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友人とのつきあい

友人が起業した。安定を選んだ自分は、逃げたことになるのか

約16分で読めます

友人の起業と比べる前に、自分が安定を選んだ理由を確かめるイメージ

友人の起業を聞いて揺れた理由を、3つの問いで見分けます。今の会社で続けるのか、資格を取るのか、仕事を移るのかを選び、選んだ理由を一文で言えるようにするための問いと書き方の型をのせました。

※この記事には広告(PR)が含まれます。

この記事を読むと、友人の起業を聞いて気持ちが揺れた理由が3つのうちどれなのかを見分け、今の会社で続けるのか、資格を取るのか、仕事を移るのかを自分で決められます。「安定を選んだのは逃げだったのか」にも、自分の言葉で答えを出せます。

先に答えを書くと、逃げたかどうかは、会社員でいるか会社を作るかでは決まりません。今の仕事を続けている理由を一文で書けて、読み返して納得できるなら、それは選んだということです。

友人から「会社を辞めて起業する」と聞いた日

食事の席で、同世代の友人が「会社を辞めて、自分で事業を始める」と話した。おめでとうと言い、いつから準備していたのかを聞き、笑って別れた。ここまでは、うれしい報告を聞いた一日です。

引っかかりが出てくるのは、帰り道からです。友人は辞めると決めた。自分は今の会社で働き続けている。就職のときも、その後の何年かも、会社員でいるほうを選んできた。その選び方が急に、「こわくて動かなかっただけ」に見えてくる。

20代なら「まだ間に合うのに何もしていない」と感じ、30代なら「もう動けない所まで来たのでは」と感じるかもしれません。年齢で言葉は変わっても、止まっている場所は同じです。友人と自分のどちらが正しいかを比べ始めて、答えが出なくなっています。

比べても答えが出ないのは、友人の理由と自分の理由が別のものだからです。友人には友人の事情と準備があり、それは友人のものです。この記事で解くのは、「今の仕事を続けていることに、自分で納得できる理由があるか」という一点です。

ここから先は、問いに順番に答える形で進みます。紙でもスマートフォンのメモでもかまいません。答えを書きながら読んでください。

友人の報告に「おめでとう」と打ちかけて、手が止まったなら、『「おめでとう」と打った指が止まった日』で、他人の転職がきつい理由を1つに絞り、24時間後に書く1行を決められます。

問い1:今の仕事を選んだ理由を、一文で言えますか

次の型に、言葉を入れてみてください。

( )があるから、今の仕事を続けている。

30秒ほどで書けて、読み返しても「そのとおりだ」と思えた人は、問い2へ進んでください。

書けなかった人、「安定しているから」としか書けなかった人は、次の4つに先に答えます。「安定」という言葉は、人によって中身が違います。毎月の収入のことなのか、休みが読めることなのか、住む場所を変えずにすむことなのか。中身が決まっていないと、友人の話を聞くたびに揺れます。

理由が出てこない人のための4つの問い

  1. 今の仕事がなくなったら、生活の中で困ることを3つ挙げると何ですか。(例:毎月決まった日に給料が入ること、休みの日があらかじめ分かること、今の家に住み続けられること)
  2. 今の仕事の中で、やっていると時間が早く過ぎる作業は何ですか。(例:資料の数字を合わせる、客からの相談に答える、後輩に手順を教える)
  3. 給料が同じ別の会社に来月から移れるとしたら、手放すのが惜しいものは何ですか。(例:今の担当の客、一緒に働いている人、通いやすさ)
  4. 今の会社に入ると決めたとき、ほかに比べた道は何でしたか。なぜそちらを選ばなかったのですか。

4つの答えを並べ、「これは手放したくない」と一番強く思うものを1つ選んで、型に入れます。

  • 文例1:毎月の収入が読めて、家賃と親への仕送りを続けられるから、今の仕事を続けている。
  • 文例2:担当の客から名前で呼ばれて相談されるのがうれしいから、今の仕事を続けている。
  • 文例3:子どもの迎えに間に合う時間に帰れるから、今の仕事を続けている。
  • 文例4:数字を合わせる作業が好きで、それを毎日できるから、今の仕事を続けている。

4つに答えても「手放したくないもの」が1つも出てこなかった人もいるはずです。それも大事な答えです。空欄のまま、問い2へ進んでください。

問い2:その揺れは、どこから来ていますか

友人の起業を聞いて揺れる理由を、この記事では3つに分けます。これは読者が自分の状態を整理するための、この記事での分け方です。決まった検査のようなものではありません。

