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子どものいる暮らし

辞める話で毎晩呼び出される親。四晩目は断って、子どもの音読を聞く

約12分で読めます

夜の呼び出しを断って帰宅し子どもの音読を聞く親

辞めると口で伝えてから、上司に毎晩呼ばれて辞める話が一時間を超え、三晩続けて子どもの音読を聞けなかった親へ。夕方の時間割に断る線を引き、退職日を書いた退職届を出して、「今日は帰ります」と言えるようにします。相談先の案内も先に置きます。

この記事を読むと、夕方から夜の時間割に断る線を引き、退職日を書いた退職届を出して、「今日は帰ります」と言えるようになります。

「ちょっといい?」が、三晩続いた

小学生の子がいます。期間の定めのない雇用で働いていて、辞めることは上司に口で伝えました。

伝えた日から、上司は終業の少し前に「ちょっといい?」と呼びます。辞める話が、一時間を超えます。三晩続けて帰りが遅くなり、子どもの音読の宿題を、三晩とも聞けませんでした。

困っているのは、上司の説得の中身ではありません。辞める話を終わらせる日と、夜の呼び出しに付き合う線を、自分で決めていないことです。決めていないので、話は上司の都合で続きます。

先に、相談先を置いておく

原因を分ける前に、一つ置いておきます(2026年10月時点の案内です。窓口や決まりは変わることがあります)。

呼び出しが、説得から責めに変わっている。眠れない。朝に吐き気がある。上司と二人の部屋に入ると、言い返す言葉が出ない。どれか一つでも当てはまるなら、この先の時間割や退職届より先に、相談先に話してください。

  • 厚生労働省の事業「こころの耳」。電話、SNS、メールの相談があります。働く人と、その家族が使えます。
  • 総合労働相談コーナー。各都道府県労働局や労働基準監督署の中などにあり、いじめ・嫌がらせ、パワハラも受け付けています。無料で、予約は要りません。
  • 体の不調は、医療機関へ。
  • 社内で相談しにくい、相談しても変わらない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。

毎晩の呼び出しがハラスメントに当たるかどうかは、この記事では判定しません。当てはまるかどうかは、相談先で確かめてください。この記事でできるのは、時間割に線を引き、話を終わらせるために自分が打てる一手を渡すことまでです。

この記事は、期間の定めのない雇用で働く人の退職日の決め方で書いています。契約社員など期間を決めて働いている人は、退職日の決め方が違うので、下の退職届に書く日付だけは、契約書と総合労働相談コーナーで確かめてから書いてください。

夕方から夜の時間割を、一枚に書く

17時から22時までの時間割を書き、呼び出しの時間と、子どもの時間を、同じ紙に置きます。

時刻 一晩目 二晩目 三晩目 四晩目(これから)
17:00
17:30 終業 終業 終業 終業
18:00 呼び出し 呼び出し 呼び出し
18:30
19:00 帰宅
19:30 帰宅 夕飯
20:00 夕飯 帰宅 帰宅 音読
20:30 夕飯 夕飯
21:00 寝かしつけ 寝かしつけ 寝かしつけ 寝かしつけ
21:30
22:00

表の中の時刻は、埋め方の例です。自分の三晩を、実際の時刻で書き直してください。

三晩分を書くと、呼び出しが音読の時間を毎回つぶしていることが、一枚の紙の上で分かります。帰りが遅いことと、音読が聞けないことが、同じ列の上でつながって見えます。

断る線を引く

四晩目の列に、線を一本引きます。線は「終業から30分を過ぎたら帰る」です。表でいえば、18時の行の下に横線を引きます。この30分は、この記事で置いた目安です。自分の終業時刻に合わせて、引く行を決めてください。

線の下に、断る一文を書いておきます。文例です。

「今日は子どもの時間なので帰ります。続きは明日の朝○時に、○分でお願いします」

この一文には、三つが入っています。今日は帰ること。続きがあることを否定しないこと。続きの時刻と長さを、自分が決めること。「もう話したくない」ではなく、「明日の朝○時に○分」です。上司に渡すのは、「帰る」だけでなく「次の時刻」です。

話が終わらない理由

ここで、なぜ三晩も続いたのかを一つだけ書きます。

口で「辞めたい」と伝えただけで、退職日を書いた書面を出していないと、上司にとっては「まだ決まっていない話」のままです。決まっていない話だから、毎晩続けられます。退職の意思は口で伝えても効き目があり、会社の承認は要りません。けれど、あとで「聞いていない」と言われないように、書面で出す方法があると労働局は説明しています。退職日を書いた退職届を出すことは、話を「決まった話」にするために、自分の側で打てる一手です。

