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同窓会で仕事の話が回ってきた時、「ふつうの会社員だよ」としか言えなかった人へ。この記事では、その一言を3つの文に書き直し、話せなかった理由が「仕事そのもの」「名前のつく力」「言葉の用意」のどこにあるのかを見分けます。読み終えると、会社を移る・学ぶ・今の会社のまま話す文を持つ、のどれを選ぶかと、今日書く1行が決まります。
この記事で扱う悩み
同窓会で仕事を聞かれて、「ふつうの会社員だよ」としか言えなかった。
この記事で分かること
- あの一言を書き直す3つの文(中身・力・気持ち)の書き方と、4つの職種の例
- 書けなかった文から分かる3つの原因と、原因ごとの進め方(転職・資格・現状維持)
- 次に仕事を聞かれた時に、30秒で話す文の作り方
「ふつうの会社員だよ」で終わった、あの席
同窓会の席で、同級生たちが今の仕事の話を始めました。新しく任された担当の話、勉強して取った資格の話、職場が変わった話。話は順番に回り、あなたの番が来ます。あなたは「まあ、ふつうの会社員だよ」とだけ言って、グラスに目を落としました。話はそのまま次の人へ移っていきました。
これは20代の集まりでも、30代の集まりでも起きます。20代なら、同級生が仕事を覚えて、話せることが増えてきたころ。30代なら、役職や担当の名前が話に出てくるころです。
帰り道に残るのは「自分には話せる仕事がないのか」という問いです。ただ、この問いのままでは答えが出ません。話せなかった理由には、次の3つの場合があるからです。
- 仕事そのものが、人に話したいと思えるものではない
- 仕事の中身は言えるが、「自分は何ができる人か」と言える力の名前がない
- 仕事にも力にも言えることはあるのに、話す言葉を用意していなかった
どれなのかで、このあとすることは変わります。見分ける材料は、同級生の話がどう聞こえたかではなく、あの席での自分の一言です。同級生は自分の仕事を話しただけで、あなたを置いていこうとしたわけではありません。確かめる相手は、自分の言葉のほうです。
あの一言を、3つの文でやり直す
紙でも、スマートフォンのメモでもかまいません。「ふつうの会社員だよ」の代わりに、次の3つの文を書いてみます。上手な文にする必要はありません。書けるか、書けないかを見るためのものです。仕事の話を3つの文に分けるのは、この記事での整理です。
文① 中身の文:「誰の、何を、どうしている仕事か」
会社の名前や部署の名前は使いません。同じ業界の人でなくても分かるように、「誰の」「何を」「どうしている」の3つを入れます。「営業事務」「経理」のように職種の名前だけで終えると、聞いた人は次の質問ができません。「誰の」には、お客さん、社内の営業の人、店に来る人など、自分の仕事を受け取る相手を書きます。
書けない時は、きのうの仕事を1つ思い出して、「きのう、誰のために、何をしたか」を書きます。それをふだんの言い方に直せば、文①になります。
文② 力の文:「自分は何ができる人か」
「〜ができる」「〜なら任せてもらえる」で終わる文です。会社が変わっても持っていける力を、名前をつけて言えるかを見ます。資格の名前でなくてもかまいません。ただし「がんばれる」「まじめ」のように性格を言う文は、ここでは数えません。同窓会で聞いた人が「へえ、それができるんだ」と受け取れる形かどうかが目安です。
文③ 気持ちの文:「この仕事で、これは気に入っている」
仕事の中の場面を1つ入れます。「給料日がうれしい」「休みが多い」は仕事の中身ではないので、ここには入れません。気に入っている作業、相手に言われてうれしかった言葉、終わった時に気分のよい仕事。小さなものでかまいません。
3つとも、1文ずつで足ります。5分ほど考えても出てこない文は、空けたままにします。空いた所が、あとで原因を見分ける手がかりになります。むりに埋めると、見分けがつかなくなります。
やり直しの例(職種を変えて4組)
次の表は、書き方を見るための例です。実際にいる人の話ではありません。数字も例として入れたものです。自分の職種に近いものを見て、言葉を入れ替えてください。
| 職種(例) | 文① 中身の文 | 文② 力の文 | 文③ 気持ちの文 |
|---|---|---|---|