次の3つに、はい・いいえで答えてください。

  • 問い① 友人の話を聞く前から、「本当はこの仕事をやってみたい」と思うものがありましたか。
  • 問い② 今の会社が明日なくなったとして、ほかの会社に「これができます」と言えるものがありますか。
  • 問い③ 問い1で書いた一文を明日の朝に読み返しても、同じように思えそうですか。
原因 答えの並び 合う道
A:本当はやりたいことが別にある 問い①が「はい」 転職
B:安定が会社頼みで、会社の外では通じない 問い①が「いいえ」、問い②が「いいえ」 資格
C:今の仕事を選んだ理由を言える(揺れただけ) 問い①が「いいえ」、問い②と問い③が「はい」 現状維持

問い①が「はい」の人は、問い②③の答えにかかわらずAとして読んでください。やりたいことが別にあるまま、ほかの手を打っても、友人の話を聞くたびに同じ揺れが戻ってくるからです。

問い①が「いいえ」、問い②が「はい」なのに、問い③だけが「いいえ」だった人は、問い1の4つの問いに戻って、一文を書き直してください。書き直しても納得できないときは、問い②をもう一度考えます。「言える」と答えたものを、実際に紙に3つ書けるかどうかで確かめます。書けなければBです。3つ書けたのに、一文にはまだ納得できないときは、問い①をもう一度考え、答えが「はい」に変わるならA、変わらないならBの進め方を選んでください(この分け方も、この記事での整理です)。

Aだった人:やりたいことに近い仕事へ移る

Aの人が友人をうらやましく思ったのは、「会社を作ること」ではなく、「やりたいことに向かって動いたこと」のほうです。この2つは別のものです。やりたいことの多くは、雇われて働く形のままでも近づけます。会社を作る話は、この記事では扱いません。扱うのは、やりたいことに近い仕事へ、会社員のまま移る道です。

移る前に、次の4つの条件がそろっているかを確かめます。これもこの記事での整理です。

条件1:やりたいことを「作業」の言葉で言える

「人の役に立ちたい」「ものを作りたい」のままでは、仕事を探せません。一日の中で実際に手を動かす作業に直します。

  • 「人の役に立ちたい」→「初めて使う人に、使い方を一対一で説明する」
  • 「ものを作りたい」→「画面の見た目を、決まった道具を使って形にする」
  • 「教える仕事がしたい」→「10人ほどの前で、決まった内容を1時間話す」

条件2:その作業が中心になる仕事の名前を、1つ挙げられる

作業の言葉が決まったら、それを毎日する仕事の名前を調べます。使うのは、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)です。職業ごとのページに「どんな仕事?」という欄があり、その職業でする作業の一覧が載っています(2026年10月11日に確認。内容は今後変わることがあります)。自分の書いた作業が一覧の中に入っている職業を、1つ見つけます。

条件3:毎月の生活に最低いくら必要かを出してある

仕事を移ると、収入が変わることがあります。上がる約束も下がる約束もできないので、「いくらまでなら生活が続くか」を先に出しておきます。

例:家賃7万円+食費4万円+電気・ガス・水道・通信2万円+そのほか5万円=1か月18万円。これは計算のしかたを示す例で、金額は人によって違います。自分の通帳やカードの明細から、3か月分の平均で出してください。

条件4:今の仕事から持っていける作業を、3つ言える

今の仕事で毎週している作業のうち、行きたい仕事でも使えるものを3つ書きます。条件2で見つけた職業の作業の一覧と見比べ、近いものを選びます。

手順と、止まりやすい所

  1. 条件1から4を、上の順番で紙に書く。
  2. 4つそろったら、条件2の仕事の名前で募集を探す。
  3. 今の仕事を続けながら応募する。先に辞めることはしない。条件3で出した額を下回る期間を作らないためです。

行きたい仕事の名前が決まった人は、『友人が異業種に転職できた。自分にもできるかを一枚で確かめる』で、今の仕事と行きたい仕事の重なりを、線の本数で数えてください。

条件1で止まる人は、やりたいことがまだぼんやりしています。この1年で「頼まれていないのに自分からやった作業」を3つ書いてください。仕事の中でも外でもかまいません。3つに共通する動き(説明する、作る、調べる、まとめる、など)が、条件1の言葉になります。

条件3で止まる人は、必要な額が今の手取りにとても近いはずです。その場合は、収入が大きく変わらない範囲の仕事だけを候補にします。候補が狭くなるのは悪いことではありません。探す範囲がはっきりします。

条件4で止まる人は、今の仕事を大きな言葉で書いています。「営業」「事務」ではなく、「誰に」「何を使って」「何をするか」まで書くと、持っていける作業が見えてきます。