三晩続いた理由を分ける、三つの問い

ここからは、三晩続いた理由を、時間割の上で分けます。三つに分けるのは、この記事の整理のしかたです。自分の状態を診断するものではありません。

問い こう答えた人は
① 退職日を書いた退職届を出したか、口で言っただけか 口で言っただけなら、上司の側では話がまだ開いている。時間割に書面を出した日がない
② 呼び出しは説得か、責めか。上司と二人の部屋に入ると言い返せないか 説得なら、線を引いて書面を出すことで、話を終わらせる側に自分が回れる。責めで、二人の部屋で言葉が出ないなら、線を引いても帰れない
③ 辞める日を決めるのに、子どもの側の区切り(学期、学童の切り替え)があるか あるなら、退職日はその区切りに合わせる。今月は動けないのは、子どもの予定があるから
原因 時間割のどこに表れるか
A 四晩目の列に、退職届を出す日が書いていない。口で伝えただけで、だから「話し合い」が続いている
B 18時の呼び出しの枠そのもの。呼び出しが責めに変わっていて、上司と二人の部屋に入ると言い返せない。もう顔を合わせたくない
C 紙の端に書く、子どもの区切りの日。辞める日は決めたいが、学期の区切り(学童の切り替え、扶養の切り替え)があり、今月は動けない

時間割の上で自分の原因が見えたら、その道だけを読んでください。一つの原因に、道は一つです。

原因A:退職届を出して、話を終わらせる

Aの人は、上司と話せます。終わらないのは、話が「まだ決まっていない」形のままだからです。

今夜、時間割の四晩目の列に、「終業から30分」の線を引きます。

明日のうちに、退職日を書いた退職届を用意します。退職日は、自分で決めます。期間の定めのない雇用では、申し入れから2週間で雇用が終わると民法627条1項が定めています。就業規則に常識的な長さの申し出の期間(例:1か月前まで)があるなら、それに合わせるほうがもめにくい、と労働局は説明しています。

退職届を渡すときに、こう言います。「退職日は○月○日です。この話は、これで終わりにさせてください。引き継ぎの相談は、明日の朝○時から○分でお願いします」。

その日から、夜の「ちょっといい?」には、線の下の一文で返します。「今日は子どもの時間なので帰ります。続きは明日の朝○時に、○分でお願いします」。朝の○分は、引き継ぎの話に使います。

手が止まりやすいのは、「まだ受け取れない」と言われる場面です。退職の申し出に、会社の承認は要りません。受け取られなくても、内容と日付が残る形で出し直します。手渡しで受け取られないなら、人事や総務に出す。それでも受け取られないなら、内容証明と配達証明をつけた郵便で、郵便局から会社宛てに送る(内容証明を扱う郵便局は限られます)。内容証明は文書の内容を、配達証明は届いた事実を証明するものです。相手が読んだことや内容の正しさを証明するものではありませんが、「出した」「届いた」が残ります。そのうえで、総合労働相談コーナーに相談します。

今日やるのは、時間割に三晩分の帰宅時刻を書くところまでです。退職届は、明日でかまいません。

頼めるのは退職日まで。呼び出しのことは相談先

原因Bの道では、二人の部屋に入らずに、辞めることを会社に届けます。その前に、時間割の上の何を代行に渡せて、何を渡せないかを分けます。

渡せるのは、本人が決めた退職の意思と、退職日です。弁護士でない退職代行は、それを会社に伝えるところまでしかできません。18時からの呼び出しのことや、そこで言われた言葉のことを、会社と話し合うことはできません。弁護士でない人が報酬を受けて法律の事務を扱うことは、弁護士法72条で禁じられていて、弁護士会や労働委員会も気をつけるよう案内しています。呼び出しや言葉のことは、代行ではなく、上に書いた相談先に持っていく話です。

自分で伝える道と比べて変わるのは、二人の部屋に入らずに済むこと、それだけです。頼んだあとも、次の三つは自分の時間割に残ります。

頼んだあとに自分でやること 中身
書類を受け取る 離職票は、会社が手続きをしない場合でも、ハローワークに申し出れば本人の請求で手続きが進む。源泉徴収票は、退職後1月が出す期限とされている
健康保険と年金を切り替える 任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出る。国民健康保険と国民年金は市区町村の窓口で14日以内。家族の扶養に入るなら家族の勤め先を通す
上司から電話が来たときを決める 会社が本人に連絡することを止める決まりは、見つかっていない。代行が「本人への連絡は控えてほしい」と頼んでも、会社を縛るものではない。出るか出ないかを先に決めておく

