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職場での居場所

「やる気が出ない」とき、最初に直す場所を1つ選ぶ|原因を4つに分ける

約9分で読めます

やる気が漏れる原因を四つに分け、バケツの穴を一つずつ塞ぐイメージ

仕事へのやる気が出ないときに、原因を価値・できる気がしない・気持ちの負荷・問題の所在の4つに分け、最初に手を付ける場所を1つ選ぶ方法。相談を優先する場合と、分類の出どころもまとめました。

仕事にやる気が出ない。嫌いなわけではないのに、手が動かない。そういうとき、やる気を上げる方法を探す前に、下がっている原因がどこにあるのかを確かめます。原因によって、やることが違うからです。この記事では、原因を4つに分け、当てはまるものから1つだけ手を付けます。そのうえで、今の仕事を続けるのか、学ぶのか、仕事を替えるのかを選ぶ基準を示します。

読み終えると、4つの原因のうち今の自分にいちばん近いものを1つ選び、その原因に合う最初の一手を決められます。この記事は、仕事全体への意欲が下がっている場合を扱います。

この記事で渡すもの

  • 記事の方法より、相談を優先したほうがよい場合
  • 原因の4つの分け方と、それぞれの最初の一手
  • 原因ごとに、現状維持・資格・転職のどれを選ぶかの基準
  • 分類のもとになった資料と、この記事で整理した部分
やる気を削ぐ原因を水漏れに見立て、バケツの穴を一つずつ塞ぐ図

先に確認すること|記事より相談を優先する場合

次のような状態が続いている場合は、以下の方法を試すより先に、休むことと相談することを優先してください。

  • 眠れない、または寝ても疲れが取れない状態が続いている
  • 食欲がない、体重が大きく変わった
  • 以前は楽しめていたことに、興味がわかない
  • 朝、起き上がれない日が増えている
  • 強い落ち込みが続いている

体調については、かかりつけ医、心療内科、勤務先の産業医に相談できます。相談先に迷うときは、厚生労働省の「こころの耳」に、働く人向けの相談窓口がまとめられています。この記事の分類は、意欲が下がる原因を整理するためのもので、心身の状態を診断するものではありません。

原因を4つに分けて、直す場所を選ぶ

いまの状態 考えられる原因 最初にやること
この仕事に、何の意味があるのか分からない 価値が見えない 仕事の意味と目的を確かめる
やれる気がしない。始める前から無理だと感じる できる気がしない 難しさを下げる
気持ちが乱れていて、仕事に集中できない 気持ちの負荷が強い 言葉にする。相談する
何かがおかしいが、どこがおかしいのか分からない 何が問題か分からない 第三者と一緒に整理する

4つのうち、いまの状態にいちばん近いものを1つ選びます。複数に当てはまる場合も、最初に手を付けるのは1つにします。どれにも当てはまらない、または4つとも強く当てはまって選べない場合は、疲れがたまっているのかもしれません。その場合は、まず休みます。

やる気というより「毎日がつまらない」に近い人は、つまらなさの原因を分けるで、いつから、何をきっかけにそうなったのかを、1本の線に書いて確かめてください。

価値が見えないとき:意味と目的を確かめる

「価値」と言っても、社会的に立派な意義のことではありません。自分にとっての意味です。次の4つのうち、どれが欠けているかを考えます。

価値の種類 自分への問い 確かめること
興味 この仕事の中に、知りたいこと、面白いと感じることがあるか 担当の仕事の中で、知りたいこと、面白いと感じることを1つ書く
自分らしさ 自分の得意なことや性格と、仕事の内容が合っているか 得意な作業が、1日の仕事のうちどのくらいあるかを書く
重要性 自分の仕事が、誰かの役に立っていると感じられるか 自分の仕事を受け取る相手に、どう使われているかを聞く
見返り 負担に見合うものが、手元に残っているか 給与、時間、経験など、得ているものを書き出す

まわりの人にとってのやる気の出し方が、自分にも当てはまるとは限りません。自分がどの種類の価値で動くのかを知ることが、最初の一歩になります。

できる気がしないとき:難しさを下げる

やれる気がしないのは、能力がないからとは限りません。仕事を実際より大きく、難しく見積もっていることがあります。

  • 大きな仕事を、小さな作業に分けます。最初の作業は、15分で終わる大きさにします
  • 最初から完成させようとしません。文書なら見出しだけ、資料なら目次だけを作ります
  • 同じような仕事を経験した人に、どう進めたかを聞きます
  • 少し進んだら、できたことを書き留めます

