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ふたりの関係

恋人に辞めたいと言えない試用中の新人。報告は「もう終わったよ」

約12分で読めます

夜の集合住宅の外廊下で、恋人に退職の決定と終えたことを落ち着いて報告する新人

試用期間の途中で辞めたいのに、恋人に「順調」と返してしまう新人へ。会話を「前」と「後」で並べ、恋人には決めたこと・終わったことだけを報告すると決めて、自分で伝える・退職代行・期限つきで残るの3つから会社への伝え方を先に選ぶ記事です。

入社して、まだ試用期間の途中。仕事が合わず、辞めたいと思っている。けれど恋人に「仕事どう?」と聞かれるたびに、「順調」と返している。入社が決まった日、恋人は一緒に喜んでくれた。だから言い出せない。帰りの電車で、「順調」と言った自分がいちばん嫌いになる。

この記事を読むと、恋人には「迷っている途中」ではなく「決めたこと・終わったこと」を報告する、と決められます。そのために、会社への伝え方を先に選べます。

止まっているのは、恋人への話ではなく、順番

辞めたい気持ちは、はっきりしている。恋人に隠していることも、つらい。それなのに何も動いていないのは、「恋人に話してから辞めるのか、辞めてから話すのか」の順番を決めていないからです。順番が決まっていないと、恋人への話も、会社への話も、どちらも「相手が先」になって止まります。

この記事では、順番を1つに決めます。恋人には、決めたこと・終わったことを報告する。迷っている途中の話はしない。そう決めると、先にやることは会社への伝え方を選ぶことだけになります。

恋人との関係をどう進めるかは、この記事では扱いません。扱うのは、報告の一文を言える日まで、何をどの順でやるか、です。

会話を「前」と「後」で並べる

恋人との会話を、「前」と「後」の2つに分けて、紙に書きます。この記事でいちばん時間をかけるのは、ここです。

前は、今の会話です。そのまま書いてください。

前
恋人 「仕事どう?」
自分 「順調だよ」
そのあと 話題を変える

後は、辞め方を決めたあとに言う一文です。進む道によって、3つのどれかになります。

後 一文
Aの人 「辞めた。○月○日が最終日だった。次は△△から始める」
Bの人 「辞めた。会社とは直接話さずに終えた。手続きは自分でやってる」
Cの人 「試用期間が終わる○月○日に決める。それまでに確かめることが1つある」

「後」の一文に入れるものは、2つだけです。終わった日(またはこれから決める日)と、次にやること1つ。謝る言葉は入れません。「ごめん」「心配かけて」を入れると、報告が相談に戻りやすくなります。報告は、済んだことを伝える形にします。

「前」と「後」を並べて見ると、2つの違いは、話の中に日付があるかどうかです。「順調だよ」には日付がありません。「後」の一文には、どれにも日付があります。この日付を決めることが、この記事の残りの全部です。

ここで、恋人に言えない理由も分けておきます。辞め方が決まっていないから言えないのか。それとも、決めても言えないのか。前の方なら、辞め方を決めれば言えます。後の方なら、理由は辞め方ではなく、「一緒に喜んでくれた人に、違う結果を言う」ことそのものにあります。その場合でも、やることは同じです。「迷っている途中」を言うのではなく、「終わったこと」を言う。終わったことは、もう変えようがありません。相手に「どうするの?」と判断を預けずに済みます。報告の形をこう決めるのは、自分を守るためでもあり、相手に判断を預けないためでもあります。

「後」の一文は、今の時点で空欄のまま書いておきます。「辞めた。(  )月(  )日が最終日だった。次は(    )から始める」。空欄が埋まる日が、報告の日です。

試用期間に、特別な決まりはない

辞め方を決める前に、1つ確かめておきます。試用期間中の人が自分から辞めることについて、民法にも労働基準法にも労働契約法にも、特別な決まりはありません。「試用期間は辞められない」も、「試用期間だからすぐ辞められる」も、どちらも違います。

辞め方は、契約に期間の定めがあるかどうかで決まります。入社のときにもらった書面(労働条件通知書や雇用契約書)を出して、「契約期間」の欄を見てください。会社は、契約を結ぶときに労働条件を書面で示す決まりになっています(労働基準法15条1項)。