| 営業事務 | 営業の人が取ってきた注文を、納める日に間に合うように、工場と運ぶ会社に手配している | 月に200件ほどの注文を、納める日の遅れを出さずに回せる | 急ぎの注文を間に合わせて、営業の人に「助かった」と言われる時は気分がいい |
| 店での販売 | 服の店で、来たお客さんに合うものを一緒に選び、売り場の並べ方も決めている | 売り場の並べ方を変えて、動かなかった商品を売り切ることができる | 前に買ってくれた人が、また自分を探して来てくれるのがうれしい |
| 経理 | 会社に届く請求書を確かめて支払いの手配をし、月ごとのお金の出入りを帳簿につけている | 月の締めの作業を、決まった日までにまちがいなく終えられる。簿記の資格を持っている | 数字が1円まで合った時が、いちばん気持ちがいい |
| 介護 | 介護の施設で、入っている人の食事や入浴を手伝い、その日の様子を記録して家族や看護の人に伝えている | 体の大きな人でも、本人に負担をかけずにベッドから車いすへ移せる | 朝あいさつすると、名前を呼んで返してくれる人がいる |
例の文①には、会社の名前がひとつも入っていません。それでも、聞いた人は「納める日が重なる時はどうするの」「どんな服が売れるの」と、次の質問ができます。話が続くかどうかは、仕事が特別かどうかよりも、相手が質問できる形になっているかで変わると考えられます。「ふつうの会社員だよ」で話が終わったのは、質問できる所が1つもない文だったからです。
もう1つ、例の文②を見てください。「資格を持っている」と書いたのは経理の例だけです。ほかの3つは、数や相手を入れて「何ができるか」を言っています。力の文は、資格がある人だけのものではありません。その一方で、数や相手を入れても文にならない時は、力に名前がついていないことになります。
書けなかった文はどれか。3つの問いで見分ける
書いた3つの文を見ながら、次の問いに答えます。原因をA・B・Cの3つに分けるのは、この記事での整理です。性格や向き不向きを判定するものではありません。
| 問い | 「はい」の時の原因 | 合う選び方 |
|---|---|---|
| 問い1:文③が1つも出てこなかったか | 原因A:仕事の中身は言えるが、気に入っている所が1つも出てこない。人に話したい仕事ではない | 転職 |
| 問い2:文①は書けたのに、文②で手が止まったか | 原因B:仕事の中身は言えるが、「何ができる人か」と言える、名前のつく力がない | 資格 |
| 問い3:3つとも書けたのに、あの席では言わなかったのか | 原因C:3つとも書ける。話す言葉を用意していなかっただけ | 現状維持 |
問い1で「はい」だった人は、言い方をいくら直しても、話したい気持ちが出てきません。直すのは言葉ではなく、仕事のほうです。
問い2で「はい」だった人は、仕事に気に入っている所はあります。足りないのは、それを「自分の力」として外の人に言う時の名前です。名前は、学ぶことでつけられます。
問い3で「はい」だった人は、仕事にも力にも足りないものはありません。同窓会の席で急に聞かれて、用意がなかっただけです。会社も仕事も変えずに、話す文を持てば足ります。
空いた文ごとの進め方
原因A:気に入っている所が出てこない人は、転職
使うものは、書いた3つの文と、紙1枚です。次の順に進めます。
- 気に入らない所を書き出す。「作業」「相手」「時間」「場所」の4つに分けて、合わせて5つまで書きます。「なんとなく合わない」ではなく、「一日じゅう同じ画面に数字を打つ」「仕事の結果を受け取る人の顔を見たことがない」のように、場面で書きます。
- 「これなら人に話せる」と思う仕事の条件を3つ書く。気に入らない所を、ひっくり返して書きます。例:「結果を受け取る人の顔を見たことがない」→「相手の反応が直接わかる仕事」。例:「同じ作業のくり返し」→「月ごとに扱うものが変わる仕事」。
- その3つの条件で探す。職種の名前からではなく、条件から探します。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、仕事の内容や仕事の性質から職業を探せます(2026年10月11日に確かめた内容です。サイトの内容は今後変わることがあります)。気になった職業のページで「どんな仕事?」を読み、3つの条件に合うかを見ます。合う職業が見つかったら、その名前でハローワークの求人を見ます。
