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これからのお金

会社員からフリーランスになる前のお金と手続き|退職前から確定申告まで時系列で確認する

約9分で読めます

独立前に生活費・税・保険・予備資金を分け、必要な手続きを整理する

会社員からフリーランスになる前に確認するお金と手続きを、退職前・退職直後・開業・確定申告の4つの時期に分けて整理。健康保険、年金、住民税、所得税、消費税の確認先と、入金までの資金表の作り方をまとめます。

会社を辞めてフリーランスになるとき、お金で詰まりやすいのは「最初の入金までの空白」と「後から届く税・保険料の請求」の2つです。どちらも、退職の前に日付と金額の欄を作っておけば、足りるかどうかを先に確かめられます。

この記事では、やることを退職前・退職直後・開業・確定申告の4つの時期に分け、健康保険、年金、住民税、所得税、消費税の順に、どこで何を聞くかを並べます。制度の内容は2026年10月10日に公的機関の案内で確かめた範囲で書いています。金額や期限は人と自治体によって変わるので、最後は各窓口で確かめてください。

読み終えると、資金表の「税・保険料」の行に入れる数字をどの窓口で聞けばよいかが分かり、手元の資金が何か月もつかを自分で計算できます。

この記事で渡すもの

  • 退職前から最初の確定申告までの、時期ごとの確認表
  • 健康保険の選択肢と、比べるときに窓口で聞くこと
  • 入金・経費・税と保険料の取り分け・生活費を分けた資金表の作り方
独立前に生活費・税・保険と予備資金を分けて考える、財布と木製コインのイメージ

4つの時期に分けて、やることを並べる

時期 確認・手続き 確認する先
退職前 健康保険の選択肢ごとの保険料の見込み/住民税の残りの支払い方法/最初の入金日の見込み/生活費の何か月分があるか 勤務先の人事・加入中の健康保険・市区町村
退職直後 健康保険の切り替え/国民年金の加入手続き/離職票など退職時の書類の受け取り 加入する健康保険の窓口・市区町村・年金事務所
開業 開業届/青色申告を使う場合は承認申請/消費税の扱いの確認 税務署・国税庁の案内
最初の確定申告まで 売上と経費の記録/請求書・領収書の保存/税と保険料に充てる分の取り分け 国税庁の案内・税務署・税理士

副業の収入がすでにある人、退職後に失業給付の手続きを考えている人、家族の扶養に入る可能性がある人は、手続きの順番や選択肢が変わることがあります。当てはまる場合は、先にハローワークや加入先の健康保険に確かめてください。

健康保険と年金は、退職後すぐに期限がある

退職すると会社の健康保険の資格を失うため、次のどれかに切り替えます。

選択肢 概要 確かめること
任意継続 退職前の健康保険に、個人で引き続き加入する 加入の条件、申出の期限、保険料(会社負担がなくなり全額自己負担)、加入できる期間
国民健康保険 住んでいる市区町村で加入する 前年の所得をもとにした保険料の見込み、届出の期限、軽減制度の有無
家族の健康保険の被扶養者 家族が加入する健康保険に扶養として入る 収入の見込みなどの認定条件。事業を始める場合の扱い

協会けんぽの案内では、任意継続に入れるのは、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に手続きをした場合とされています。加入できる期間は最長2年で、保険料には上限があります。健康保険組合に加入している場合は、組合によって扱いが違うことがあるので、自分の加入先で確かめてください。

どちらが安いかは、前年の所得、家族の人数、住んでいる自治体で変わるため、一律には言えません。退職の前に、任意継続の保険料は加入中の健康保険に、国民健康保険の保険料は市区町村の窓口に、それぞれ見込み額を聞いて並べるのが確実です。

年金は、日本年金機構の案内によると、20歳以上60歳未満の人が退職した場合、国民年金への加入手続きが必要になります。扶養していた配偶者がいる場合は、配偶者の分の手続きも必要です。保険料を納めるのが難しい場合に備えて、失業などを理由とした免除の特例も案内されています。届出の期限と必要な書類は、市区町村か年金事務所で確かめてください。

税金は“後から届く”ものを先に書き出す

住民税。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職して収入が減った後にも、会社員の時の所得に応じた額の支払いが続きます。給与からの天引きが止まった後の残りをどう支払うか(最後の給与でまとめて支払うか、自分で納めるか)は、退職の時期によって変わるので、退職の前に人事と市区町村に確かめてください。

所得税と開業の届出。国税庁の案内(令和8年4月1日現在の法令)では、事業を始めたときは開業届を出すとされ、提出の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までとされています。青色申告を使いたい場合は、承認申請書を、原則としてその年の3月15日までに、1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内に出します。青色申告を使うかどうかは、帳簿をつける手間と受けられる特典を比べて決めることになるので、迷う場合は税務署や税理士に相談してください。

