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ふたりの関係

恋人の親の会社を辞めたい人。別れ話と思われる前に、二人に同じ日に

約12分で読めます

会社を辞めても二人の関係は続くと恋人に朝伝える男性

恋人の父親が社長の会社を辞めたいのに、社長に言えば恋人に伝わり、恋人に言えば「別れるの?」と聞かれる人へ。朝・昼・夕・夜の時間割に誰に何を言うかを置き、「辞めるのは会社。二人のことは変わらない」の一文で、同じ日に二人に言う記事です。

この記事を読むと、恋人と社長に同じ日に言う一日の時間割を作り、「会社を辞める」と「二人は続く」を分けた一文を持って、その日に二人に言う準備ができます。

社長に言えば恋人に伝わり、恋人に言えば「別れるの?」

恋人の父親が社長の会社で働いている人の話です。恋人とは、続けるつもりでいます。

会社を辞めたい。けれど、社長に言えば、その夜のうちに恋人に伝わります。恋人に先に言えば、「別れるの?」と聞かれます。辞める話が、会社の話ではなく家族会議になる予感しかしません。どちらにも言えないまま、半年がたちました。

止まっているのは、「会社を辞める」と「二人は続く」を分けて言う一文を、まだ持っていないからです。この一文がないと、社長に先に言っても、恋人に先に言っても、聞いた側には「辞める=離れる」と届きやすくなります。一文があって、同じ日に収めれば、どちらに先に言っても、別れ話と受け取られにくくなります。

一日の時間割に、四つを置く

この記事の真ん中は、二人に話す日の時間割です。朝・昼・夕・夜の四つに、誰に何を言うかを置きます。

時間 誰に 何を 書き込む欄
朝 恋人に 「会社を辞める。二人のことは変わらない」の一文 言う時刻( 時)
昼 自分で 退職届に日付を書く 最終日( 月 日)
夕 社長に 会社の中で、仕事の時間に、会社の人として伝え、退職届を手渡す 場所(   )
夜 恋人と 「社長に言った」を二人で共有する 話す場所(   )

恋人に先に言うか、社長に先に言うかは、同じ日に収めれば順番は問いません。朝に社長、夕に恋人でもかまいません。大事なのは、日をまたがないことです。日をまたぐと、先に聞いた人と後で聞いた人の間に「聞いてない」が生まれます。「聞いてない」は、会社の話を家の話に変える入口です。同じ日に収めれば、夜には二人とも知っていて、食卓に「聞いてない」人がいません。

一文の形

朝に恋人に言う一文は、三つの部分でできています。

「辞めるのは会社。理由は仕事の◯◯。二人のことは別で、変わらない」

一つ目は、辞める相手が会社だと言う部分。二つ目は、理由。三つ目は、二人のことは変わらないと言う部分です。

理由の◯◯には、会社の決まりや仕事の中身を入れます。「担当の範囲」「勤務の時間」「やりたい仕事との違い」など。社長個人の話は入れません。「お父さんのやり方が」と言うと、恋人に親をかばう理由を渡すことになります。「仕事の中身が」なら、恋人が受け取るのは会社の話です。理由は一つで足ります。理由を二つ三つ並べると、その一つずつに言葉を返されやすくなります。

夕に社長に言うときは、同じ三つの部分を、会社の言葉に置き換えます。

「退職いたします。理由は仕事の◯◯です。(恋人の名前)とのことは、仕事とは別に考えています」

場所は会社の中、時間は仕事の時間です。家で言わないこと、食事の席で言わないことが、「会社の人として伝える」ということです。退職届は、このときに手渡します。

社長に言われそうな二つと、返す一文

社長が親の顔になりかけたときに言いそうな言葉を、二つ用意しておきます。返す一文も、一つずつです。

「家の話を会社に持ち込むな」と言われたら。
「会社のことなので、会社でお話ししています。家には持ち込みません」

「うちの子はどう言っているんだ」と言われたら。
「今朝、本人に伝えました。二人のことは変わらない、と話しています」

どちらも、会社の話に戻す一文です。親の顔で来た言葉に、子の立場で返さないこと。会社の人として来た言葉に、会社の人として返すこと。この二つを守るのが、話を会社の中に置いておく形です。

昼の欄に書く日付の決め方

時間割の昼の欄、退職届に書く日付の決め方です。ここで書く決まりは、正社員など期間の定めのない雇用の場合で、契約社員など期間の定めがある人は民法628条の別の決まりになります。

決まりでは、辞めると申し入れてから2週間がたつと、期間の定めのない雇用は終わります(民法627条1項)。退職は働く人の一方的な意思表示で有効になり、会社の承認はいりません。口で言っても有効ですが、行き違いを防ぐために書面で出すほうがよい、と労働局は説明しています。恋人の親の会社では、口で言った言葉が家で言い換えられることもあるので、書面の意味は大きくなります。

