本文へ移動

これからのお金

代行の費用は手取りの何割?1年目が払う前に出した、月末の残高

約12分で読めます

代行費用を払う前に月末残高と生活費を確かめる一人暮らしの若手

退職代行の料金を見て、コンビニの回数を数えた1年目へ。今の残高から月末までの引き落としと最後の給料を一枚に書き、払ったあとの残高を出してから、払うか・払う必要があるか・今は払えないかを決める記事です。

この記事を読むと、今の残高から月末までの引き落としと最後の給料を一枚の紙に書いて、代行の料金を払ったあとの月末の残高を出し、払えるか・払う必要があるか・今は払えないかを決められます。「手取りの何割」の答えは、この記事には書いていません。自分で見た額を、自分で割ります。

式の前に、対象を一つ。この記事の「払わなくても辞められる」は、期間の定めのない雇用(正社員など)の話です。契約社員や派遣のように期間の定めがある人は、辞めるときの決まりが別(民法628条)なので、退職日の部分はそのまま使えません。

料金を見て、最初に計算したこと

入社1年目。一人暮らしで、手取りから家賃と光熱費を払うと、月末に残る額が少ない人の話です。

辞めたくて、退職代行の料金を見ました。その額を見て最初に計算したのは、今月あと何回コンビニに行けるか、でした。

払えば辞められる気がします。けれど、払ったあとの月末までに、家賃の引き落としがあります。給料日まで、あと十日。払ったあとの残高がどうなるかを、まだ出していません。

止まっているのは、料金が高いか安いかではありません。二つのことを数字で見ていないからです。一つは、払ったら月末の残高がいくらになるか。もう一つは、そもそも払わなくても辞められるのか。この二つを見ないまま料金だけを見ていると、払う日も、払わない決断も、できません。

式の前に、一文だけ

式を書く前に、一つだけ書いておきます。

退職の意思を会社に伝えることは、お金をかけずに、自分でできます。期間の定めのない雇用では、辞めると申し入れた日から2週間がたつと、雇用は終わります(民法627条1項)。会社の承諾はいりません。口頭でも有効で、行き違いを防ぐため書面で出すほうがよいと労働局は説明しています。就業規則に「1か月前までに申し出る」のような期間があり、それが常識的な長さなら、それに合わせるほうがトラブルが少ない、というのも労働局の説明です。

つまり、代行の料金は「辞めるためになくてはならないお金」ではありません。「最初の一言を、自分の代わりに言ってもらうためのお金」です。これを知ったうえで、式に入ります。ここに書いた決まりは2026年10月時点のもので、法律や制度は変わることがあります。

一枚の紙に、日付順に引いていく

紙を一枚用意して、いちばん上に今の残高を書きます。そこから、月末までに出ていくお金を、日付順に引いていきます。最後に、代行の料金を引きます。料金は、自分で見た額を、自分で書きます。この記事には書きません。

式はこうです。

今の残高 − 月末までに出ていくお金(家賃・光熱費・通信費・食費・定期代)+ 給料日が月末より前なら手取り − 代行の料金 = 払ったあとの月末の残高

紙に書くと、こうなります。

日付 出ていくもの・入ってくるもの 額 残高
今日 今の残高 (    円)
(日付) 家賃 −(    円)
(日付) 光熱費 −(    円)
(日付) 通信費 −(    円)
月末まで 食費(1日の額×残りの日数) −(    円)
(日付) 定期代(月末までに買い替えるなら) −(    円)
(給料日) 手取り +(    円)
(払う日) 代行の料金(自分で見た額) −(    円)
月末 払ったあとの月末の残高 (    円)

入ってくるお金の行は、給料日と手取りです。ここで一つ、知っておくことがあります。辞めても、働いた分の給料は出る決まりです。賃金は、その全額を労働者に直接払わなければならない、と決められています(労働基準法24条1項)。辞めたあとに請求すれば、会社は7日以内に賃金を払わなければならない、という決まりもあります(労働基準法23条1項)。「辞めるなら今月分は払わない」は、この決まりに反すると労働局は説明しています。だから、給料日の行は、辞める予定があっても消しません。

食費は、1日の額に、月末までの残りの日数をかけます。定期代は、月末までに買い替える予定があるときだけ書きます。

額が分からない行は、0にせず「不明」と書きます。光熱費の額が分からなければ、先月の明細か、引き落とし口座の履歴で確かめてから埋めます。「不明」の行が残っている間は、式の答えも「不明」です。答えを出す前に、全部の行を埋めます。

