職場を変えたいと思ったとき、理由として最初に浮かぶのは給料であることが多いです。金額は数えられて、人にも説明しやすいからです。ただ、本当の不満が時間の使われ方にある場合、給料の高い職場に移っても解決しないことがあります。反対に、本当に給料が理由である場合もあります。どちらなのかは、1週間測ると見当がつきます。
読み終えると、希望する年収に加えて「守りたい時間条件」を3つ数字で書けます。そのうえで、今の会社で条件を聞くのか、学ぶのか、移るのかを選べます。
この記事で渡すもの
- 1週間で測る、時間に関わる7項目
- 守りたい時間条件の選び方
- 原因ごとの進め方と、聞く・学ぶ・移るの選び方

給料は、理由として挙げやすい
厚生労働省の令和6年「雇用動向調査」によると、令和6年の1年間に転職して入職した人のうち、前の職場より賃金が増えた人は40.5%、減った人は29.4%、変わらない人は28.4%でした(2026年10月に結果の概況で確認)。会社を替えれば給料が上がる、とは言えません。
これは、給料を理由にしてはいけないという意味ではありません。給料だけを理由に動く場合、それがかなわないこともある、ということです。ほかにも変えたい条件があるなら、先に言葉にしておくと、選ぶ基準が増えます。
辞めたい理由を「お金のため」としか言えず、そう言うことに引け目があるなら、「お金のためです」と答えるとき、声が小さくなるで、最低必要額・安心額・理想額を出して、今の手取りの位置を言葉にできます。
そのために、これから1週間、記録を取ります。測っている間に疲れが強くなったら、記録より休むことを優先してください。必要なら、上司や相談窓口に相談します。
1週間、時間に関わる7項目を測る
| 項目 | 測り方 |
|---|---|
| 労働時間 | 始業から終業までの実際の時間 |
| 通勤 | 家を出てから職場に着くまで。往復で記録する |
| 予測できない残業 | 当日になって決まった残業の回数と時間 |
| 勤務時間外の連絡 | 終業後や休日に、仕事の連絡に対応した回数 |
| 休暇 | 予定どおり休めたか。休みの日に仕事をしたか |
| 勤務場所 | 出社と在宅の日数。自分で選べたか |
| 給与 | 直近の給与明細の総支給額と手取り額 |
1日の終わりに、数字だけをメモします。1週間は、平日と休日の両方が入るいちばん短い単位として置いた期間です。繁忙期など特別な週に当たった場合は、もう1週間測ります。
測った結果から、原因を見分ける
1週間の記録を見て、いちばん負担に感じた項目に印を付けます。そこから、次の職場でも今の職場でも守りたい条件を3つ選び、数字を入れて書きます。
守りたい時間条件の例(架空)
1. 通勤は片道45分以内
2. 当日に決まる残業は週1回まで
3. 休日の連絡対応はなし
給与についても同じように書きます。「今より上げたい」ではなく、生活に必要な額と、希望する額を分けて数字で書きます。
測った結果を見て、次の3つのどれに近いかを確かめます。この分け方は、この記事での整理です。
- A:時間の項目に印が集まった。その条件は会社の決まりで、自分では動かせない
- B:印は給与だけ。昇給の条件に、今の自分にない資格や知識が入っている
- C:印は給与だけ、または時間。ただ、昇給の条件や時間の条件を、上司にまだ聞いていない
時間の項目には大きな不満がなく、給与だけが気になるという結果になることもあります。その場合は、給料が理由だと考えてかまいません。
原因ごとの進め方
A:時間の条件が、会社の決まりで動かない人
次の職場を探します。募集を見るときは、年収と時間の条件を別の列に分けて比べます。年収が高い募集が、時間の条件を満たしているとは限らないからです。
面接では、自分が書いた3つの時間条件に当たることだけを、事実として聞きます。
| 確かめること | 面接での質問の例 |
|---|---|
| 始業・終業 | この職種の方は、何時ごろに退勤されることが多いですか |
| 通勤 | 出社は週に何日ほどでしょうか |
| 残業 | 残業は、どのくらい前に分かることが多いですか |
通勤時間の差は、積み重なると大きくなります。片道で30分違うと、往復で1日1時間です。年に240日出勤すると仮定すれば、1年で240時間の差になります。
在宅の日が減って通勤が負担になった人は、通勤を理由に転職していいかを決める材料で、在宅の日と出社の日の時間割を2枚並べ、増える時間となくなることを数字で出してください。
B:昇給の条件に、今の自分にない資格や知識がある人
昇給の条件に入っている資格や知識を1つ確かめます。就業規則を見るか、上司に聞きます。分かったら、学ぶのにかかる費用と、取れたときに増える額を出してから、学ぶかどうかを決めます。
費用に見合うかどうかを、数字で確かめたい人は、資格の費用は元が取れるのか。回収年数を3つの場合で計算するで、回収にかかる年数を3つの場合に分けて出せます。
C:条件を、上司にまだ聞いていない人
時間が理由だと分かっても、すぐ転職する必要はありません。今の職場でまだ聞いていないなら、聞くのが先です。
先に、聞く相手を決めます。時間の条件は直属の上司に、給与の決まり方は上司か人事にです。聞くのは1つにしぼります。
例:「残業になる日は、前日までに分かると助かります。予定が決まる時点で知らせていただくことはできますか。」
例:「今後の目標を具体的にしたいので、昇給の条件を教えてください。いつの査定で、何ができていれば上がりますか。」
給料・時間・学ぶ。どれを選ぶかと、今日やること
| 近いもの | 選ぶ道 | 選ぶ基準 |
|---|---|---|
| A | 移る(転職) | 守りたい時間条件が会社の決まりで、自分では動かせない |
| B | 学ぶ(資格) | 昇給の条件に資格や知識が入っていて、費用と増える額を比べて見合う |
| C | 今の職場で聞く(現状維持) | 昇給の条件や時間の条件を、上司にまだ聞いていない |
今日やることは、7項目のうち今日の分を数字でメモすることです。1週間たったら、いちばん負担だった項目に印を付け、A・B・Cのどれに近いかを見ます。Aの人は、守りたい時間条件を3つ、数字で書きます。Bの人は、昇給の条件に入っている資格や知識を1つ、就業規則か上司への質問で確かめます。Cの人は、上の例の一文を自分の言葉に直し、次に上司と話せる日を予定表に入れます。
Aの人は、書いた3つの条件を使って、ハローワークか転職サイトで自分で募集を探せます。
条件の優先順位を自分で決めにくいときは、人に話すと整理しやすくなります。厚生労働省の委託事業である「キャリア形成・リスキリング推進事業」では、キャリア形成や学び直しの相談や支援を無料で受けられます(2026年10月に事業の案内ページで確認)。利用の条件は、事業の案内ページで確かめてください。
よくある質問
時間が理由だと、面接で言いにくいです
「仕事の進め方や時間の使い方を自分で組み立てられる環境で働きたい」のように、事実は変えずに、望む働き方として伝える方法があります。
通勤時間には慣れると聞きました
慣れる人もいます。ただ、通勤にかかる時間そのものは変わりません。その時間を何に使いたいかを考えると、自分にとっての重さが分かります。
出典・この記事の前提(2026年10月10日確認)
- 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」転職入職者の賃金変動状況。結果の概要(PDF)
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」
- 7項目、条件の選び方、原因の分け方は、CareerPivotが整理した方法です。条件の例と通勤時間の計算は、説明用の仮定に基づきます。