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この記事を読むと、「転職したら一緒に住もう」と言った恋人が本当は何を変えてほしいのかを一問で確かめ、それが転職でしか変えられないのかを見分けて、恋人に返事ができます。
うれしい。けれど「転職したら」が頭に残る
一緒に住む話になったとき、恋人が言った。「転職したら一緒に住もう」。一緒に住みたいと思ってくれているのは、うれしい。けれど、その前についていた「転職したら」が、あとからじわじわ重くなってきます。今の仕事のままではだめだ、と言われたのだろうか。転職できなかったら、この話はなくなるのだろうか。
その場では「うん」と答えたか、あいまいに笑ったか。どちらにしても、そのあと求人をいくつか見てみたものの、どれを選べばよいのか決め手がない、という状態かもしれません。
決め手がないのは当たり前です。恋人が「転職」という言葉で何を変えてほしいのかを、まだ聞いていないからです。収入なのか、帰る時間なのか、住む場所なのか、会社の先行きなのか。それによって、探す会社はまったく変わります。そもそも、会社を替えなくても変えられるものかもしれません。
この記事では、恋人との関係の進め方や、一緒に住む準備の話はしません。扱うのは、恋人に聞く一問と、その答えをどう仕分けて、仕事の面で何をするかだけです。
聞く一問:「転職したら、何が変わってほしい?」
聞くのは、これだけです。
「転職したら、何が変わってほしい?」
「なぜ転職してほしいの?」とは聞きません。「なぜ」で聞くと、恋人は理由を説明する側に回り、責められているように感じます。「何が変わってほしい?」と聞くと、恋人は、今の暮らしのどこに困っているかを答えられます。知りたいのは理由ではなく、変えてほしいものの名前です。
切り出し方の文例
まだ返事をしていない人:
「一緒に住もうと言ってくれて、うれしかった。ちゃんと返事をしたいから、1つだけ聞かせて。転職したら、何が変わってほしい?」
もう「うん」と答えた人:
「この前の、転職したら一緒に住もうという話。うんと言ったけれど、どんな会社を探せばいいかが分からなくて、進められていない。転職したら、何が変わってほしいと思っていた?」
顔を見て聞きにくい人は、文字で送る:
「この前の話、前向きに考えているよ。そのうえで1つ聞きたい。転職したら、何がいちばん変わってほしい? 急がないので、思いついたら教えて。」
答えがあいまいだったときの聞き返し
「なんとなく」「今のままだと不安で」と返ってくることがあります。そのときは、選べる形にして、もう一度だけ聞きます。
「収入、帰る時間、住む場所、会社の先行き。この4つなら、どれがいちばん近い?」
4つのどれでもない答え(たとえば「あなたが楽しそうに働いていてほしい」)が返ってきたら、「それは、今のどんな所を見てそう思った?」と聞きます。たいていは、帰りが遅い、休みの日も疲れている、といった形で、4つのどれかに近づきます。
答えを4つに仕分ける
恋人の答えを、次の4つのどれかに入れます。入れたら、それぞれで確かめることが決まります。
収入
「二人で暮らすには今の収入だと心配」という答えです。ここで確かめることは2つあります。1つは、恋人が思っている「これくらいあれば」の金額。もう1つは、自分と同じ職種・同じ年代の平均です。
金額は、恋人に聞きます。
「年収でいうと、いくらくらいあれば安心できる? だいたいでいいよ。」
同じ職種の平均は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」で調べます。職種の名前で検索し、「労働条件の特徴」にある賃金(年収)を、都道府県を選んで見ます。「年齢別の年収グラフ」で自分の年代の数字も見られます。年代別のグラフは全国の数字です(2026年10月31日に確かめた表示です。数字は更新されるので、調べた日を書いておきます)。これは統計上の平均で、自分の仕事とぴったり同じ区分とは限りません。
| 並べる数字(どれも年額) | 書き込み |
|---|---|
| 今の自分の年収(引かれる前の総額) | ( )万円 |
| 同じ職種・同じ年代の平均(job tag) | ( )万円 |