給料日が月末より前なら、その行は代行の料金より上に来ます。給料日が月末より後なら、手取りの行は式に入りません。今月の残高だけで、料金を払えるかを見ることになります。

「手取りの何割」の出し方

タイトルの「手取りの何割」は、記事では答えを書きません。出し方だけ書きます。

自分で見た代行の料金 ÷ 手取り = 手取りに対する割合

出てくる数字は、自分で見た額と自分の手取りで決まるもので、人によって違います。大きいか小さいかを決めるのも自分です。割ったあとの数字は、式の答え(月末の残高)の横に、小さく書いておきます。払うかどうかを決めるのは残高のほうで、割合はその横に置く数字です。

式の答えで、原因を決める

払ったあとの月末の残高が出たら、その数字を指で押さえたまま、三つの問いに答えます。この三つの分け方は、この記事での整理です。

問い① 式の答えが、マイナスにならないか。

問い② 辞めたいと伝えること自体はできるが、揉めそうだからお金で片づけたいのか。それとも、伝えること自体ができないのか。

問い③ 給料日より前に辞めたいのか、給料日のあとでもよいのか。

問い①が「マイナスになる」なら、原因C。問い①が「ならない」で、問い②が「伝えることはできるが、揉めそうだから」なら、原因A。問い①が「ならない」で、問い②が「伝えること自体ができない」なら、原因B。問い③は、退職日をどこに置くかを決めるときに使います。

原因A:残高は足りる。伝えること自体はできるが、給料や引き継ぎで揉めそうなので、お金で片づけたい。

原因B:残高は足りる。退職の意思を伝えること自体ができない。上司に言う場面を作れない、連絡を取りたくない。

原因C:式の答えがマイナス。今は払えず、辞めたあとの切り替えのお金も出ない。

原因A:払わずに、自分で出す

原因Aの人の道は、自分で伝える道です。残高は足りますが、払いません。

揉めそうだからお金で片づけたい、という人が知っておくことがあります。弁護士でない退職代行は、揉めそうな点を会社と話し合うことができません。最後の給料、有給、引き継ぎの扱いを会社と話し合うのは、代行に頼めないことです。つまり、揉めそうな点は、料金を払っても片づきません。片づけるのは、決まりを先に知っておくことです。

やることは四つあり、上から順に進めます。

一つ目。揉めそうな点を、一行ずつ書きます。最後の給料がいつ払われるか。残っている有給をどうするか。引き継ぎを何日やるか。

二つ目。その紙を、総合労働相談コーナーに持っていきます。厚生労働省が各都道府県労働局や労働基準監督署の中などに置いている窓口で、費用はかからず、予約もいりません(2026年10月時点)。そこで「決まりではどうなるか」を先に聞きます。相談コーナーは案内と助言の窓口で、会社に何かをさせる所ではありません。けれど、会社と話す前に、自分の一行ごとの決まりを知ってから話せます。

三つ目。退職日を書いた退職届を出します。退職日は、申し出から2週間以上あとの日。就業規則に申出の期間があれば、それに合わせます。問い③で「給料日のあとでもよい」なら、退職日を給料日のあとに置くと、式の手取りの行がそのまま使えます。

四つ目。最後の給料の支払日を、人事に確かめます。「退職後の最後の給料は、いつ、どの口座に振り込まれますか」。この一文で聞きます。

詰まる所は、「辞めるなら今月分は払わない」と言われる所です。これは、賃金は全額を払うという決まり(労働基準法24条1項)に反します。言われたら、言い返さず、日付と言葉を書き留めます。「(日付)、(誰が)、「辞めるなら今月分は払わない」と言った」。そして、労働基準監督署に相談します。賃金の不払いは、監督署が担当する分野です。

料金で買えるのは、最初の一言だけ

式に料金の行を入れた人は、その行で何を買うのかを、先に確かめておきます。

買えるもの:本人が決めた退職の意思を、会社に伝えてもらうこと。

買えないもの:最後の給料の請求。有給の請求。退職日を会社とすり合わせること。これらは弁護士でない人が報酬を受けて行うと弁護士法72条の問題になると、弁護士会や労働委員会が注意を呼びかけている範囲です。原因Aの人が気にしている「揉めそうな点」は、全部こちらに入ります。

自分で伝える道と比べたとき、違うのは二つだけです。最初の一言を言う人が誰か。お金がかかるか、かからないか。書類の受け取り、健康保険と年金の切り替え、最後の給料が入ったかの確認は、頼んでも頼まなくても自分の仕事です。

