、いくら必要かを言えるようにする

約7分で読めます

仕事に渡している時間や力と、それで支えられる暮らしを見つめる静物

お金のために働くことを低い動機として扱わず、給与が何に変わっているかを書き出し、最低必要額・安心額・理想額を計算して、何のためにいくら必要かを説明できるようにする方法です。

「なぜこの仕事をしているのですか」と聞かれて、「お金のためです」と答えるのをためらうことがあります。やりがいを語る人と比べて、自分の理由が見劣りするように感じるからです。けれども、生活を成り立たせるために働くことは、十分な理由です。落ち着かなさがあるとすれば、動機が低いからではなく、そのお金が何に変わっているのか、いくら必要なのかが、自分でもはっきりしていないからかもしれません。

読み終えると、「年収を上げたい」ではなく、「何のために、いくら必要なのか」を数字で言えます。そのうえで、今の手取りが3つの額のどこにあるかから、今のまま続けるのか、収入を上げる条件に合わせて学ぶのか、移る先に求める額を決めるのかを選べます。

この記事で渡すもの

  • 給与が何に変わっているかの書き出し方
  • 最低必要額・安心額・理想額の計算
  • お金と引き換えに渡しているものの確かめ方
  • 今の手取りの位置から、現状維持・資格・転職を選ぶ基準
仕事へ渡す時間や体力などと、それによって支えられる暮らしを表した静物

お金のために働くことは、低い動機ではない

仕事を自己実現や情熱の対象として語る話は、目に入りやすいものです。うまくいった経験ほど言葉にされ、広まるからです。それと比べると、「生活のため」という理由は言いにくく感じられます。

けれども、何に力が出るかは人によって違います。仕事そのものに熱中する人もいれば、仕事の外にある生活を守れていることに安心する人もいます。これは優劣ではありません。守りたいものがあって働いている人は、働く目的がはっきりしているとも言えます。

やりがいを仕事の中だけに求める必要もありません。人と会う時間、続けている習慣、誰かを支えていることなど、日々を支えるものは仕事の外にもあります。

給与が何に変わっているかを書く

お金そのものが目的である人は、多くありません。お金は、何かに変えるための手段です。自分の給与が何に変わっているかを書き出すと、働く理由が具体的になります。

変わっているもの 内容 自分の場合(書く欄)
安心 住まい、食事、病気や失業への備え
時間 家事の負担を減らすもの、移動を短くするもの、休暇
家族・大切な人 養っている人、仕送り、一緒に過ごすための費用
選択肢 貯蓄、学ぶための費用、いざというときに動ける余裕

書いてみると、「自分は何も得ていない」と感じていた人でも、給与によって成り立っているものが多いことに気づく場合があります。逆に、どの欄にも書くことが少なく、何に使ったか分からないまま減っている場合は、使い道を、明細から書き出してみてください。

いくら必要かを、3つの額で計算する

「もっと欲しい」という気持ちを、数字にします。1か月の支出をもとに、次の3つの額を出します。できれば、家計の記録や口座の明細など、実際の数字を使います。

額 内容
最低必要額 住居費、食費、光熱・通信費など、生活を続けるのに欠かせない支出の合計
安心額 最低必要額に、貯蓄と予備の費用を足した額
理想額 安心額に、やりたいことのための費用を足した額

計算の例を置きます。数字はすべて架空です。

項目 月額
住居費 70,000円
食費 40,000円
光熱・通信費 25,000円
その他の生活費 35,000円
最低必要額 170,000円
貯蓄 30,000円
予備(医療、冠婚葬祭など) 20,000円
安心額 220,000円
やりたいこと(旅行、学びなど) 30,000円
理想額 250,000円

この額は、手元に入る金額(手取り)で考えています。額面の給与からは税金や社会保険料が引かれ、その額は人によって違います。額面でいくら必要かを知りたい場合は、自分の給与明細で、額面と手取りの差を確かめます。