会社員のときは会社が年末調整をしていましたが、事業の所得がある場合は自分で確定申告をします。退職した年は、会社から受け取る源泉徴収票が申告に必要になるので、保管しておきます。

消費税。国税庁の案内(令和8年4月1日現在の法令)では、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし、前年の1月から6月までの課税売上高が1,000万円を超え、同じ期間に支払った給与などの合計も1,000万円を超えた場合などは、課税事業者になります。この期間の判定は、売上高の代わりに給与などの支払額で行うこともできるためです。また、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている間は、免税事業者にはなりません。

インボイスの登録をするかどうかは、取引先が登録を求めるか、登録した場合に納める消費税と事務の負担がどのくらいかで決まります。負担を軽くする経過措置は時期によって内容が変わるため、この記事では扱いません。登録の前に、取引先に必要かどうかを聞き、国税庁の最新の案内を確かめてください。

最初の入金までの月数を数える

売上が立っても、入金は請求の締め日と支払日の後になります。たとえば「月末締め・翌月末払い」の契約で4月1日に働き始めると、最初の入金は5月末です。その間の生活費と、保険料・住民税の支払いは、手元の資金から出ることになります。

次の表は、説明用の架空の数字で作った1か月分の資金表です。自分の数字に入れ替えて使います。

行 内容 架空例
A. 入金 その月に実際に口座へ入る金額(売上ではなく入金) 400,000円
B. 経費 仕事に必要な支出 30,000円
C. 税・保険料の取り分け 健康保険、年金、住民税、所得税などに充てる分。別の口座に移す 見込み額を各窓口で確認して記入
D. 生活費 家賃、食費、通信費など 220,000円
E. 残り A −(B + C + D) Cが決まってから計算

Cの行を空欄のままにしないことが大切です。保険料は、窓口で見込み額を聞けば数字が入ります。聞く先は、健康保険なら加入中の健康保険と市区町村の窓口、年金なら市区町村か年金事務所、住民税なら市区町村です。所得税は1年分の所得が決まるまで確定しないため、最初の年は多めに取り分けておき、確定申告の後に見直します。

あわせて「入金がない月が何か月続いても、B・C・Dを払えるか」を数えます。手元の資金 ÷(B + C + D)で、月数が出ます。何か月あれば足りるかは、契約がすでに決まっているか、入金までの日数がどのくらいかで変わります。

計算した月数が、最初の入金までの月数より短いときは、順番を変えることを考えます。退職日を後ろにずらす、退職の前に最初の契約を決めておく、といった方法です。足りている場合は、退職日と開業の手続きの日付を決められます。

独立するか、会社員を続けるかで迷っている人へ

この記事は、独立すると決めた人が手続きとお金を確かめるための資料です。独立するかどうかの判断そのものは扱っていません。まわりに独立した人がいて、会社員を続けている自分の選び方に迷いがあるなら、安定を選んだ自分は、逃げたことになるのかで、今の仕事を続ける理由を一文にする所から確かめられます。

今日やること

今日やることは1つです。時期ごとの表を写し、自分に当てはまる行に「確認する先」と「聞くこと」を書きます。そのうち1件、たとえば市区町村の国民健康保険の窓口に、保険料の見込み額を問い合わせる日を決めてください。前年の源泉徴収票を手元に用意しておくと、見込みを出してもらいやすくなります。

業務委託の契約書をこれから読む人は、署名前に確かめる14の条項と単価の比べ方を続けて読んでください。

よくある質問

Q. 任意継続と国民健康保険は、どちらが安いですか
A. 人によって異なります。前年の所得、家族の人数、自治体によって変わるため、退職前に両方の窓口で見込み額を聞いて比べてください。

Q. 開業届はいつ出せばいいですか
A. 国税庁の案内では、事業を開始した年分の確定申告期限までとされています。青色申告を使いたい場合は、承認申請の期限が別にあるので、あわせて確認してください。

Q. インボイスの登録は必要ですか
A. 一律には決まりません。取引先が登録を求めるかどうかと、登録した場合の消費税と事務の負担で変わります。登録前に取引先と国税庁の案内を確認し、迷う場合は税務署や税理士に相談してください。

出典・この記事の前提

  • 全国健康保険協会「任意継続」(2026年10月10日確認)
  • 日本年金機構「就職・退職したとき」(2026年10月10日確認)
  • 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」(令和8年4月1日現在の法令。2026年10月10日確認)
  • 国税庁「No.6501 納税義務の免除」(令和8年4月1日現在の法令。2026年10月10日確認)
  • 国民健康保険の届出期限・保険料、住民税の支払い方法は、この記事では個別に確認していません。お住まいの市区町村で確認してください。
  • 時期ごとの表と資金表は、CareerPivotが整理した確認用の方法です。表の金額はすべて説明用の架空の数字です。
  • この記事は税務・社会保険の個別の助言ではありません。制度は改正されることがあります。