料金の額は、式の「代行の料金」の行に、自分で見たままの額を書きます。この記事には書きません。自分で伝える道を選ぶなら、その行は0円になり、式の答えがそのぶん増えます。

代行を使わないときの代わりは、退職届を人事に書面で出すことです。揉めそうな点があるなら、相談コーナーで決まりを確かめてから出します。

原因B:残高を出してから、払う

原因Bの人の道は、退職代行を使う道です。残高は足りていて、伝えること自体ができない。この二つがそろったときだけ、この道を選びます。

払う前に、式の下に三つ書きます。

一つ目、退職日。申し出から2週間以上あとの日にします。就業規則に申出の期間があれば、それに合わせます。退職日のすり合わせは買えないものに入るので、自分で決めた日をそのまま伝えてもらいます。

二つ目、払ったあとの月末の残高。式の最後の欄の数字です。この数字がプラスであることを見てから払います。

三つ目、払って買えるのは「退職の意思を伝えること」だけだと知っておくこと。それ以外は、自分でやります。

払ったあとに残る、自分の手続きを、式の下にもう一段書きます。

払ったあとに自分でやること お金の出入りがあるか
退職届の書面を郵送する 郵送代だけ
会社の物を返す 郵送なら郵送代
離職票と源泉徴収票を受け取る(届かなければ、離職票はハローワーク、源泉徴収票は税務署へ) なし
最後の給料の振込を通帳で確かめる 式の手取りの行の額が入る
健康保険と年金を切り替える 出ていく。額は窓口で確かめて式に足す

健康保険は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養のどれかから選びます。届け出の期限は、国民健康保険は14日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内で、どちらも市区町村の窓口です。任意継続を選ぶなら、退職日の翌日から20日以内に健康保険の窓口へ。切り替えにかかる額は人によって違うので、市区町村の窓口で確かめ、確かめた額を表の右の欄と式に足します。ここに書いた期限は2026年10月時点のものです。

詰まる所は、最後の給料が振り込まれない所です。代行には請求を頼めません。自分で、会社に書面で請求します。「(退職日)に退職しました。最後の給料((月)分)を、(日付)までに(口座)へ振り込んでください」。辞めたあとに請求すれば7日以内に払う決まり(労働基準法23条1項)があるので、この一文で請求になります。応じなければ、労働基準監督署へ相談します。

原因C:給料日まで残って、式を出し直す

原因Cの人は、今は払わず、辞めません。期限は次の給料日、条件は式を出し直すこと。この二つをつけて残ります。

式の答えがマイナスの人は、今は払えません。辞めたあとの健康保険と年金の切り替えにもお金がかかるので、その分も出ません。だから、今は払わず、給料日を待ちます。

期限は、次の給料日に置きます。給料日に、式をもう一度出します。今の残高を給料日の残高に置き換えて、月末までの引き落としと、代行の料金を引きます。答えがプラスになった日に、原因Aか原因Bを決めます。

残る間に、やっておくことがあります。退職届の文面と、退職日の候補を、先に作っておきます。文面は短くてかまいません。「退職届。(日付)をもって退職いたします。(今日の日付)、(名前)」。退職日の候補は、申し出から2週間以上あとの日で、就業規則の申出の期間に合わせた日です。給料日に答えがプラスになったとき、文面と日付がすでにあれば、その日のうちに出せます。

詰まる所は、給料日に出してもマイナスの所です。このときは、代行は使いません。自分で伝える道には、お金がかかりません。相談コーナーで手順を確かめてから、作っておいた退職届を出します。原因Cの出口は、原因Aの道です。

式の下に書く、三つの一手

式を書いた紙の下に、今日やることを一つだけ足します。給料日まであと十日のうちに、終わる大きさです。

原因Aの人は、月末までの引き落としを、日付順に一枚に書きます。相談コーナーに行くのも、退職届を出すのも、その先です。

原因Bの人は、払ったあとの月末の残高を、式で出します。頼むのは、その数字を見てからです。

原因Cの人は、今の残高を、式の最初の欄に書きます。

式の下に、日付を書く

この記事の終わりは、払う前に月末の残高を式で出し、その数字を見てから、式の下に日付を書く所です。

原因Aの人は、払わずに退職届を出す日。原因Bの人は、払う日。原因Cの人は、次の給料日。

コンビニに行ける回数を数えていた人が、月末の残高を数えて、その下に日付を書きます。料金が手取りの何割かは、自分で割った数字が、その紙にあります。払うか、払わないか、今は払えないかを決めたのは、料金の額ではなく、月末の残高の数字です。