仕事の悩みを相談できる相手がいない、と感じるとき、多くの場合は相手がまったくいないのではありません。何でも話せる1人を探していて、その条件に合う人が見つからないのです。相談相手は1人に絞らなくてかまいません。この記事では、相談相手を4つの役割に分け、今欠けている役割を1つ見つけて、頼める人か窓口を1つ決めます。
ここで示す4つの役割は、CareerPivotが整理した考え方の枠であり、4人そろえなければならないという意味ではありません。1人が複数の役割を担うこともあります。
この記事で渡すもの
- 話せる相手が減る3つの理由
- 相談相手の4つの役割
- 欠けている役割の見つけ方と、候補の決め方

話せる相手が減るのは、人柄の問題ではない
同僚も友人も家族もいるのに、いちばん長く考えていることだけは誰にも話していない、ということがあります。それぞれの相手に、話しにくい理由があるからです。
| 相手 | 話しにくい理由 |
|---|---|
| 職場の人 | 事情はよく分かっているが、利害がある。自分が抜けると仕事が増える人、評価に関わる人には、本音を出しにくい |
| 友人 | 利害はないが、職場の事情を一から説明する必要がある。久しぶりに会った時間を重い話に使うことにもためらいがある |
| 家族・パートナー | 近いからこそ、心配をかけたくない。転職の話が、すぐ生活の話になりやすい |
3つの方向がそれぞれ別の理由で話しにくくなっているだけで、人付き合いが下手だから起きているのではありません。そして、職場の事情が分かり、利害がなく、時間があり、否定せずに聞いてくれる、という条件をすべて満たす1人は、ほとんどいません。
相談相手を、人数ではなく役割で見る
| 役割 | 返してくれるもの | 向いていない話 |
|---|---|---|
| 気持ちを聞いてくれる人 | 評価されずに話せる時間。話しているうちに、自分の考えがまとまる | 判断の材料。答えを求めると、お互いに苦しくなる |
| 職場の事情が分かる人 | 「自分だけではなかった」という安心。前提の説明がいらない | 利害が関わる話。相手の立場を考えて、話す範囲を選ぶ |
| 専門の知識や経験を持つ人 | 少し先の見通し。制度や選択肢についての具体的な情報 | その日のつらさ。助言が先に返ってくることがある |
| 利害のない外部の人 | 立場の混じらない整理。自分では気づけない前提の指摘 | 気持ちをすべて預けること |
相談してもすっきりしなかった経験は、相手が冷たかったからではなく、その相手の役割に合わない話を持っていったから、ということがあります。ただ聞いてほしかったのに助言が返ってきた、整理したかったのに共感だけで終わった、という場合です。相談したい相手が上司で、相談すると評価が下がりそうで言えない人は、相談と弱音を分ける型で、起きていること・自分の案・決めてほしいことの3つに分けてください。
いま欠けている役割を1つ見つける
次の4つに、最近の出来事で答えてみます。
- 仕事の話を、さえぎられずに最後まで聞いてもらったのは、いつだったか
- 「それはうちも同じだ」と言ってくれる人が、1人でもいるか
- 制度や進路について、具体的に教えてくれる人と、この1年で話したか
- 自分の評価にも生活にも関わらない人に、仕事の話をしたことがあるか
思い出せない問いが、いま欠けている役割です。複数あっても、最初に埋めるのは1つでかまいません。いま抱えている話にいちばん必要な役割を選びます。
専門の知識を持つ人と、利害のない外部の人は、ふだんの生活の中では自然に出会いにくい役割です。自分から接点を作る必要があります。
話す内容を3つに分けてから、相手を選ぶ
抱えていることを、次の3つに分けて書き出します。
| 話の種類 | 合う役割 |
|---|---|
| 聞いてもらえれば、それでよいこと | 気持ちを聞いてくれる人 |
| ほかの人がどうしているかを知りたいこと | 職場の事情が分かる人、専門の知識や経験を持つ人 |
| 誰かと一緒に整理したいこと | 利害のない外部の人、専門の知識を持つ人 |
分けてみると、1つ目がいちばん多いことがよくあります。その話には、答えを持っている相手は必要ありません。相手に話す前に「答えはいらなくて、聞いてほしいだけです」と一言添えると、行き違いが減ります。
誰に話す場合でも、勤務先の未公開の情報、顧客の情報、ほかの人の個人的な事情は話しません。社外の人に相談するときは、会社名や個人が特定されない形に言い換えます。
利害のない外部の人を、どこに置くか
利害のない外部の人とは、特別な人脈のことではありません。自分の評価にも生活にも関わらず、話を聞くことが役割になっている人のことです。
- キャリアの相談:厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」で、キャリア形成やリスキリングの相談などの支援が無料で行われています
- 職場のトラブルの相談:各地の総合労働相談コーナー(無料で、予約なしで利用できます)
- 気持ちや体調の相談:厚生労働省「こころの耳」に載っている相談窓口、かかりつけ医、産業医
利用の条件や方法は、それぞれの案内ページで確かめてください。相談してみて合わなかった場合は、相手を変えればかまいません。
眠れない、食欲がないといった状態が続いている場合や、つらさが強い場合は、役割の整理より先に、体調の相談窓口を使ってください。
今日やること
抱えていることを3つに分けて書き出します。欠けている役割を1つ選び、その役割を頼めそうな人か窓口を1つ書きます。知人に頼みにくければ、公的な窓口から始めます。
以前の同僚に連絡してみたいなら、元同僚に連絡するのが気まずい人の、3人の選び方と最初の一通で、連絡する相手を3人に絞って、最初の一通を書けます。
話す気力がわかないときは、無理に相談しなくてかまいません。体調がすぐれない場合は、そちらの相談を優先します。
1人で過ごす時間まで、すべて人で埋める必要はありません。誰にも話さない時間があるから、自分が何に引っかかっているのかが浮かんでくることもあります。問題になるのは、1人で抱える時間しかない状態が長く続くことです。
よくある質問
相談できる人がいないのは、人付き合いが下手だからでしょうか
職場・友人・家族のそれぞれに、話しにくい理由があります。相手の立場を考える人ほど、言葉を飲み込みやすくなります。人付き合いの上手下手だけで決まることではありません。
転職する気はまだありません。外部の窓口を使ってもいいですか
決めていない段階で相談することは問題ありません。いまの状況を説明して、整理を手伝ってもらう使い方があります。
話したあと、かえって落ち込むことがあります
聞いてほしかったのに助言が返ってきた、といった行き違いが考えられます。次は、何を求めているかを最初に伝えてみてください。話の種類と、相手の役割が合っていたかも、見直してみてください。
相談先・この記事の前提(2026年10月11日確認)
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
- 4つの役割と3つの話の種類は、CareerPivotが整理した考え方です。研究で確立された分類ではありません。