| 恋人が「あれば安心」と言った金額 | ( )万円 |
答えが「収入」で、頼って辞めるか、働きながら動くかを迷うなら、『恋人に「仕事辞めてもいいよ」と言われた。頼る前に二人で決める事』で、期間(月の数)・毎月の払い・その間にすることを書いて、二人で決められます。
帰る時間
「一緒に住んでも、帰りが遅いと顔を合わせられない」という答えです。確かめるのは、恋人が何時に帰ってきてほしいのか、週に何日なのか。そして、今の会社でその時間に帰ることを頼んだことがあるかどうかです。頼んだことがないなら、「変えられない」とはまだ言えません。
住む場所
「今の職場に通える所だと、こちらの職場から遠い」「勤務地が変わるかもしれない仕事だと、住む所を決められない」という答えです。確かめるのは、今の会社で、働く場所について何が決まっているかです。入社のときにもらった書面や就業規則に、働く場所と、それが変わる範囲がどう書かれているかを見ます。2024年4月1日以降に労働契約を結んだ人や、期間の決まった契約を更新した人の書面には、働く場所が変わる範囲が書かれることになっています。それより前に入社した人の書面には、書かれていないことがあります(2026年10月31日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。在宅で働ける日の決まりがあるかどうかも、就業規則で見ておきます。
会社の先行き
「今の会社、この先だいじょうぶなの?」という答えです。確かめるのは、恋人が何を見て、または何を聞いて、そう思ったのかです。自分が仕事の愚痴として話したひと言が元になっていることもあります。
「どの話を聞いて、そう思った?」
元になった話が分かれば、それが今も当てはまるのか、もう済んだ話なのかを、自分で答えられます。
転職でしか変えられないのかを見分ける、3つの問い
仕分けが済んだら、自分に3つ聞きます。
- 恋人が変えてほしいものは、今の会社で変えられるか。上司に頼む、会社の決まりを使う、恋人に正しい事情を伝え直す、のどれかで変わるなら「変えられる」です。
- 答えが収入だった場合、同じ職種の平均と比べて、今の自分は低いか。上の表の1行目と2行目を比べます。
- 恋人に言われる前から、自分も会社を替えたいと思っていたか。
答えから分かる原因(この記事での整理)
次の分け方は、この記事での整理です。二人の関係を判定するものではなく、仕事の面で何をするかを決めるために使います。
| 原因 | 当てはまる答え | ルート |
|---|---|---|
| A:恋人が変えてほしいもの(時間・場所・先行き)は、今の会社では変えられない | ①が「変えられない」。収入の場合は、②で同じ職種の平均より低く、今の会社では上がる見こみがない | 転職 |
| B:変えてほしいのは収入で、今の職種のままではどの会社でも届かない | 同じ職種の平均そのものが、恋人の言った金額に届いていない | 資格 |
| C:変えてほしいものは、今の会社のままでも変えられる | ①が「変えられる」 | 現状維持 |
③の問いは、原因を分けるためではなく、Aになった人が自分の気持ちを確かめるために使います。「言われる前から替えたかった」人は、恋人の言葉が後押しになります。「自分は替えたいと思っていなかった」人は、Aの中の「自分は乗り気でないとき」を読んでください。
Aだった人:二人の条件で、会社を替える
恋人が変えてほしいものが、今の会社では変えられない。この場合、「転職したら」は思いつきではなく、中身のある言葉だったことになります。ただし、探すのは「恋人が喜びそうな会社」ではありません。恋人が言った「変えてほしいもの」を、会社の条件に書き直して、その条件で探します。
- 変えてほしいものを、条件として書く。帰る時間なら「( )時までに退社できる日が週( )日以上」。住む場所なら「働く場所が( )から通える範囲で、変わる範囲が( )まで」。先行きなら、恋人が不安に思った点の反対(例:「( )の事業だけに頼っていない」)。
- その条件で探す。職種は今と同じにして、条件を満たす求人があるかを、ハローワークの求人検索などで見ます。
- 住む時期を、二人で決める。内定が出たときに住み始めるのか、新しい会社に慣れてからにするのかを、恋人に聞きます。
