元同僚や同期の転職の報告を見て、「おめでとう」と思うのと同時に、胸のあたりが重くなることがあります。その反応は、性格が悪いから起きるのではありません。相手の報告の中に、自分が欲しいと思っているものがふくまれていたときに起きやすいものです。この記事では、何に反応したのかを1行で書き、欲しかった条件に合わせて、今の仕事で増やすのか、学ぶのか、移る先の条件にするのかを選びます。
嫉妬をなくす方法を示す記事ではありません。その感情から、自分についての情報を1つ取り出す方法を示します。
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この記事で渡すもの
- 祝う気持ちと落ち着かない気持ちが同時に起きる理由
- 反応した点を5つに分ける表
- 肩書きと日々の状態を見分ける問い
- 反応した点ごとの、現状維持・資格・転職の選び方と、今日の一手

祝う気持ちと、落ち着かない気持ちは同時に起きる
1つの出来事に対して、気持ちが1つしか起きないわけではありません。相手との関係については「よかった」と思い、自分の現在地については落ち着かなくなります。この2つは向いている先が違うので、同時に成り立ちます。
落ち着かない気持ちのほうを「自分は嫉妬深い人間だ」とまとめてしまうと、そこで考えるのが止まります。その気持ちが何に反応して起きたのかが、分からないままになります。
「人と比べるのをやめよう」と言われることがありますが、比べないようにするのは簡単ではありません。やめようとして、やめられなかった自分をさらに責めることになりやすいのです。比べたこと自体ではなく、比べたときに何が引っかかったのかを見るほうが、得られるものがあります。
気持ちを軽くするために、相手を低く見ようとすることもあります。「あの会社も大変らしい」といった考え方です。そうすると、その瞬間は楽になりますが、自分が欲しかったものまで「大したことはない」と片づけることになり、手がかりを失います。
その日は書かない。少し間を置いてから書く
報告を見た直後は、気持ちが強く動いています。その場で考えを書き出すと、自分を責める言葉や、勢いで決めた結論が並びやすくなります。
その日は、何もしなくてかまいません。相手への返信も、すぐにしなくてかまいません。寝る前の30分だけ、通知の来る画面を手の届かないところに置いておきます。
翌日など、気持ちの強さが少し落ち着いてから(24時間ほどが目安です)、次の3つに答えます。
- 誰の、何を見たときに、気持ちが動いたか。「転職の報告」ではなく、「新しい職場の写真」「任された仕事の話」のように、場面で書く
- その人が手にしているもののうち、何が羨ましかったか
- それは、5つのうちどれに近いか(次の章)
書くたびにつらくなる人は、続けなくてかまいません。SNSを見る時間を減らすなど、距離を取ることを優先してください。気持ちの落ち込みが続くときは、厚生労働省の「こころの耳」にある相談窓口の案内を使ってください。
反応したのは、5つのうちどれか
| 反応した点 | その奥にあるかもしれない望み |
|---|---|
| 給与 | いまの収入に納得していない。または、生活に必要な額に不安がある |
| 自由 | 自分で決められる範囲や、時間の余裕が欲しい |
| 仕事内容 | 新しいことを覚える手ごたえや、やりたい仕事に近づきたい気持ちがある |
| 評価 | 自分の仕事を見てもらえている実感が欲しい |
| 環境 | 働く場所、一緒に働く人、会社の方向を変えたい |
当てはまるものを1つ選び、「自分は○○が欲しかった」という1行にして書きます。複数に当てはまる場合は、いちばん強く反応したものを選びます。反応したのが「違う仕事へ移れたこと」だった人は、自分にもできるかを一枚で確かめるで、今の仕事と行きたい仕事の重なりを線で結んで数えてください。
身勝手に見える望みが出てきても、消さずに書きます。「楽をしたい」「ほめられたい」といった言葉のほうが、整えた言葉より実際の気持ちに近いことがあります。
反応した理由が「あの人は早く帰れている」のように、休みや余裕に関するものだった場合は、大きな決断の前に、まず休むことが必要なのかもしれません。
欲しかったのは肩書きか、日々の状態か
羨ましかったものが、会社の名前や役職のような「肩書き」なのか、日々の過ごし方のような「状態」なのかを分けます。
肩書きが羨ましかった場合、それを手に入れても、日々の中身が変わらなければ、同じ気持ちが別の相手に対してまた起きることがあります。肩書きを望むこと自体は悪いことではありませんが、その肩書きに何を期待しているのかを、もう一段言葉にしておきます。