Bだった人:会社の外でも通じる安定を持つ

Bの人が揺れたのは、安定を選んだことそのものではありません。その安定が、今の会社1社の上に乗っていることです。会社の名前、社内だけの仕組み、社内の人とのつながり。これらは会社を離れると使えません。友人は会社の外へ出ると決めました。それを聞いて、「自分は外で何ができるのか」を突きつけられたように感じたのです。

Bの人に合うのは、今の仕事を続けながら、会社の外に向けて示せるものを1つ持つことです。その形として、資格を使います。

手順1:今の仕事を2つの列に分ける

毎週している作業を10個ほど書き、次の2列に分けます。下は書き方の例です。

今の会社の中でしか通じない 会社の外でも通じる
社内の申請を早く通す順番を知っている 表計算の道具で、毎月の数字をまとめる
誰に聞けば早いかを知っている 取引先に見積もりの中身を説明する
自社の商品の型番を覚えている 新しく入った人に仕事を教える

書いてみたら左の列ばかりになった人は、作業から道具の名前や社内だけの言葉を外して、言い直してみてください。右の列に移る作業が見つかることがあります。

手順2:右の列で、証明するものがない作業に印をつける

「できる」と言えても、外の人に見せられるものがない作業があります。たとえば「毎月の数字をまとめる」は、社内では知られていても、外の人には伝わりません。こうした作業に印をつけます。

手順3:印をつけた作業に近い分野で、資格を1つ選ぶ

選ぶ基準は3つです。

  • 今の仕事と同じ分野であること。遠い分野の資格は、右の列とつながりません。
  • 試験の内容が、印をつけた作業と重なっていること。
  • 学ぶ期間に区切りがあること。試験の日が決まっているものは、終わりが見えます。

どんな資格があるかは、job tagの職業ごとのページにある「就業するには?」の欄で調べられます。免許・資格から職業を探す入り口もあります(2026年10月11日に確認)。

手順4:1週間に使える時間を数える

例:仕事のある日の夜に30分を5日(150分)+休みの日に2時間(120分)=1週間で270分、つまり4時間30分。これは数え方の例です。自分の1週間で、実際に空いている時間を足してください。

手順5:費用と、国の制度を確かめる

国には、決められた講座を受けて修了した人に、費用の一部が支給される「教育訓練給付」という制度があります。2026年10月11日に確認した時点で、種類は3つです。基本の支給は、一般教育訓練が費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練が40%(上限20万円)、専門実践教育訓練が50%(年間の上限40万円)です。資格を取って就職した場合などに上乗せされる決まりもありますが、条件がつきます。

受けられるかどうかは、雇用保険に入っていた期間などで決まります。特定一般と専門実践は、受講を始める前の手続きがいります。訓練前のキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードの交付を受け、受講を始める日の2週間前までにハローワークで手続きをしておきます。始めてからでは間に合いません。対象の講座は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます。制度の中身も対象の講座も今後変わることがあるので、申し込む前にハローワークで自分が対象かを確かめてください。

止まりやすい所

どの資格にするか決まらない人は、手順2で印をつけた作業のうち、一番長く続けているものに戻ります。その作業の分野で、入門にあたる資格を1つだけ選びます。2つ同時には始めません。

勉強が続かない人は、試験の日を先に決めて申し込みます。日が決まると、手順4の時間をどの範囲に使うかを逆から割り振れます。

資格を取れば収入が上がる、次の仕事が決まる、とは言えません。手に入るのは、「会社の外の人にも伝わる形で、できることを1つ示せる」状態です。Bの揺れは、ここが空いていたことから来ています。

Cだった人:選んだ理由を一文にして持つ

Cの人は、今の仕事を選んだ理由を言えます。それでも揺れたのは、近い人の大きな決断を聞いて、自分の選び方をもう一度見たからです。見直したうえで同じ答えが出たのなら、道を変える理由はありません。することは、理由を忘れない形にしておくことです。

手順1:一文を3つの部分に分けて書き直す

問い1の一文を、次の型で書き直します。

(守りたいもの)のために、今の仕事の(それを支えている所)を使って、(していること)を続ける。

  • 文例1:家族と夕食を食べる時間のために、今の仕事の「帰る時間が読める所」を使って、担当の仕事を続ける。
  • 文例2:数字を合わせる面白さのために、今の仕事の「毎月の締めを任されている所」を使って、経理の仕事を続ける。
  • 文例3:親の近くに住み続けるために、今の仕事の「転居のない働き方」を使って、今の職場で働き続ける。