住む時期を決めるときに、知っておくとよいことが2つあります。
- 会社は、労働契約を結ぶときに、働く場所や、決まった時間を超えて働くことがあるかどうか、休日などを書面で示すことになっています。手順1の条件は、内定のときにもらう書面で確かめられます。住む場所を決めるのは、その書面で働く場所と変わる範囲を見てからにします。
- 年次有給休暇は、法律の最低ラインでは、入社した日から6か月続けて働き、働くことになっている日の8割以上出勤した時点で10日つきます。入社してすぐの引っ越しや手続きに休みを使いたい場合、有給がいつからつくか(入社の日に前倒しでつける会社もあります)を、内定のときの書面や就業規則で確かめておきます。
どちらも2026年10月11日に確かめた決まりで、今後変わることがあります。
自分は乗り気でないとき。恋人の条件だけで会社を選ぶと、入社したあとで「自分は替えたくなかったのに」という気持ちが残ります。そこで、自分の条件を1つ足します。「今やっている( )の仕事は続けたい」「年収は今より下げない」など、1つだけです。恋人の条件1つと、自分の条件1つ。この2つを「二人の条件」として、両方を満たす求人だけを見ます。両方を満たす求人が見つからない間は、動かなくてかまいません。その場合は、探した結果を数で恋人に伝えます。
一緒に住む話ではなく、結婚の準備の中で転職を勧められている人は、『結婚を機に相手が転職を勧めてくる。その理由を聞き分ける』で、式や引っ越しと重ならない月に、仕事探しを置けます。
恋人への返事(A)
「変えてほしいのは( )だと分かった。今の会社では変えられないから、会社を替えることを調べる。条件は、あなたの言った( )と、自分が続けたい( )の2つにする。住み始める時期は、内定が出たときに、もう一度二人で決めたい。」
Bだった人:収入の上がる力をつける
変えてほしいのは収入。けれど、同じ職種・同じ年代の平均が、恋人の言った金額に届いていない。この形のときは、同じ職種の中で会社を替えても、届きにくいままです。今の仕事に近くて平均の高い仕事へ移れるように、足りない知識を1つ学びます。
- 相場を調べる。上の表の2行目を、job tagで埋めます。
- 近い仕事を1つ決める。job tagの自分の職種のページにある「類似する職業」から、賃金(年収)が恋人の言った金額に近いものを選びます。
- その仕事に要る知識を1つ決めて、学ぶ。選んだ職業の「就業するには?」を見て、自分が持っていない資格や知識を1つ選びます。
- 学ぶ期間を、恋人に伝える。
資格を取れば収入が上がる、と約束することはできません。だから、学ぶものは、今の仕事の経験に足せるものを選びます。学ぶ講座によっては、国の教育訓練給付の対象になります。対象の講座は厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられ、自分が給付の条件に当てはまるかはハローワークで確かめられます(2026年10月11日に確かめた内容です。今後変わることがあります)。
待たせるのが苦しいとき。Bの人がいちばん詰まるのはここです。「勉強するから待ってほしい」とだけ言うと、恋人はいつまで待てばよいのか分かりません。期間を数字で伝え、途中で一度、進み具合を話す日を入れます。
「( )の勉強を、( )月から( )月までの( )か月でやる。半分の( )月の終わりに、どこまで進んだかを話すね。そのとき、一緒に住む時期の話ももう一度したい。」
学び終えるまで一緒に住まない、と決める必要はありません。住む時期をどうするかは、期間を伝えたうえで、恋人と決めることです。
恋人への返事(B)
「変えてほしいのは収入だと分かった。調べたら、今の仕事は、どの会社でも平均が( )万円くらいだった。会社を替えるだけでは届かないから、( )を勉強して、できる仕事を広げる。期間は( )か月。」
Cだった人:今の会社のまま、変える
恋人が変えてほしいものは、会社を替えなくても変えられる。この場合、恋人は「転職」という言葉を使いましたが、ほしかったのは転職ではなく、変化のほうです。
- 変えてほしいものを、1行で書く。恋人の言葉のまま書きます。
- それを、上司に頼むことに直して、頼む。
