仕事がつらいとき、それが甘えなのか限界なのかを、記事や点数で決めることはできません。決められるのは別のことです。負担がどの方向から来ているのかを分けて、明日変えること、または相談することを1つ選ぶ。この記事は、そのための表を渡します。
体や気持ちの不調が続いている人は、表より先に、次の章の相談先を使ってください。
読み終えると、「負担が強いのはこの条件で、明日はまずこれを変える(相談する)」と一文で言えます。甘えか限界かの判定は、この記事ではしません。

先に確認すること|表より相談を優先する状態
次のどれかに当てはまる場合は、この記事の表を埋めるより先に、人に相談してください。表は負担の整理には使えますが、心身の状態を判断する道具ではありません。
- 眠れない、食べられない、朝起き上がれないといった状態が続いている
- つらさが何週間も続き、休日にも回復しない
- 暴力、脅し、ハラスメントなど、安全が脅かされている
- 動悸、強い不安、涙が止まらないなど、強い心身の症状がある
- 消えてしまいたいと考えることがある
相談先の例
体調のことは、かかりつけ医や心療内科、勤務先の産業医・保健スタッフへ。
どこに相談するか迷うときは、厚生労働省の「こころの耳」に、働く人向けの、電話やメールなどの相談窓口がまとめられています。
いじめ・嫌がらせ、パワハラなど職場のトラブルは、各地の「総合労働相談コーナー」に無料で相談できます。
相談するときは、次の3つを短く伝えると、話が早く進みます。いつから続いているか。眠り・食事・休日の過ごし方がどう変わったか。仕事で何が起きているか(日時、場面、起きたことを事実で)。
最初に相談した先で話が進まなかった時は、そこで止めず、別の種類の窓口を使ってください。勤務先の産業医に話しにくければ、かかりつけ医へ。職場の中で相談しにくければ、会社の外の公的な窓口へ。
仕事の負担を4方向から整理する表
「仕事がつらい」を1つの塊のまま持っていると、変える場所が決まりません。そこで、負担を4つの方向に分けます。この4方向は、CareerPivotが整理した確認用の表であり、研究で確立された尺度や診断の基準ではありません。
| 方向 | 見るところ | 書くもの |
|---|---|---|
| 人と接する幅 | 1日に何種類の相手とやり取りするか | 直近7日の、多かった日の種類の数 |
| 気持ちを抑える量 | 言いたいことを言わずに飲み込んだ場面 | 直近7日の回数 |
| 板挟み | 決める人と実行する人の間に立った場面 | 直近7日の回数 |
| 先が読めない | 来週の予定や担当が今日の時点で分かるか | 分かる/一部分かる/分からない |
4方向とは別に、生活への影響を1つの欄に書きます。
| 別に書く欄 | 見るところ | 書くもの |
|---|---|---|
| 生活への影響 | 睡眠・食事・休日の過ごし方 | 変化があれば事実を一言 |
書くのは回数と種類だけにします。気持ちの強さを点数にすると、日によって基準が変わり、来週の自分と比べられなくなるからです。思い出せない欄は空けておいてかまいません。
4つの欄は合計しません。合計は、健康の状態も、辞めるべきかどうかも教えてくれません。使うのは「どの欄がいちばん重いか」だけです。
記入例を置きます。説明用の架空の例です。
| 方向 | 記入例(架空) |
|---|---|
| 人と接する幅 | 多い日で4種類(上司、他部署、取引先、後輩) |
| 気持ちを抑える量 | 7日で11回。うち8回は同じ会議の中 |
| 板挟み | 7日で3回 |
| 先が読めない | 一部分かる(来週の担当が未定) |
生活への影響の欄の記入例(架空):日曜の夜に寝つきが悪い日があった。
この例でいちばん重いのは「気持ちを抑える量」で、しかも特定の会議に集中しています。ここまで分かると、変える対象は「仕事全体」ではなく「その会議での伝え方や出方」になります。
生活への影響の欄に書くことが増えてきたら、表を続けるより、最初の章の相談先を使うほうを優先します。
重さが日曜の夜から月曜の朝に集まっているなら、『日曜21時の重さは、月曜の「3つの場面」に分けられる|1つだけ選んで、翌週に対策する』で、重くなる場面を3つに書き分け、月曜にやることを1行決められます。
いちばん重い方向ごとの、明日の一手
いちばん重い欄を1つ選んだら、明日することを1つだけ決めます。下の表は候補です。職場の事情に合うものを選んでください。
| 重い方向 | 明日変えること・相談することの例 |
|---|---|
| 人と接する幅 | 問い合わせに応じる時間帯をまとめられないか、上司に相談する。「午後の1時間は作業に充てたい」と時間で伝える |
| 気持ちを抑える量 | 飲み込んだ場面を1つ選び、事実と希望を一文にする。例:「確認の回数が多く作業が止まるので、確認点を事前にまとめて頂けますか」 |