詰まる所と次の手。手順2で条件が出てこない人がいます。その時は、同窓会で聞いていて「いいな」と思った話を1つ思い出します。取り出すのは同級生の会社の名前ではなく、話のどの部分がよかったのかです。「自分で決めて進めている所」「作った物が店に並ぶ所」「お客さんに名前を覚えられている所」。その部分を、条件の1つめに書きます。
会社を移れば話したい仕事になる、とは約束できません。条件を3つ先に書くのは、移った先でも文③が空いたままになるのを防ぐためです。
原因B:力の文で手が止まる人は、資格
使うものは、1週間の仕事を思い出すための予定表やメモです。
- 毎週している作業を書き出す。「事務」「接客」のような大きな言葉ではなく、「請求書の金額を注文と照らし合わせる」「表計算ソフトで月の売上を集計する」「電話で納める日の調整をする」のように、作業の大きさで10個まで書きます。
- 名前のつく形にできるものを1つ選ぶ。書いた作業の横に、その作業を学ぶ分野の名前を書きます。例:請求書や帳簿の作業→簿記。例:集計や表づくり→表計算ソフトの技能を示す検定。例:人に教える作業→その分野の指導に関わる資格。分野の名前が分からない時は、「job tag」で自分の職種を検索し、「就業するには?」と「しごと能力プロフィール」のスキル・知識の欄を見ます。
- 学ぶ。本、通信の講座、通学の講座のうち、自分が続けられる形を選びます。国の教育訓練給付の対象になっている講座は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます。給付を受けられるかどうかは、雇用保険に入っていた期間などの条件で変わるので、ハローワークで確かめます。給付の率が高い種類の講座(特定一般教育訓練・専門実践教育訓練)は、受講を始める前の手続きが要ります。訓練前のキャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードの交付を受け、受講を始める日の2週間前までに、ハローワークで手続きをしておきます。始めてからでは間に合いません(2026年10月31日に公的な案内で確かめた内容です。制度は今後変わることがあります)。
詰まる所と次の手。手順2で、何を選ぶか決まらない人がいます。その時は、今の仕事でいちばん長くやっている作業に近いものから選びます。理由は2つあります。1つは、学んだことを次の日の仕事で使えること。もう1つは、文②に「今の仕事で毎週使っている」と足せることです。今の仕事と離れた分野を選ぶと、名前は手に入っても、文②に書ける中身が増えません。
資格を取れば給料や評価が上がる、とは約束できません。ここでの目的は、文②を書けるようにすることです。「〜の作業を毎週していて、〜の資格も取った」と書ければ、力の文になります。
原因C:3つとも書けた人は、現状維持
現状維持は、何もしないという意味ではありません。今の会社と今の仕事のまま、話す文を持つことです。
- 3つの文を、30秒で話せる長さに縮める。文①→文③→文②の順につなげ、声に出して時間をはかります。30秒を超えたら、文①の説明を短くします。
- 職場の人に「自分の仕事は外からどう見えるか」を聞いて、言葉を足す。聞く相手は、となりの部署の人や、入社して日の浅い人が向いています。自分の仕事を外から見ているからです。聞く文の例:「同窓会で仕事を聞かれて、うまく言えなかったんです。うちの仕事って、外の人にはどう言うと伝わると思いますか」。返ってきた言葉のうち、自分では使っていなかったものを文①に足します。
詰まる所と次の手。「自分の仕事を話すと自慢に聞こえそう」と感じて、また「ふつうの会社員だよ」に戻る人がいます。その時は、「すごい」「大きい」のような評価の言葉を自分では言わず、数字と相手だけを入れて短く言います。
(例)「メーカーで、営業が取ってきた注文を工場に手配する仕事をしてる。月に200件くらい。目立たない仕事だけど、急ぎが間に合った時はけっこううれしいんだよね。細かい段取りは、わりと得意になった」
この例は、文①(誰の何をどうしているか)、文③(気に入っている所)、文②(できること)の順に並んでいます。評価は相手にまかせ、自分は事実だけを言う形です。