- 変わったことを、恋人に伝える。
頼み方が分からないとき。変えてほしいものごとに、頼む一文を置きます。
帰る時間:
「来月から、退社の時間を( )時にしたいと考えています。夕方に入ることの多い( )の仕事を、午前のうちに進める形にできないか、相談させてください。」
住む場所(在宅で働ける決まりが就業規則にある会社の場合):
「( )に引っ越すことを考えています。在宅で働く日を週( )日にする形は、今の担当でできるでしょうか。」
収入:
「今の等級から1つ上がるために、何ができるようになればよいかを教えてください。次の評価までに取り組みたいです。」
会社の先行きは、上司に頼んで変わるものではありません。恋人の不安の元が、前に話した愚痴や、もう済んだ出来事だった場合は、恋人に伝え直します。
「前に( )の話をしたから、心配させたと思う。あれは( )で、今は( )になっている。」
頼んでみて、「それはできない」とはっきり返ってきたら、①の答えが「変えられない」に変わります。そのときは、Aの進め方に移ります。
恋人への返事(C)
「変えてほしいのは( )だと分かった。それは、会社を替えなくても変えられそうだから、上司に頼んでみる。結果は( )ごろに話すね。変わったら、一緒に住む話を進めたい。」
転職・資格・現状維持、どれを選ぶか
- 転職を選ぶ基準:恋人が変えてほしいものが、時間・場所・先行きのどれか(または、同じ職種の平均より低い収入)で、今の会社では変えられないと確かめられた。原因Aの人。
- 資格を選ぶ基準:変えてほしいのが収入で、同じ職種の平均そのものが、恋人の言った金額に届いていない。学ぶ期間を数字で言える。原因Bの人。
- 現状維持を選ぶ基準:変えてほしいものが、上司に頼む、会社の決まりを使う、恋人に伝え直す、のどれかで変えられる。原因Cの人。
恋人が「転職」と言ったから転職を選ぶ、のではありません。恋人が変えてほしいものを、実際に変えられるものを選びます。Cの人が今の会社のまま帰る時間を変えられたなら、それは恋人の言葉に応えたことになります。
選んだ先の最初の一手
どの人も、今日することは同じ所から始まります。恋人に、一問を聞くことです。答えが返ってきたあとの一手は、次のとおりです。
転職を選んだ人
恋人の答えを、条件の1行に書き直します。「( )であること」。その下に、自分の条件を1行足します。自分で進める場合は、ハローワークの求人検索で職種を今と同じにし、2行の条件を両方満たす求人が何件あるかを数えます。数えた結果を、そのまま恋人に伝えます。
資格を選んだ人
job tagで今の職種を検索し、賃金(年収)の数字を、調べた日付と一緒に書き写します。それを恋人の言った金額と並べます。自分で進める場合は、同じページの「類似する職業」を開き、金額の近い職業の「就業するには?」から、学ぶものの候補を1つ書き出します。
学ぶと決めることと、どの講座に申し込むかを決めることは、別の決め事です。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。扱っている資格は講座ごとに決まっています。
- 向く人:恋人の言った金額と職種の平均を並べ、近い仕事に要る知識を1つ選び、学ぶ期間を恋人に伝えた人。
- 向かない人:恋人にまだ一問を聞いていない人(先に聞きます)。変えてほしいものが時間・場所・先行きだった人(原因AかCへ)。
- 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
- 使わない場合:教育訓練講座検索システムと本で、同じ手順を進められます。
現状維持を選んだ人
変えてほしいものを、恋人の言葉のまま1行で書きます。その下に、上の頼む一文から合うものを写し、( )を埋めます。上司に声をかけるのは、次に出勤した日でかまいません。
うなずくのは、一問のあとでいい
「転職したら一緒に住もう」は、条件を突きつけた言葉とは限りません。恋人の中にある、今の暮らしへの心配が、「転職」という一語にまとまって出てきただけかもしれません。その一語の中身を確かめるのが、「転職したら、何が変わってほしい?」という一問です。答えが分かれば、返事は「うん」ではなく、「( )を変えるね」と言えるようになります。