就業規則に「1か月前までに申し出る」のような期間があり、常識的な長さなら、それに合わせて申し出るほうがトラブルが少ない、と労働局は説明しています。就業規則を作って届け出る義務があるのは、常時10人以上の労働者を使う会社です。小さな会社で就業規則がない場合は、民法の2週間が目安になります。それより長く引き継ぎの日を取るかどうかは、自分で決めます。給与の決め方によっては、2週間より長くなる場合があります。どれも2026年10月時点で確かめた決まりです。動く前に、変わっていないかを見てください。

退職届の文面は短くてかまいません。たとえば「◯年◯月◯日をもって退職いたします」の一行に、書いた日の日付と名前を添える形です。決まった書き方があるわけではなく、一つの例です。宛先は社長の名前ではなく、会社の名前にします。これも、会社の話を会社に置くための形です。

一文を持って、三つの問いに答える

時間割と一文ができたら、その一文を手に持ったつもりで、三つの問いに答えます。A・C・Bの三つは、この記事での整理です。恋人や社長がどういう人かを決めるものではありません。

問い① 社長に、会社の人として、仕事の時間に面と向かって言えるか。それとも、親としての顔が浮かんで、伝えること自体ができないか。

問い② 辞めたい理由を、社長個人ではなく、仕事の中身で一文にできるか。

問い③ 恋人は、「会社を辞める」と「別れる」を分けて聞ける状態か。それとも、まず二人で辞める日を決めたほうがいいか。

問い①が「言える」で、問い③が「分けて聞ける」なら、原因A。問い②が「仕事の中身で言える」で、問い③が「まず二人で日を決めたほうがいい」なら、原因C。問い①が「伝えること自体ができない」なら、原因B。問い②で、理由がどうしても社長個人の話になってしまう人は、どの原因でも、先に一文の◯◯を仕事の中身で一つ埋めてから、問いに戻ります。

原因A:社長には言える。二つを分けた一文と、同じ日に言う段取りがなかっただけ。

原因C:辞める理由は仕事の中身。けれど、二人で辞める日をまだ決めていない。先に恋人と日を決める。

原因B:社長が親の顔で、引き止めや説教を家に持ち込む。会社の人として顔を合わせて伝えることが、できない。

この記事は、原因Aと原因Cだけで成り立つように書いています。原因Bは、記事の後ろに短く置きます。

原因A:同じ日に、二人に自分で言う

時間割の四つの欄を、全部自分の口で埋める道です。費用は要りません。手順は四つです。

一つ目。一文を作ります。「辞めるのは会社。理由は仕事の◯◯。二人のことは別で、変わらない」。◯◯を一つだけ埋めます。

二つ目。日を決めます。社長が会社にいて、仕事の時間に会える日です。その日の朝に恋人と話せる日でもあります。

三つ目。その日の朝に恋人に一文を言い、昼に退職届に日付を書き、夕に社長へ会社の中で手渡します。

四つ目。夜に、恋人と二人で共有します。「社長に言ったよ。退職届も出した」。これで、食卓に「聞いてない」人はいません。

詰まる所は、社長が「家で話そう」と言う所です。「今日は時間がない、夜に家で」。これに乗ると、会社の話が家の話になります。返す一文は、これです。

「会社のことなので、会社でお話しします。日付は変えません」

日付を変えないと言えるのは、退職届に日付がすでに書いてあるからです。「家で話そう」の返事に「分かりました」と言わないこと。時間を改めるなら、会社の中で、仕事の時間に改めます。

原因C:恋人と日を決めるまで、残る

社長にはまだ言わず、恋人と日を決めるまで会社に残る道です。残るのは、二人で決めた期限の日までです。

辞める理由は仕事の中身で、一文にできる。けれど、恋人が「辞める」と「別れる」を分けて聞ける状態か、まだ分からない。この人は、社長に言う前に、恋人と辞める日を決めます。先に二人で日を決めれば、その日の時間割は、原因Aと同じ形で動きます。

手順は四つです。

一つ目。恋人に、一文を言います。「会社を辞める。日を一緒に決めたい」。別れないという部分は、「一緒に決めたい」の中に入っています。

二つ目。二人で、社長に言う日を決めます。日付は、2週間と就業規則の期間を見て、引き継ぎの日数を足した先に置きます。

三つ目。その日まで残ります。残る間、家に仕事の話を持ち込みません。「社長が今日こう言った」を食卓に出さないことが、残る条件です。会社の話を家に持ち込まないのは、社長にだけ求めることではなく、自分にも求めることです。

四つ目。決めた日に、原因Aの時間割で動きます。

詰まる所は、恋人が「もう少し待って」と言う所です。期限なしで残ると、半年がもう半年になりかねません。返す一文は、これです。

「◯日までに、一緒に決めよう」

◯には、今日から数えて近い日を入れます。「待って」に「分かった」で返すのではなく、「◯日までに」で返します。決める日に期限を置くのであって、辞める日を延ばすのではありません。◯日が来ても決まらないなら、自分で日を決めて、原因Aの時間割に入ります。