| 板挟み | 判断の基準を文面でもらう。または、決める人に直接確認する場を上司に依頼する |
| 先が読めない | 来週の予定のうち「確定」と「未定」を上司に聞いて分ける。未定の分は、いつ決まるかを聞く |
立場上その場で言いにくい場合は、伝えずに記録だけ残すという選び方もあります。日時、場面、起きたことを事実で書いておくと、後で上司や人事、社外の窓口に相談するときにそのまま使えます。
「気持ちを抑える量」がいちばん重かった人は、言い返さなかった回数を、一週間だけ数えて4つに分ける方法で、どの場面から変えるかを決められます。
一手を試したあとの分かれ道
明日の一手を試したら、次の3つのどれに近いかを見ます。この分け方は、この記事での整理です。健康の状態や、辞めるべきかどうかを決めるものではありません。
| 今の状態 | 進む道 | すること |
|---|---|---|
| 生活への影響の欄に書くことが増えた。つらさが強くなった | 相談を先にする | 一手を続けるのをやめ、最初の章の相談先を使う |
| 丸を付けた欄の回数が減った | 今の職場で負担を減らす | 同じ一手を続ける。次に重い欄から、もう1つ選ぶ |
| 一手を変えて試しても、同じ欄が動かない | 職場を替えることを考える | その負担は、自分の工夫ではなく仕事の形から来ているのかもしれません。同じ4方向で、次の職場に聞くことを書き出す |
回数が変わらない時は、同じ欄で別の一手を試すか、相談する相手を変えます(直属の上司から、その上の上司や人事へ)。
職場を替えることを考えるとき
次の職場を考えるときも、同じ4方向で比べられます。ただし求人票には、板挟みの回数も、来週の予定が読めるかどうかも書かれていません。中を知っている人に聞く必要があります。
| 方向 | 面接や相談で聞ける質問の例 |
|---|---|
| 人と接する幅 | 1日にやり取りする相手は、主にどの部署・どんな顧客ですか |
| 気持ちを抑える量 | 意見が分かれたとき、どのように決めることが多いですか |
| 板挟み | この職種は、誰の指示を受けて、誰に依頼する立場ですか |
| 先が読めない | 担当や予定は、どのくらい前に決まりますか |
聞く相手は、その職場で働いている人や以前働いていた人、面接の担当者などです。元同僚や知人に上の質問を聞く方法と、面接で質問できる時間に直接確かめる方法があります。
質問を書き出したら、次の職場に求める条件を1行で書きます。たとえば「来週の担当が、前の週のうちに分かる」。そのうえで、公的な職業紹介の窓口(ハローワーク)に載っている求人を1件読み、その条件が求人票から読み取れるか、読み取れないので面接で聞くことかを、4方向ごとに分けて印を付けます。条件の線をもっとはっきりさせたい人は、『友人の転職の決め手を聞いた。自分に決め手がないとき、作る基準』で、動く条件と残る条件を一文ずつ決められます。
今日すること・明日すること
今日することは、直近7日ぶんの表を埋めて、いちばん重い欄に丸を付けることです。明日することは、丸を付けた欄について、一手を1つだけ実行することです。言いにくい場合は、伝えずに、日時・場面・起きたことを記録するだけでもかまいません。
参考:公的な調査の数字
参考までに、公的な調査の数字を置きます。厚生労働省の令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄があると答えた労働者は68.3%でした。そう答えた人が挙げた内容は、「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%、「対人関係」26.1%の順です。
この数字から言えるのは、仕事で強いストレスを感じること自体は珍しくない、というところまでです。個人のつらさが軽いか重いかは、この数字からは分かりません。
出典・この記事の前提
- 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査 結果の概要(2026年10月11日確認)。68.3%は労働者全体に対する割合、内容別の割合は「強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄がある」と答えた労働者に対する割合(主なもの3つ以内の回答)。令和6年調査は設問形式が変更されており、前年との比較には注意が必要。
結果の概要(PDF)/調査の一覧ページ - 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」(2026年10月11日確認)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026年10月11日確認)
- 負担を4方向に分ける表は、CareerPivotが整理した確認用の方法です。医学的・心理学的な診断や、退職の要否を判定するものではありません。記入例は架空の例です。