代行の費用は、調べた額をここに書きます。(    円)。書いた額で頼めるのは、辞めることと退職日を伝えてもらうことです。夜の呼び出しをやめてもらう話し合いは、その中に入っていません。退職届を自分で人事に出すなら、この額は要りません。自分で伝えるのが基本の道で、代行は、二人の部屋にどうしても入れない人のための道です。

代行を使わない場合は、退職日を書いた退職届を人事や総務に出し、断る一文を持って帰ります。退職の意思は、会社に届けば、上司が手で受け取らなくても効き目があります。

原因B:相談先に話してから、向き合わずに伝える

Bの人は、呼び出しが責めに変わっています。二人の部屋に入ると、言い返す言葉が出ません。もう顔を合わせたくない。代行に頼むのは、辞めることと退職日の二つを伝えることだけにします。

最初の夜は、相談先に話します。代行に頼む前に、こころの耳か、総合労働相談コーナーへ。三晩の時間割を持っていくと、何が起きているかを短く話せます。責めの中身がハラスメントに当たるかどうかは、ここで確かめます。

次の夜までに、頼む前の四つを決めます。退職日。有給を使うか、使うなら何日から。私物をいつ持ち帰るか。子どもの行事の日(退職日までに休む日)。この四つは、代行が会社に伝える中身になります。代行は決めてくれません。

そのあと、代行が、退職の意思と退職日を会社に伝えます。ここだけが、代行の仕事です。

頼んだあとは、上の表の三つを、自分の時間割の空いた枠に一つずつ書き込みます。電話に出るかどうかは、頼む日のうちに決めておきます。

手が止まりやすいのは、上司が家に電話をかけてくる場面です。出ないと決めたなら、出ません。書面で「連絡は文書でお願いします」と会社に伝えます。責めが続くなら、電話の日時と内容を時間割の紙に書き足して、その記録を持って総合労働相談コーナーに行きます。

今日やるのは、相談先に電話する時刻を、時間割に書くところまでです。四晩目の列の、どこかの行に。

原因C:子どもの区切りを期限にして、残る

Cの人は、辞める日を決めたいのに、今月は動けません。学期の区切り、学童の切り替え、扶養の切り替え。子どもの側の日付が、退職日を決めます。

残る期限は、子どもの区切りの日です。学期の終わり、学童の切り替えの日。その日までは残ります。

今夜、区切りの日か、その直後を退職日にします。「今月は動けない」を、「○月○日に辞める」に変えます。

明日、その日を退職日にした退職届を出します。退職日が先でも、出すのは今です。出さないままでは、上司の側では「まだ決まっていない話」のままです。出せば、「残るけれど、辞める日は決まっている」という形になります。

それからの夜は、線のとおり断ります。「今日は子どもの時間なので帰ります。続きは明日の朝○時に、○分でお願いします」。残る間も、線は同じです。区切りの日までは働き、引き継ぎは朝の○分の中で進めます。

手が止まりやすいのは、上司が「残るなら話はなしだな」と受け取る場面です。退職日が先なので、「考え直した」と受け取られることがあります。このとき言う一文です。「退職日は変わりません。残るのは、この日までです」。そう言いながら、書面の日付を指します。口で説明し直す代わりに、日付を指します。

今日やるのは、子どもの区切りの日を、時間割の端に書くところまでです。学期の終わりの日、学童の切り替えの日。紙の右上でかまいません。

どの道でも、四晩目に言う一文は同じ

原因が一つに決まらなかった人は、どんな夜が続いているかで選んでください。

道 こんな夜が続いているなら 時間割に書く一つ
A:自分で伝える 上司と話せる。終わらないのは書面を出していないから 三晩分の帰宅時刻
B:退職代行を使う 呼び出しが責めで、二人の部屋に入ると言い返せない。先に相談先へ 相談先に電話する時刻
C:今は残る(期限と条件つき) 子どもの区切りがあり今月は動けない。期限は区切りの日。退職届は今出す 子どもの区切りの日

Bを選ぶ人も、時間割は書きます。Cを選ぶ人も、退職届は今出します。どの道でも、四晩目の列の線の下に、同じ一文を書いておきます。

四晩目、台所で

四晩目。終業の少し前に、「ちょっといい?」と上司が言います。

時間割の四晩目の列には、18時の下に線があります。線の下には、一文があります。

「今日は子どもの時間なので帰ります。続きは明日の朝○時に、○分でお願いします」

Aの人は、退職届を出した翌日にこう言います。Bの人は、相談先に話した日の帰りにこう言います。Cの人は、区切りの日を書いた退職届を出した日にこう言います。どの道からでも、この一文に着きます。

言って、帰ります。台所で、子どもが音読を始めます。三晩聞けなかった音読です。時間割の四晩目の列の、20時の行に、「音読」と書いた枠があります。その枠の中に、今、います。