社長に代わりの人が伝える前に、時間割で見ておくこと

ここから先は、原因Bの人だけが読む所です。

原因Bは、社長が親の顔で引き止めや説教を家に持ち込み、会社の人として顔を合わせて伝えることができない人に限ります。社長が恋人の親なので、代行が社長に伝える場面は、人によっては現実味が薄いかもしれません。原因Aか原因Cで動ける人は、そちらで足ります。

時間割で言うと、退職代行が埋められるのは、夕の欄の「社長に伝える」だけです。それも、本人が決めた退職の意思と最終日を会社に伝える所までで、退職日の調整や条件の話し合いはできません。弁護士でない人が報酬を受けてそれをすると、弁護士法72条の問題になると、弁護士会や労働委員会が注意を呼びかけています。昼の欄の日付は、頼む前に自分で書きます。

朝の欄と夜の欄、つまり恋人への説明は、代わりの人には頼めません。社長が家族に話すのを止めることも、できません。会社が家族に連絡することを許す決まりも、禁じる決まりも、確認できていません。業者を使ったこと自体に会社が感情的になるおそれがある、と弁護士会は指摘しています。社長が恋人の親なら、その感情は家にも来ることがあります。そこを引き受けられるかを、頼む前に見ておきます。

社長と顔を合わせずに済むことと引きかえに、費用がかかります。額はこの記事には書きません。自分で見た額を、時間割の余白に書いておきます。

自分で見た額:(   )円

自分で伝えるAとCの道には、この費用はありません。頼まない場合の代わりもあります。退職届を会社あてに郵便で送る方法です。宛先を会社にすれば、社長と顔を合わせずに、会社の人として伝えることができます。

原因B:社長には任せ、恋人には朝に自分で言う

社長には代わりの人に伝えてもらい、恋人には自分で言う道です。伝えること自体ができない、という一点がそろったときだけ選びます。

頼む前に決めることは、次の三つです。

① 最終日。退職届を出す日から2週間以上あとの日です。就業規則があれば、その期間に合わせます。

② 退職届。昼の欄で書く一行で足ります。宛先は会社の名前です。

③ 恋人に自分で言う時刻。代行が社長に伝える時刻より、前にします。時間割の朝の欄に、その時刻を書きます。「会社を辞める。二人のことは変わらない。今日の◯時に、会社には代わりの人から伝えてもらう」。この一文を、社長に伝わる前に、恋人に言っておきます。

代行が社長に伝えたあと、この記事の人に固有の仕事が一つあります。

  • 社長から恋人に連絡が行ったら、恋人から聞いて、恋人に一文を渡します。「会社のことは、本人と会社で話している」。本人あての連絡には、書面で返します。

ほかに自分でやるのは、退職届を会社あてに郵便でも送ること、会社の物を返して離職票・源泉徴収票などを受け取ること、次の仕事までに空白があれば健康保険と年金を切り替えることです。切り替えには期限があり、国民健康保険と国民年金は市区町村の窓口、今の健康保険を続ける任意継続は今の健康保険の運営者で確かめます。

詰まる所は、社長が恋人に「どういうことだ」と言う所です。会社が家族に連絡することを止める決まりは、確認できていません。だから、止められることを前提にしません。前提にするのは、朝のうちに恋人が知っている、という時間割です。社長から恋人に話が行ったとき、恋人がすでに「今朝聞いた」と言える状態にしておくこと。これが、原因Bの人が自分でやる、いちばん大きな仕事です。

今日、時間割に一つ書き込む

時間割を全部埋めるのは、まだ先です。今日は一つだけ書き込みます。

原因Aの人は、一文を1行書きます。「辞めるのは会社。理由は仕事の◯◯。二人のことは別で、変わらない」。◯◯を埋めるだけです。日を決めるのは、その先です。

原因Cの人は、恋人に「日を一緒に決めたい」と送ります。長い説明は要りません。この一文だけです。

原因Bの人は、恋人に言う時刻を、時間割の朝の欄に書きます。頼むのは、その時刻を書いてからです。

同じ日の夜に

この記事の終わりは、同じ日の夜です。

原因Aの人は、朝に恋人へ、夕に社長へ、自分で伝え終えています。原因Cの人は、二人で決めた日の夜に、同じ所に着きます。原因Bの人は、朝に恋人へ自分で伝え、社長には代わりの人が伝え終えています。

夜、恋人と二人で、「言ったよ」と確かめ合っています。食卓に「聞いてない」人はいません。会社の話は、会社の中で伝えました。家に持ち帰ったのは、「二人のことは変わらない」の一文だけです。二人の関係がこの先どうなるかは、この記事には書けません。この記事が書いたのは、辞める話を別れ話にしないための、一日の時間割までです。