状態が羨ましかった場合は、いまの職場でも部分的に増やせることがあります。たとえば自分で決められる範囲が欲しいなら、担当している仕事のうち、進め方を任されている部分を探して、そこを自分のやり方に寄せてみます。
一方、職場の仕組みの上で、どうしても変えられないこともあります。それは努力が足りないからではなく、置かれた条件の問題であることが多いものです。相手には決め手があったのに自分にはない、と感じた人は、自分に決め手がないとき、作る基準で、動く条件と残る条件を一文ずつ書いてください。
反応した点ごとに選ぶ:現状維持/資格/転職
反応した点によって、合う進み方が変わります。ここでの対応づけは、CareerPivotが整理した目安です。
| 反応した点 | 合う進み方 | 選ぶ基準 |
|---|---|---|
| 評価・自由 | 現状維持(今の担当の中で増やす) | 自分で決められる範囲や、見てもらえている実感を、いまの担当の中で増やせそうか。上司に聞いて、増やせると分かれば、ここで足ります |
| 仕事内容 | 資格(学ぶ) | 相手が就いた仕事に近づくのに、学べば埋まる知識があるか。求められているのが経験だけなら、学んでも届きません |
| 給与・環境 | 転職(移る先の条件にする) | それが会社の決まりで決まっていて、いまの職場では変えられないか。上司や人事に確かめて変わらないと分かったときに、移る先の条件になります |
複数に反応した人は、いちばん強く反応した1つに合わせて選びます。次の章の一手のうち、自分に合うものを1つだけ今日やります。
選んだ先の、今日の一手
現状維持を選んだ人:増やせるかを、1行で確かめる
「自分は○○が欲しかった」の1行を書きます。そのうえで、次の面談や上司と話す機会に聞くことを1つ決めます。評価に反応した人は「どの成果を見てもらえていますか」、自由に反応した人は「進め方を任せてもらえる仕事はありますか」のように、1つの質問にします。
資格を選んだ人:学べば埋まる条件に印を付ける
相手が就いた仕事に近い求人を3件読み、必須の条件を書き写します。そのうち、知識を学べば埋まる条件に印を付け、学ぶものを1つ決めます。
相手の「新しい仕事の中身」に反応した人は、その仕事に近づく知識を講座で学ぶ方法もあります。給与や職場の環境に反応した人には、学んでもそこは変わらないので向きません。申し込むと受講料がかかります。講座の中身と費用のほか、申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。使わない場合は、先ほど書き写した必須の条件のうち、印を付けた条件を本や図書館の資料で学ぶところから始められます。
転職を選んだ人:移る先の条件を1行で書き、先に今の職場で確かめる
「給与」「環境」など、反応した点を、移る先に求める条件として1行で書きます。次に、その条件がいまの職場で本当に変えられないのかを、上司や人事に聞いて確かめます。変えられないと分かったら、その1行が、移る先を選ぶときの最初の条件になります。
書いた内容を1人で読み解きにくいときは、人に話す方法があります。厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」で、キャリア形成やリスキリングの相談などの支援が無料で行われています(2026年10月11日に事業の案内ページで確認)。利用の条件は、案内ページで確かめてください。
よくある質問
人の転職を素直に喜べません。性格が悪いのでしょうか
喜ぶ気持ちがないのではなく、喜ぶ気持ちと落ち着かない気持ちの両方があるのだと思います。両方あってよい、と考えるところから始めてください。
SNSを見なければ済む話ではありませんか
見る時間を減らすことは、有効な方法の1つです。ただ、何に反応したのかは分からないままになります。距離を取ることと、反応した点を確かめることは、両方行えます。
羨ましいと思った相手に、話を聞いてもいいですか
聞ける関係であれば、よい方法です。「決める前に、どのくらい迷いましたか」と途中の経過を尋ねると、報告には書かれていなかったことが分かります。
相談先・この記事の前提(2026年10月11日確認)
- 厚生労働省委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」
- 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
- 反応した点の5分類と、24時間後に書く方法は、CareerPivotが整理した確認用のものです。心理学的な診断ではありません。