小さな作業が終わると、「自分の行動で状況を動かせる」という感覚が少し戻ります。難しさは、一段ずつ上げていきます。

気持ちの負荷が強いとき:言葉にする、相談する

怒り、不安、悲しみなどの気持ちが強いと、仕事に向ける力が残りにくくなります。気持ちを押さえ込もうとすると、かえって長引くことがあります。

まず、気持ちを言葉にします。「むかつく」の一言で済ませず、何に対して、どのくらい強く、どんな気持ちなのかを、紙やメモに書きます。書くことで、気持ちと少し距離が取れることがあります。

書いても気持ちがおさまらない、仕事以外の時間にも続いている、という場合は、1人で抱えずに相談します。信頼できる人、社内の相談窓口、社外の窓口が使えます。職場の人間関係やトラブルが原因であれば、各地の総合労働相談コーナーに相談できます。

何が問題か分からないとき:第三者と整理する

何かがうまくいっていないのは分かるが、原因が特定できない。この状態では、1人で考え続けても、同じところを回りやすくなります。自分では、自分の見えていない部分に気づきにくいからです。

このときは、第三者と一緒に整理します。相手は、利害がなく、話を聞いてくれて、必要なら率直な指摘もしてくれる人が向いています。同意してくれるだけの相手だと、気は楽になりますが、見えていない部分は見えないままになりやすいです。

社内に合う人がいない場合は、社外でもかまいません。厚生労働省の委託事業「キャリア形成・リスキリング推進事業」で、キャリアコンサルティングなどの支援が無料で行われています。利用の条件は公式の案内で確かめてください。

何が問題かを誰と整理すればよいか分からない人は、仕事の相談相手は1人に絞らなくていいで、今欠けている相談の役割を1つ見つけてください。

この記事の分類の出どころ

この記事の4つの分け方は、リチャード・クラークとブロー・サックスバーグが2019年に経営誌のウェブ記事として発表した解説をもとにしています。その記事は、意欲が下がる原因として、価値の不一致、自己効力感の不足、妨げになる感情、原因の取り違えの4つを挙げています。研究者による解説で、1つの実験の結果を報告した論文ではありません。

「価値」の4つの種類(興味、自分らしさ、重要性、見返り)と、それぞれの確かめ方、原因ごとの道の選び方は、その記事の考え方を参考に、CareerPivotが整理したものです。元の記事でそのまま検証された手順ではありません。

原因ごとに選ぶ:現状維持/資格/転職

選んだ原因ごとに、合う道は次のとおりです。この対応は、この記事での整理です。心身の状態を診断するものではありません。

原因 選ぶ道 選ぶ基準
できる気がしない 資格(学ぶ) 仕事を小さく分けても、やり方を知らない作業が残る
価値が見えない 転職 4つの価値(興味・自分らしさ・重要性・見返り)のうち欠けているものが、今の会社の仕事の中身や決まりで決まっている
気持ちの負荷が強い 現状維持 先に言葉にする、相談する。仕事を替える・学ぶの判断は、落ち着いてからにする
何が問題か分からない 現状維持 利害のない人と整理してから、もう一度この表に戻る

気力が落ちているときは、物事を悪いほうに受け取りやすくなります。転職や退職といった大きな決断は、原因を1つ確かめたあとに回すと、あとで納得しやすくなります。状態が悪くなったと感じたら、道を選ぶのをやめ、最初の章の相談先を使ってください。

選んだ先の今日の一手

選んだ道ごとに、今日やることを1つだけ決めます。

  • 資格(学ぶ)を選んだ人:手が止まっている仕事を1つ選び、15分で終わる大きさの作業に分けます。分けたうえで「やり方を知らない」と分かった作業を1つ、名前で書きます。
  • 転職を選んだ人:4つの価値のうち欠けているものを1つ選び、「次の仕事では( )がある」と1行で書きます。書いた1行は、気力が戻ってから読み返します。動くかどうかの決め手が決まらないときは、自分に決め手がないとき、作る基準で、動く条件と残る条件を一文ずつ書けます。
  • 現状維持を選んだ人:気持ちの負荷が強い人は、何に対して、どのくらい強く、どんな気持ちなのかを紙に書きます。何が問題か分からない人は、話を聞いてもらう相手か窓口を1つ書きます。

よくある質問

休んでも、回復しません

休むだけでは戻らない場合があります。価値が見えない、できる気がしない、といった原因が残っているからです。ただし、体調の変化が続いている場合は、原因を探す前に相談してください。

転職すれば、解決しますか

環境が原因である場合は、有効な選択肢です。ただ、原因が分からないまま職場だけを変えると、同じ状態になることがあります。何が原因かを、できる範囲で確かめてから動くことをおすすめします。

この状態を、上司にどう伝えればよいですか

「やる気が出ない」と伝えると、気持ちの問題として受け取られやすくなります。どの業務にどのくらい時間がかかっているか、いつから進みにくくなったかを、事実として伝えてください。

出典・相談先・この記事の前提