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これからのお金

転職すると有給が消える。失う日数と、取り戻すまでの月数を出す

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転職で失う有給の日数と、次に休めるまでの期間のイメージ

残っている有給のうち、辞める日までに使えない日数と、次の会社で休めるようになるまでの月数を、3つの式で自分の数字にします。有給を理由に残るのか、使う段取りをして動くのか、学ぶ日にあてるのかを決められます。

※この記事には広告(プロモーション)が含まれます。

勤怠の画面に「残り20日」と出ていると、辞めたら全部なくなるように見えます。けれど、失う日数は辞め方で変わります。この記事の例では、同じ残り20日でも、失う日数は0日から18日まで開きました。

この記事では、失う日数、次の会社で休めるようになるまでの月数、金額にした大きさを、3つの式で自分の数字にします。数字が出ると、有給を理由に残るのか、使う段取りをして会社を替えるのか、学ぶ日にあてるのかを決められます。

用意するのは、紙とペン、勤怠の画面、去年1年間の給与の合計が分かるものです。法律と統計の内容は、公的な情報で確かめた範囲だけを書いています。

制度の内容を確かめた日:2026年10月11日

先に答え。失う日数は、辞め方で変わる

先に答えます。残っている有給が全部なくなるとは限りません。辞める日までに使えた分は、失う日数に入らないからです。失う日数は、引き継ぎの終わる日と、有給を取りたい日の申し出のしかたで変わります。公的な説明で確かめられたのは、次の点です。

  • 辞める前の有給について、都道府県労働局の案内は「取ることができます。事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者が有給休暇を与える時季を変更できますが、退職日を越えて変更できません。」と説明している。
  • 使わずに残った有給は、古いものから2年で時効になる。辞めなくても、使わなければ減っていく。
  • 次の会社の有給は、法律の最低ラインでは、入社した日から6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤した時点で10日つく(労働基準法39条1項)。
  • 前の会社で働いた年数や、残った日数を次の会社へ引き継ぐ決まりは、条文にない。

辞めた場合、年次有給休暇の権利は退職日をもって消えると、厚生労働省の案内は説明しています。そこでこの記事では、辞める日までに使えなかった日数を「失う日数」として計算します。残った日数を会社がどう扱うかは、就業規則と人事の窓口で確かめてください。

式1 失う日数を出す

残っている日数 − 辞める日までに使える日数 = 失う日数

「残っている日数」は勤怠の画面の数字です。辞める日までの間に新しく有給がつく日(会社が決めている基準の日)があるなら、その日数を足します。基準の日は就業規則で確かめます。

むずかしいのは「辞める日までに使える日数」です。ここは1つの数字に決めず、少なめ・ふつう・多めの3通りで出します。

見積もり 使える日数の出し方
少なめ 今までの取り方のまま辞める日を迎えた場合。過去12か月に取った日数 ÷ 12 × 辞める日までの月数
ふつう 少なめの日数 + 引き継ぎを終えたあと、辞める日までにまとめて取る日数
多め 残りをすべて、辞める日までの出勤日に入れた場合。上限は「辞める日までの出勤日数 − 引き継ぎに要る日数」

数字を入れてみます。ここからの数字は、説明のための例の数字です。

  • 残っている日数:20日
  • 過去12か月に取った日数:6日
  • 辞める日までの月数:4か月(出勤日はおよそ80日)
  • 引き継ぎに要る日数:30日
  • 引き継ぎのあとにまとめて取る日数:8日
見積もり 使える日数 失う日数
少なめ 6 ÷ 12 × 4 = 2日 20 − 2 = 18日
ふつう 2 + 8 = 10日 20 − 10 = 10日
多め 20日(上限は 80 − 30 = 50日なので、20日は入る) 20 − 20 = 0日

同じ「残り20日」でも、失う日数は0日から18日まで開きます。

ただし、多めの見積もりが申し出たとおりになるとは限りません。会社は、事業の正常な運営を妨げる場合に、有給を取る時季を変えることができます。辞める日の調整を、会社から打診されることもあります。引き継ぎなどのために辞める日を遅らせるよう打診された時、応じるかどうかは働く人に委ねられていると、厚生労働省の案内は説明しています(2026年10月31日に確認)。だから3通りで出しておき、このあとの式には「ふつう」の数字を入れ、「少なめ」になった場合も横に書いておきます。

式2 次の会社で休めるようになるまでの月数を出す

取り戻すまでの月数 = 入社した日から、失う日数と同じ日数がつく日までの月数

「取り戻す」をこの形で数えるのは、この記事での整理です。法律の最低ラインでは、有給がつく時期と日数は次のとおりです(労働基準法39条、厚生労働省の案内。2026年10月11日時点。週に働く日数や時間が少ない人は、これより少ない日数になります)。