3つの額が出ると、今の手取りがどこにあるかが分かります。最低必要額を下回っているなら、収入を増やすか支出を見直すことが急ぎの課題になります。安心額を満たしているなら、これ以上の収入と、次の見出しで扱う「渡しているもの」とを比べて考えられます。

渡しているものを確かめる

給与を得るために渡しているのは、時間だけではありません。

渡しているもの 渡しすぎているときの様子
時間 やりたいことが、何年も先送りになっている
体力 休日が、回復のためだけに終わる
気持ちの余裕 身近な人に、きつく当たってしまう
人と過ごす時間 誘いを断ることが増えた

4つのうち、いちばん渡しすぎていると感じるものを1つ選びます。すべてが限界ということは少なく、1つだけが大きく偏っていることがよくあります。

渡しすぎているのが仕事の量で、「仕事だけ増えて給料が変わらない」ことが引っかかっている人は、期待と給料を同じ表に書くで、増えた仕事と給料の変化を1枚に並べてください。

今の手取りが3つの額のどこにあるかで選ぶ:現状維持/資格/転職

3つの額が出たら、今の手取りがどこにあるかを見ます。この対応は、この記事での整理です。

今の手取り 選ぶ道 選ぶ基準
安心額を満たしていて、渡しているものも釣り合っている 現状維持 今の働き方は成り立っている。「生活のために働いている」と、そのまま言ってよい
安心額に届いていない。今の会社に、昇給や手当の条件がある 資格(学ぶ) その条件に、知識や資格の名前が入っている
最低必要額や安心額に届いていない。上がる条件が今の会社に見当たらない 転職 条件を聞いても、中身のある答えが返ってこない

すでに昇給を頼んで「会社も厳しい」と返された人は、その先に聞く質問と、動く目安で、何がどうなれば上がるのかを聞く3つの質問を用意してください。

安心額は満たしているが、渡しすぎているものが1つある人は、現状維持のまま、その1つについて働き方の条件を上司に相談します。「安心額を満たせるなら、時間を取り戻すことを優先する」という決め方ができます。

最低必要額を下回っている人は、道を選ぶのと同時に、支出の見直しも要ります。家計や借り入れについての具体的な判断は、状況によって異なります。個別の相談が必要な場合は、公的な相談窓口や専門家を利用してください。数字を出す気力がわかない人は、今は無理にやらなくてかまいません。疲れが強いときは、休むことを優先します。

選んだ先の今日の一手

どの道を選ぶ人も、最初にすることは、給与が何に変わっているかを4つの欄に書くことです。そのあとは、選んだ道ごとに1つだけ足します。

  • 現状維持を選んだ人:渡しているもの4つのうち、いちばん渡しすぎていると感じるものに丸をつけます。
  • 資格(学ぶ)を選んだ人:就業規則や賃金の決まりを開き、昇給や手当の条件に出てくる知識や資格の名前を1つ書き写します。見つからなければ、面談で聞く一文をメモします。
  • 転職を選んだ人:安心額を、移る先に求める手取りの額として1行で書きます。額面でいくら要るかは、自分の給与明細で額面と手取りの差を見て確かめます。移る先の条件がほかにも決まらない人は、自分に決め手がないとき、作る基準で、動く条件と残る条件を一文ずつ書けます。

よくある質問

お金のために働いている自分は、志が低いのでしょうか

生活を成り立たせ続けることは、簡単なことではありません。守りたいものがあって働くことは、十分な理由です。

やりがいを感じないまま働き続けて、よいのでしょうか

仕事の外で満たされていて、全体として無理がないなら、それで成り立っている人もいます。確かめたいのは、やりがいの有無より、渡しているものが大きくなりすぎていないかです。

好きなことを仕事にしないと、後悔しますか

好きなことを仕事にする人も、仕事の外に置いておく人もいます。どちらが合うかは人によって違い、あとから変えることもできます。

この記事の前提

  • 4つの欄、3つの額、道の選び方は、CareerPivotが整理した方法です。計算例の数字はすべて架空のものです。
  • 税金や社会保険料の額は人によって異なります。個別の金額は、給与明細や専門家に確認してください。