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子どものいる暮らし

店長と同じ園のパート。辞めた翌週も門で「おはようございます」

約12分で読めます

職場用と園用の返答メモを仕事のエプロンと通園バッグに分けて準備する母親

店長が娘と同じクラスの子の父親で、辞めると翌朝の送りが気まずいパートへ。職場で言われる言葉と園の門で言われる言葉に返す一文を分けて持ち、辞めたあとも園に通い続ける保育の手続きを先に確かめて、辞める日を決める記事です。

この記事を読むと、店長に言われそうな言葉に返す一文を、職場の分と園の門の分で分けて持てます。そのうえで、自分で伝えるか、退職代行に頼むか、次のシフト表が出る日まで残るかを選べます。辞めたあとも園の門に立ち続けるための、保育の手続きの確かめ方も分かります。

保育園に通う娘がいて、週4日以下のパートで働いている人の話です。パート先を辞めたいのに、店長は娘と同じクラスの子の父親で、朝の送りで毎日、園の門に並びます。辞めると言ったら、翌日の送りが気まずくなる。そう思って言えないまま、門で「おはようございます」を続けています。

2つの場で同じ人に会うから、言う形がない

この場面の難しさは、店長が「職場の人」と「園の保護者」の両方だ、という点にあります。

職場で辞めると言えば、翌朝の門で、その話の続きが始まるかもしれない。園で会うから職場で言えず、職場で言えないから園でも目を合わせにくくなる。2つの場がつながっているように感じて、辞める日が決められません。

この記事でやるのは、2つの場を言葉で分けることです。職場では職場の話をし、園では園の話だけをする。そのための一文を、場ごとに1つずつ持ちます。店長が何と言うかは分かりませんが、こちらが返す一文は、先に決めておけます。

契約の期間と有給。パートでも同じ決まり

辞め方の決まりは、契約に期間の定めがあるかどうかで変わります。パートでも同じです。入社のときにもらった書面(雇用契約書や労働条件通知書)で、「契約期間」の欄を確かめてください。

期間の定めがない場合は、申し入れた日から2週間がたつと雇用は終わります(民法627条1項)。就業規則に申し出の期間が書いてあれば、それが常識的な長さなら合わせます。期間の定めがある場合は、契約の期間が働く約束で、途中で辞められるのは「やむを得ない事由」があるときに限られ(民法628条)、当てはまるかは個別の判断です。この記事は、期間の定めがない人を基本に書きます。期間がある人は、契約書の満了日を辞める日の候補にします。「パートだからすぐ辞められる」ということはなく、契約の形で変わります。

もう1つは、有給です。決められた働く時間が週30時間未満で、働く日が週4日以下のパートにも、日数に応じた有給があります(労働基準法39条3項)。6か月続けて働き、8割以上出勤した場合、週4日なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日です。そのあとは、勤続に応じて増えます。退職する人が辞める日までに残りの有給を使いたいと申し出た場合、退職日より後に時季を変える余地がないので、請求どおり与えなければならない、と労働局は説明しています。ただし、全部使えると言い切れるものではなく、早めに申し出るのが現実的です。

この2つも、次の見出しの保育の決まりも、2026年10月時点で確かめた内容です。変わることがあるので、契約書と市区町村の案内を手元で見比べてください。

辞めても園に通い続けるために、先に窓口へ

辞めたあとも娘が園に通えるかどうかは、どの道を選ぶ場合でも、先に確かめます。

保育園を使うには、市区町村の認定が要ります。認定の事由には「就労」のほかに「求職活動」があります。仕事を辞めて次を探す間は、事由を「求職活動」に変えて認定を受け直す形になります(判断は市区町村)。求職活動の場合の認定の有効期間は、90日を限度として市区町村が決める期間です。90日より短く決めている市区町村もあるので、「辞めても90日は通える」とは言えません。

もう1つ、事由は保護者の「いずれもが」当てはまることが条件です。読者本人の状況だけでなく、パートナーの就労の状況も関わります。

だから、辞める前に、住んでいる市区町村の保育の窓口で、次の3つを確かめます。

  • 事由を「就労」から「求職活動」に変える届け出に、何の書類が要るか
  • 届け出の期限はいつか(辞めてから何日以内か)
  • 求職活動の事由で使える期間は、この市区町村では何日か

聞く文は、これで足ります。

「パートを辞める予定です。求職活動の事由に変える届け出と、期限と、使える期間を教えてください。」

この確認が済んでいれば、辞めたあとの朝に園に通い続けられるかを、辞める前に知っておけます。

言われそうな言葉と、返す一文

この記事の真ん中は、この対です。左に店長が言いそうな言葉、右に返す一文を書きます。職場の分と、園の門の分を、分けて作ります。

職場で

言われそうな言葉 返す一文
「シフトが回らない」 「○日で辞めます。それまでのシフトは入ります。」
「園で会いづらくならない?」 「園では園の話だけにします。」
(自分が聞きそうな言葉)