入社してからの期間 その時につく日数 入社からの合計
6か月 10日 10日
1年6か月 11日 10 + 11 = 21日
2年6か月 12日 21 + 12 = 33日

右の列は、ついた日数を1日も使わなかった場合の合計です。式1の例をこの表に当てはめます。

  • 失う日数が10日(ふつう):6か月の時点で10日つくので、取り戻すまで6か月
  • 失う日数が18日(少なめ):6か月の時点では10日で足りない。1年6か月の時点で合計21日になるので、取り戻すまで18か月
  • 失う日数が0日(多め):取り戻す日数はない。ただし、入社してから最初の有給がつくまでの6か月は同じ

これは法律の最低ラインで出した月数です。入社した日に有給をつける会社、6か月を待たずに何日かを先につける会社、日数を上乗せする会社もあります。「転職すると半年は有給がない」と決めてしまわず、内定の時にもらう書面や就業規則で、いつ・何日つくのかを確かめてから、この式に入れ直してください。最初の有給がつくまでの間に休む用事ができた時の扱いも、会社ごとに違います。

日付の決まった予定がある人は、予定と入社の順番を先に決める

まとまった休みが要る予定の日が先に決まっている人は、式2の月数をその日と並べます。順番は3通りです(この記事での整理です)。

順番 予定の日の休み 引き受けるもの
予定の前に入社する 法律の最低ラインでは、入社から6か月たつまで有給がない。早くつける会社かどうかで変わる 入ったばかりの職場で休みを頼む
予定の前に探し、予定のあとに入社する 今の会社の有給か、辞めてから入社するまでの期間を使う 予定の準備と、応募や面接の日が重なる
予定のあとに探し始める 今の会社の有給を使う 今の会社にいる期間が、その分のびる

入社の時に有給がつくかどうかを確かめる手がかりは2つあります(2026年10月時点の様式。変わることがあります)。

  • 会社がハローワークに出す求人申込書の様式には、「入社時の年次有給休暇日数」と「6ヶ月経過後の年次有給休暇日数」を書く欄があります。
  • 厚生労働省が示す労働条件通知書のひな形には、休暇の欄に「継続勤務6か月以内の年次有給休暇(有・無)」があります。

入社時の日数が0日なら、表の順番を選び直します。

式3 失う日数を金額にする

失う日数 × 一日あたりの金額(年収 ÷ 一年に働く日数)= 金額にした大きさ

年収は、税や保険料を引かれる前の1年の合計です。一年に働く日数は、365日から会社の年間の休日数を引いて出します。年間の休日数は、就業規則や入社の時の書面で確かめます。

例の数字で計算します。年収480万円、年間の休日125日の場合です。

  • 一年に働く日数:365 − 125 = 240日
  • 一日あたりの金額:4,800,000円 ÷ 240日 = 20,000円
  • 失う日数が18日(少なめ):18 × 20,000円 = 360,000円
  • 失う日数が10日(ふつう):10 × 20,000円 = 200,000円
  • 失う日数が0日(多め):0円

この金額は、大きさを比べるための目安です。有給を取った日に実際に払われる賃金の計算方法は会社の決まりによるので、明細の金額とは合わないことがあります。

金額にすると、ほかのものと並べて比べられます。たとえば、次の会社から書面で年収が示され、今より年に24万円多い場合。月にすると 240,000円 ÷ 12 = 20,000円の差なので、失う20万円は 200,000円 ÷ 20,000円 = 10か月で埋まる計算になります(例の数字)。この計算に入れるのは、書面で示された数字だけにしてください。「上がるはず」という見込みを入れると、比べる意味がなくなります。

変えたいものがお金ではない場合もあります。その時は、「20万円を払ってでも、それを変えたいか」と自分に聞いてください。

出た数字を、3つの問いにかける

ここまでで、紙には3つの数字が並んでいます。例でいえば「失う日数10日(少なめなら18日)」「取り戻すまで6か月(少なめなら18か月)」「金額にして20万円(少なめなら36万円)」。この数字を見ながら、次の問いに答えます。

  1. 失う日数を金額にして、それでも動きたい理由がありますか。
  2. 有給のことがなかったとして、行きたい先が思い浮かびますか。そこは、今の自分で応募できる先ですか。
  3. 有給が多くて取りやすいことは、今の会社を選ぶ大きな理由ですか。