手順2:一文の中の言葉を、今月の仕事で1つ行動にする

理由は、書いただけでは薄れます。一文に出てきた「支えている所」を、今月の仕事の中で1回使います。

  • 「担当の客から相談されるのがうれしい」が理由の人:用件のない客1件に、自分から近況を聞く連絡を入れる。
  • 「毎月の締めを任されている」が理由の人:締めの手順のうち、時間がかかっている1か所を書き出し、短くする案を上司に出す。
  • 「帰る時間が読める」が理由の人:帰ってからの時間に、続けたいことを1つ決めて予定に入れる。

手順3:友人に次に会ったときの一言を用意する

友人の話をまた聞く日が来ます。そのとき、比べる言葉ではなく、自分の理由を言えるようにしておきます。

  • 文例1:「おめでとう。こっちは今の仕事で( )を続けるつもり。道は違うけど、話はまた聞かせて」
  • 文例2:「正直、聞いたときは少し焦った。でも考えてみたら、( )があるから今の仕事を続けたいんだと分かった」
  • 文例3:「準備の話、面白かった。困ったら声をかけて。( )のことなら手伝える」

止まりやすい所

一文を書いたあとも、友人の話を思い出すとまた揺れる人がいます。そのときは、友人の話の「どの部分」で揺れるのかを1行で書いてください。

  • 「やりたいことをやっている」部分で揺れる:問い①に戻ります。答えが「はい」に変わるなら、Aの進め方を読んでください。
  • 「会社がなくても働いていける」部分で揺れる:問い②に戻ります。言えるものを紙に3つ書けなければ、Bの進め方を読んでください。
  • 「自分で決めた」部分で揺れる:Cのままです。今の仕事も自分で決めたものだと、一文が示しています。

3つの道を並べて、1つを選ぶ

原因 選ぶ道 手に入るもの かかるもの
A:やりたいことが別にある 転職 やりたい作業が毎日の中心になる仕事 探す時間。収入が変わるかもしれないことへの備え
B:安定が会社頼み 資格 会社の外にも伝わる形で示せるもの 学ぶ時間と費用
C:理由を言える 現状維持 揺れたときに戻れる一文 一文を書く30分ほど

どの道が上でどの道が下ということはありません。原因が違うので、合う道が違うだけです。友人が選んだ道は、この表のどこにも入っていません。それでかまいません。友人の原因と自分の原因は別だからです。

選んだ道の、今日の一手

仕事を移ると決めた人

今日は、条件1だけを書きます。やりたいことを、作業の言葉で1行にしてください。書けたら、job tagでその作業が載っている職業を1つ探し、名前をメモします。条件2まで進めば、探す言葉が手に入ります。条件3と4は、今週の中で順に埋めていけば足ります。募集は、職業の名前で検索して自分で探せます。動く条件と残る条件を一文ずつ決めてから探したい人は、『友人の転職の決め手を聞いた。自分に決め手がないとき、作る基準』で決められます。

資格を取ると決めた人

今日は、手順1の2列の表だけを書きます。毎週している作業を10個並べ、「会社の中だけ」「外でも通じる」に分けてください。右の列に印が1つ付いたら、その分野の入門にあたる資格の名前を1つ調べ、試験の日と申し込みの期限をメモします。学び方は、試験の範囲が書かれた本を1冊選んで自分で進める形から始められます。

学ぶと決めることと、どの講座に申し込むかを決めることは、別の決め事です。下の広告は、スマートフォンやパソコンで学ぶ形の、有料の資格講座です。扱っている資格は講座ごとに決まっています。

  • 向く人:2列の表で右の列に印が付き、同じ分野の入門にあたる資格を1つ選んで、試験の日を調べた人。
  • 向かない人:原因Aの人(先に条件1〜4を書きます)。資格をまだ1つにしぼっていない人(先に手順3へ)。
  • 申込み後に起きること:申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
  • 使わない場合:試験の範囲が書かれた本を1冊選んで、自分で進められます。

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今の仕事を続けると決めた人

今日は、手順1の型に言葉を入れて、一文を書き直します。書いた一文は、スマートフォンのメモの一番上か、手帳の最初のページに置いてください。そのあと、手順2の「今月の仕事で1回使うこと」を1つ決め、いつするかを予定に書き込みます。

「逃げたことになるのか」への答え

逃げたかどうかは、会社員でいるか会社を作るかでは決まりません。問い1の一文を書けて、読み返して納得できるなら、それは選んだということです。こわさから動かなかったのとは違います。

一文が書けなかった人は、これまで理由を言葉にしないまま続けてきた、というだけです。今日、AかBの進め方を選んで一手を打てば、そこから先は自分で選んだ道になります。

友人の起業は、自分の選び方を見直すきっかけをくれました。見直した結果が「今のまま」でも、「学ぶ」でも、「移る」でも、理由を言えるなら、友人に次に会ったとき、比べずに話を聞けます。