1つ目の一文は、辞める日と、それまで働くことの2つだけを言います。理由を長く言い始めると、シフトの話が辞めるかどうかの話に戻ります。

2つ目の一文は、こちらから先に線を引く言葉です。店長が翌朝どう出るかは、この記事では書けません。決めておけるのは、翌朝の門でこちらが返す言葉のほうです。それが、次の表です。

園の門で

言われそうな言葉 返す一文
「昨日の話だけど」 「ここでは園の話で。職場のことは職場で。」
(自分が聞きそうな言葉)

園の門では、この一文だけです。職場の話を園に持ち込まれたら、同じ一文を返します。言い方を変えず、くり返します。それでも続くなら、送りの時間を少しずらします。門で会う時間が重ならなければ、話の始まる場面が減ります。

空欄には、自分の店長が言いそうな言葉を書き足してください。返す一文は、どれも「職場のことは職場で」「○日で辞めます」の言い換えで足ります。新しい返し方を増やすより、同じ一文をくり返す方が、場が分かれます。

この表は、職場の分と園の分で、紙を分けて書くのがこつです。職場の紙は職場に持っていき、園の紙は送りのかばんに入れておきます。どちらの場にいるかで、見る紙が変わる。それが、2つの場を分けるということです。

2枚の紙を書いてから、3つの問い

2枚の紙を書くと、どこで手が止まったかが見えます。そこから、辞める日が決められなかった理由を分けます。職場と園で分けて見るのは、この記事での整理です。どの保護者にも当てはまる型ではありません。

問い①:店長に、職場で辞める日を自分の口で言えますか。言えないとしたら、園で会うからですか。それとも、店長と顔を合わせて「辞める」という言葉を出すこと自体ができませんか。

問い②:辞めたい理由は、シフトや時間のように、確かめれば変わるものですか。それとも、職場そのものですか。

問い③:辞めたあとの保育の手続きを、市区町村の窓口で確かめましたか。

①と②の答えで、道が分かれます。

  • A:言いにくいだけで、店長に言えば済む。足りなかったのは、職場と園を分ける一文。
  • B:店長と顔を合わせると「辞める」の言葉が出ない。職場で言いかけては止め、園でも目を合わせられなくなっている。
  • C:辞めたい理由はシフトや時間で、確かめれば変わるかもしれない。

どれに近いかが決まれば、道も1つに決まります。Aは自分で伝える、Bは代行に頼む、Cは次のシフト表の日まで残る、です。③が「まだ」の人は、どの原因でも、窓口の確認を先にします。

Aの道:職場で、園と分けて伝える

Aの人は、店長に言えば済みます。足りなかったのは、職場と園を分ける一文です。

手順は5つです。

  1. 市区町村の保育の窓口で、辞めたあとの利用の手続きを確かめる(上の見出しのとおり)。
  2. 辞める日を決める。期間の定めがなければ2週間が最低線で、就業規則に合わせます。
  3. 職場で、園の話と分けて伝える。「○日で辞めます。それまでのシフトは入ります。園では園の話だけにします。」
  4. 残りの有給を申し出る。「辞める日までに、残りの有給を○日使いたいです。」早めに言います。
  5. 辞めた翌週、門で園の話だけをする。

詰まりやすいのは、園の門で職場の話をされる場面です。返す一文は「職場のことは職場で」。それでも続くなら、送りの時間を少しずらします。

退職の意思は口で伝えても有効ですが、あとで行き違いにならないように、日付を書いた退職届を紙で渡しておくと確かです。「退職届 私は、○年○月○日をもって退職いたします。○年○月○日 (所属) (氏名)」。前の日付が辞める日、後ろが渡す日です。

代行を使っても、門で会うことは変わらない

Bの道を考える人に、先に正直に書きます。代行を使っても、園で店長に会うことは変わりません。代行が伝えるのは職場に対してで、園の門には来ません。園での会話は、自分がします。

代行が受け持つのは、職場への「辞めます」の連絡です。弁護士でない代行にできるのは、本人が決めた退職の意思を伝えるところまでで、シフトや有給、辞める日の条件を会社と話し合うことはできません。弁護士でない事業者が報酬を受けてそれを行うと、弁護士法72条の問題になるためです。弁護士会や労働委員会が注意を呼びかけているのも、この点です。有給を使いたいなら、その希望も含めて、本人が決めておく必要があります。