答えによって、動けなかった原因は3つに分かれます。この分け方は、この記事での整理です。検査や研究にもとづくものではなく、次にすることを決めるための目安として使ってください。

答え 原因 進む道
問い1に「ある」。問い2に「思い浮かぶ。今の自分で応募できる」 A:数字にすると、失うものより、会社を替えて変えたいことのほうが大きい 転職
問い2に「行きたい仕事はあるが、今の自分では応募の条件に足りない」「はっきり言えない」 B:行きたい仕事はあるが、応募の条件に足りないものがある 資格
問い3に「大きな理由だ」。問い1に「金額を見たら、動く理由のほうが小さい」 C:有給が多く、取りやすいことが、今の会社の大きなよさだった 現状維持

原因A 変えたいことのほうが大きい人は、使う段取りをして動く

数字を出しても動きたい理由が残った人は、「もったいない」を小さくする段取りをして、会社を替えます。することは、式1の「ふつう」を「多め」に近づけることです。

  1. 辞めたい月を決め、就業規則で、辞める申し出をいつまでにする決まりかを確かめる。
  2. 引き継ぐ仕事を書き出し、引き継ぎに要る日数を出す。
  3. 最後に出社する日と辞める日の間に、残りの有給を入れる。入りきらない分は、引き継ぎの間に1日ずつ入れる。
  4. 辞める申し出と同じ時に、有給を取りたい日を伝える。
  5. 次の会社を探す時は、内定の時の書面で、有給がいつ・何日つくかを確かめ、式2に入れ直す。

4で使える申し出の文です。

(例)○月○日付で退職したいと考えています。引き継ぎは○月○日までに終える予定で、引き継ぐ仕事の一覧を作りました。残っている有給○日のうち○日を、○月○日から○月○日の間に取らせてください。日にちの調整が要る所があれば教えてください。

話し合いで決まらない時は、個別の事情による判断になります。厚生労働省が都道府県の労働局などに置いている総合労働相談コーナーに相談できます(2026年10月11日時点)。

詰まる所と次の手:「入ってすぐは休めないのが心配」で止まることがあります。内定が出て、入社する日を決める時に、次のように確かめてください。

(例)入社日を決める前に、1点確かめさせてください。年次有給休暇は、入社して何か月目に、何日つきますか。それまでの間に通院などで休む必要が出た場合の扱いも、教えていただけますか。

答えを聞いたら、式2の月数を書き直します。

子どもの行事などで有給の残りが少なく、転職活動に使う休みが足りるかが気になる人は、『休みが要ることと要らないことを分けて、日数を数える段取り』で、面接に要る日数を先に数えられます。

原因B 行きたい仕事に足りないものがある人は、20日を残したまま学ぶ

問い2で「行きたい仕事はあるが、今の自分では足りない」と答えた人は、有給のほかに、足りないものが動けない理由になっている場合があります。この場合、辞めずに学ぶのが合います。辞めないので、式1の「失う日数」は0日です。

  1. 行きたい仕事を1行で書く。
  2. その仕事の募集を3つ見て、求められていることを3つ書き出す。
  3. 3つのうち、今の自分に足りないものを1つ決める。3つの募集のどれにも出てくるものを選ぶ。
  4. それを学べる講座や資格を調べ、学ぶ期間を書く。
  5. 残っている有給を、試験の日や講座の日にあてる。

5には理由があります。残った有給は古いものから2年で時効になるので、何もしなければ、辞めなくても減っていきます。有給は、何のために使うかで取ることを制限されるものではない、と厚生労働省は説明しています。「失うのがこわい20日」を、学ぶ日として使えます。

学ぶ講座を選ぶ前に、費用の一部が戻る制度を自分が受けられるかは、『講座代が戻る条件を確かめる5つの項目』の表を埋めると分かります。

詰まる所と次の手:「何が足りないのかが分からない」時は、気になった募集を読んでいて、意味が分からなかった言葉を3つ書き出してください。資格の名前、道具の名前、仕事の進め方の名前。その中で、2つ以上の募集に出てきた言葉が、学ぶものの候補です。行きたい仕事がまだ1行にならない人も、手順1から始めます。仕事の名前でなく「今より○○ができる仕事」という書き方でかまいません。

原因C 休みやすさが大きなよさだった人は、数字で残る理由を書く

問い3に「大きな理由だ」と答えた人は、有給に引きとめられているのではなく、今の会社のよい所を正しく見ています。残ることを、あいまいな先のばしから、自分で選んだことに変えます。