この記事は、書けなかった文から原因を見分ける所までを扱いました。相手が友人ではなく、恋人の親のように初めて会う人なら、『恋人の親に仕事を説明できなかった。一文で伝わる職業の言い方』の「誰の・何を・どうする」の形が合います。
転職・資格・現状維持。どれを選ぶか
空いた文が1つだけなら、上の表のとおりに選びます。迷うのは、空いた文が2つあった時です。その時の選び方を、この記事での整理として書きます。
| 3つの文の結果 | 選ぶもの | 選ぶ基準 |
|---|---|---|
| 文③だけが空いた | 転職 | 力はあるのに、話したい気持ちがない。言い方や学びでは埋まらない |
| 文②だけが空いた | 資格 | 気に入っている所はある。今の仕事のまま、力に名前をつける |
| 文②と文③の両方が空いた | 気に入らない所を書き出して決める | 気に入らない理由が「できることが少なく、任されない」なら資格。「作業や相手そのものが合わない」なら転職 |
| 3つとも書けた | 現状維持 | 足りないのは用意だけ。会社を移る理由も、学ぶ理由も、この件からは出てこない |
同級生に話せる仕事にしたい、という理由だけで会社を移ると、移った先でも同じ席で同じ問いが残ることがあります。3つの文で空いた所を先に見るのは、そのためです。選ぶのは、同級生の物差しではなく、自分の文に空いた所から決めます。
空いた文が「力」の側で、学ぶことを考えても「30代からでは遅いのでは」と止まっているなら、『30代の勉強は遅いのか。年齢ではなく5つの条件で並べ直す』で、年齢のかわりに5つの条件を並べて、始めて間に合うかを計算できます。
今日書く1行
転職を選んだ人(原因A):文③を書いてみる。「この仕事で、これは気に入っている」をもう一度だけ考えます。5分考えて出なければ、「出なかった」と書きます。そのすぐ下に、気に入らない所を1つ、場面で書きます。ここまでが今日の分です。条件を3つ書く作業と、「job tag」やハローワークで探す作業は、そのあとでかまいません。条件が3つ書けたら、その条件の仕事へ今の経験のまま動けるかを、『友人が異業種に転職できた。自分にもできるかを一枚で確かめる』で、今の作業と求められることを紙一枚に書いて確かめられます。
資格を選んだ人(原因B):毎週している作業を3つ書く。10個でなくてかまいません。今週した作業から3つ、作業の大きさで書きます。書けたら、いちばん長い時間を使っている作業に印をつけます。その作業が、学ぶ分野を選ぶ時の出発点になります。時間があれば、「job tag」で自分の職種を検索し、「就業するには?」の欄を開いて、資格の名前が載っていれば1つ書き写します。
学ぶ分野が1つに決まり、本より講座で進めたい人には、スマートフォンやパソコンで学ぶオンラインの資格講座という方法もあります。合うのは、学ぶ分野と試験の時期が決まっていて、すき間の時間に通信講座で学ぶと決めた人です。その資格が自分に必要かをまだ確かめていない人、独学で進められている人、いまは受講料を出せない人には合いません。受講料がかかり、学ぶ時間は自分で確保します。合格は保証されません。学ぶものがまだ決まっていない人は、先に上の手順で1つにしぼってください。使わない場合も、上の手順は、市販の本や試験を行う団体の案内でそのまま進められます。
申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
現状維持を選んだ人(原因C):文①を1行で書く。「誰の、何を、どうしている仕事か」を、会社の名前を使わずに1行で書き、声に出して読みます。言いにくい所があれば、ふだん話す言葉に直します。これで、次に仕事を聞かれた時の最初の一言ができます。
次に話が回ってきた時のために
同窓会は、たまにしかありません。けれど「仕事なにしてるの?」と聞かれる場面は、友人との食事でも、親戚の集まりでも来ます。その時に言う文が1つあるかどうかで、席での過ごし方が変わります。
「ふつうの会社員だよ」は、まちがった答えではありません。ただ、あの一言には、文①も文②も文③も入っていませんでした。今日書いた1行は、そこに入れる最初の文です。空いた所がどこだったかを見て、移る・学ぶ・今のまま話す文を持つ、のうち1つを選んでください。