自分で伝える道と比べて変わるのは、職場で店長と顔を合わせて「辞める」と言う場面がなくなる、という点です。保育の届け出、制服や貸与品の返却、離職票や源泉徴収票の受け取り、健康保険と年金の切り替えは、頼んだあとも本人の手元に残ります。

費用は事業者ごとに違います。自分で調べた額を、ここに書いておきます。

見た額:(     )円

職場で自分で伝える道なら、この額はかかりません。代行を使わない人の代わりの方法は、退職届を紙で渡すか、郵便局から送る形です。郵便局から送れば、職場で顔を合わせずに出せます。出すときに配達証明をつければ配達した事実と日付が(郵便法47条)、内容証明をつければ文書の内容が(郵便法48条)、記録として残ります。

Bの道:職場に伝える部分だけ人に頼み、園の一文は自分で言う

Bの人は、店長と顔を合わせると「辞める」の言葉が出ません。職場で言いかけては止め、園でも目を合わせられなくなっています。それなら、「職場に伝える」という作業だけを人に頼み、園の門の一文だけを自分で言います。

代行に連絡する前に、園の側の準備も含めて、次の4行を埋めます。

頼む前に決めること 書き込む
辞める日 ○月○日(期間の定めがあれば満了日)
制服・名札・貸与品の返し方 郵送/店に置いてくる
保育の手続きを先に確かめること 窓口で確かめた/まだ
園の門で言う一文 「ここでは園の話で。職場のことは職場で。」

3行目が「まだ」なら、頼む前に窓口へ行きます。頼んだあとに職場へ行かない形を選ぶと、辞める日より先に、保育の手続きの期限が来ることがあります。

決めたら、頼みます。頼んだあとは、退職届を書いて送り、貸与品を返します。離職票と源泉徴収票を受け取ります(離職票は、パートでも雇用保険に入っていれば出ます。入っているかは、会社に確かめます)。健康保険と年金を切り替えます(家族の健康保険の被扶養者になっている場合は、家族の勤務先で手続きします)。保育の事由の変更を届け出ます。そして、園の門で園の話だけをします。

詰まりやすいのは、園の門で「代行なんて」と言われる場面です。返す一文は、同じです。「ここでは園の話で。職場のことは職場で。」。代行を使っても園で会うことは変わらない、と先に知っておけば、この場面で慌てにくくなります。

Cの道:変えてほしいことを1つ頼み、次のシフト表の日まで残る

Cの人は、辞めたい理由がシフトや時間で、確かめれば変わるかもしれません。それなら、辞めるのではなく、1つ頼んで、次のシフト表が出る日を期限にして残ります。

手順は4つです。

  1. 変えてほしいことを1つに絞る。入る日、時間、回数のどれか1つ。「○時までにしてほしい」「週○回にしてほしい」のように、数字で言えるものにします。
  2. 店長に、職場で頼む。「次のシフトから、○○にしてもらえますか。」
  3. 次のシフト表が出る日を期限にする。
  4. シフト表が出た日に、頼んだとおりになっていれば残る。なっていなければ、その日に辞める日を伝える。

詰まりやすいのは、「園で会うから言いにくい」で頼めない場面です。口で言えなければ、頼む文を紙かメッセージで、職場に渡します。文は「次のシフトから、○時までにしてもらえますか。むずかしければ、週○回でもかまいません」のように、1つ目の希望と、譲れる線を1つだけ添えます。園では渡しません。園では園の話だけです。

期限を決めずに「様子を見る」のは、Cではなく、門で「おはようございます」を続けるのと同じです。シフト表が出る日を、先に1つ決めておきます。

門に立つ前の、今日の1つ

明日の朝も門には立ちます。その前に、道ごとに1つだけ済ませます。

Aの人は、住んでいる市区町村の保育の窓口の電話番号を調べます。かけるのは明日でかまいません。

Bの人は、園の門で言う一文を書きます。「ここでは園の話で。職場のことは職場で。」。紙に書いて、見える所に置きます。

Cの人は、変えてほしいことを1つ書きます。「○時まで」「週○回」。数字が1つ入れば足ります。

辞めた翌週の朝、門で

辞めた翌週の朝。娘の手を引いて、園の門に立っています。同じ列に、店長がいます。

「おはようございます。」

Aの人は、職場で伝えた翌週に、ここに立ちます。Bの人は、代行が伝えた翌週に、ここに立ちます。Cの人は、次のシフト表が出て辞める日を伝えた翌週に、ここに立ちます。

どの道でも、門で交わすのは園の話だけです。保育の窓口の確認は、もう済んでいます。娘は、同じクラスに入っていきます。同じ門から、ひとりで帰ります。