  1. 過去12か月に、有給が何日ついて、何日取れたかを書く。
  2. 公的な統計と並べる。
  3. 残る理由を、日数の数字を入れた一文にする。
  4. 残っている有給を使う予定を、上司に申し出る。

2で並べる数字です。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、令和6年の1年間に、労働者1人平均でついた有給は18.1日、取った日数は12.1日、取得率は66.9%でした。調べたのは、常用労働者30人以上の民営企業です。30人未満の会社は入っていません。取得率は、全体の取った日数をついた日数で割ったもので、一人ひとりの取得率を平均した数字ではありません。目安として並べるだけにしてください。

3の一文は、たとえばこう書きます。

(例)年に20日ついて、この1年で15日取れた。調査の平均(18.1日ついて12.1日取得)より多い。この休みやすさを理由に、今の会社に残る。

書いてみて、「20日ついたが、取れたのは4日だった」となる人もいます。その場合、多いのは「ついた日数」で、「取りやすさ」ではありません。残る理由になるかどうかは、手順4を1回してみてから決めます。

詰まる所と次の手:取りにくい空気がある職場では、「休んでもいいですか」と聞くと話が進みません。日にちを先に出して申し出ます。

(例)○月○日と○月○日に有給を取りたいです。その週の△△の作業は、前の週のうちに終わらせておきます。都合の悪い日があれば別の日に変えますので、教えてください。

会社が時季を変えることはありますが、日にちを出しておけば、「いつなら取れるか」という話になります。

3つの道の選び方

選ぶ道 選ぶ基準 数字の見方
転職 式3の金額を見ても、変えたいことのほうが大きい。行きたい先に今の自分で応募できる 「ふつう」の失う日数を、段取りで「多め」に近づける
資格 行きたい仕事はあるが、求められることに足りないものがある 失う日数は0日。残りの有給を学ぶ日にあてる
現状維持 有給の多さと取りやすさが、今の会社を選ぶ大きな理由になっている ついた日数と取れた日数を並べ、残る理由を一文にする

比べる相手は「残り20日」ではなく、式1で出した失う日数です。その日数は、引き継ぎの終わる日を先に決め、辞める申し出と同じ時に有給を取りたい日を伝えることで、小さくできる場合があります。金額にしても変えたいことのほうが大きい人は、使う段取りをして会社を替えます。行きたい仕事に足りないものがある人は、辞めずに、残りの有給を学ぶ日にあてます。休みやすさが今の会社を選ぶ大きな理由だった人は、ついた日数と取れた日数を書いて残ります。

選んだ人が、今日書く1行

転職を選んだ人

紙に「残り○日。○月に辞めたい」と書きます。その下に、式1の3通りを自分の数字で計算してください。過去12か月に取った日数は勤怠の画面で分かります。計算が終わったら、就業規則を開き、辞める申し出の時期と、有給の基準の日の2か所を見ます。次の会社を探す時は、「有給がいつ・何日つくか」を、内定の時に確かめる項目として同じ紙に書いておきます。仕事を探す先は、転職サイトでもハローワークでもかまいません。

資格を選んだ人

行きたい仕事を1行で書きます。「○○の仕事」「今より○○ができる仕事」のどちらでもかまいません。書けたら、その仕事の募集を1つだけ開き、求められていることを3つ写します。足りないものを1つ決めるのは、3つの募集を見てからで間に合います。

学ぶと決めることと、講座に申し込むことは、別の決め事です。原因Bの手順4で「学べる講座や資格を調べる」時の調べ先の1つに、オンラインの資格講座があります。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。

  • 向く人:行きたい仕事の募集を3つ見て、足りないものを1つ決めた人。それが資格や知識で、講座で学べるものだった人
  • 向かない人:足りないものがまだ決まっていない人(原因Bの手順1〜3が先です)。足りないものが「経験◯年以上」のように、学ぶだけでは手に入らないものだった人。会社を替えると決めた人、残ると決めた人は、それぞれの1行に進んでください
  • 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
  • 使わない場合:試験を行う団体の案内と市販の本で、学ぶ期間と費用は調べられます。残りの有給を試験の日にあてる手順は、講座を使わなくても同じです

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現状維持を選んだ人

残る理由を、数字つきで1行書きます。「年に○日ついて、この1年で○日取れた。だから残る」。勤怠の画面を見れば、数字はすぐに入ります。書いた1行の下に、次に有給を取りたい日を2つ書いてください。

この記事で確かめた公的な情報

ここに書いた日数は法律の最低ラインです。会社ごとの就業規則で、つく時期や日数が違うことがあります。法律や統計は今後変わることがあるので、決める前に、就業規則と公的な案内で確かめてください。