期間の定めがない(正社員など)なら、退職を申し入れた日から2週間がたつと雇用は終わります(民法627条1項)。会社の承諾は要りません。就業規則に「1か月前までに申し出る」のような決まりがあれば、労働局の説明では、その長さが常識的な範囲ならまず就業規則に沿って申し出るのがもめにくい、とされています。この記事では、「2週間は法律の最低線、就業規則の期間が常識的な長さならそれに合わせる」という考えで進めます。

もう1つ。書面で示された条件と実際の仕事が違うときは、働く人はすぐに契約を解除できる、という決まりがあります(労働基準法15条2項)。ただし、どこまで違えばこれに当たるかは個別の判断で、この記事では決めません。「書いてあったことと違う」と感じているなら、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)で相談してから動くのが順番です。

法律の話はここまでで、どれも2026年10月の時点で確かめた内容です。変わることがあるので、最終日を決める前に最新の案内で見直してください。

3つの問いで、自分の原因を見分ける

ここからは、止まっている理由を分けます。A・B・Cは、この記事が勝手に決めた分け方で、診断ではありません。

問い①:入社時の書面で、契約に期間の定めがないかを見ましたか。試用期間でも、辞め方は通常と同じです。見ていなければ、今日見てください。

問い②:恋人に言えないのは、辞め方を決めていないからですか。それとも、辞め方を決めても、上司に言うこと自体ができないからですか。「上司の前に立つところを思い浮かべると体がすくむ」なら、後の方です。

問い③:辞めたい理由は、試用期間中だけのことですか。研修の内容、仮の配属、教わる相手。それが終われば変わる見込みがあるなら、試用期間の終わりまで待つ意味があります。入社前から分かっていた仕事そのものが合わないなら、待っても変わりません。

問い②と問い③の答えを、次の表に当てはめます。

問い②「上司に言える」 問い③「終われば変わる」 原因 道
言える 変わらない A 自分で伝える
言えない 変わらない B 退職代行を使う
どちらでも 変わる見込みがある C 試用期間の終わりを期限に残る
  • 原因A:辞める理由ははっきりしていて、上司に言えば伝えられる。恋人への報告の形が決まっていなかっただけ。
  • 原因B:上司に言う場面を思うと体がすくみ、一度も言えないまま試用期間が過ぎていく。会社の人と顔を合わせずに終えたい。
  • 原因C:辞めたい理由が、試用期間中の研修や仮の配属に限ったことで、終わると変わる見込みがある。

Cの人は、試用期間が終わる日に、AかBのどちらかにもう一度分かれます。だから、Cを選んだ人も、AとBの手順を読んでおいてください。

原因A:最終日を決めて、上司に伝え、終わってから報告する

Aの人は、上司に言うこと自体はできます。決まっていなかったのは、恋人にいつ何を言うか、でした。それを「最終日に、後の一文を言う」と決めたので、あとは最終日を決めるだけです。

手順は3つです。

  1. 最終日を決める。就業規則に申し出期間があればその日数を、なければ2週間を、今日に足す。その日より後の、給料の締め日か月末を最終日にする。
  2. 上司に伝える。退職届は、「退職届」という題と、「○年○月○日をもって退職いたします」という一文、今日の日付、自分の名前があれば足ります。理由は書かなくてかまいません。これを持っていき、こう言います。

「○月○日を最終日として、退職します。退職届をお持ちしました。」

  1. 最終日の夜、恋人に「後」の一文を言う。「辞めた。○月○日が最終日だった。次は△△から始める」。

Aの人が引っかかるのは、上司に「試用期間中は最後までいてほしい」と言われる場面です。試用期間中に辞めてはいけない決まりはありません。日付を伝え直します。「○月○日が最終日です」。この一文だけを返し、理由の説明を足さないようにします。説明を足すと、上司がその説明に答える形になって、日付の話がずれます。

退職の意思は口頭でも伝わりますが、あとで「聞いていない」とならないよう、日付を書いた退職届を紙で出すのが望ましい、と労働局や東京都の労働相談の資料は説明しています。受け取ってもらえなければ、郵便局の内容証明で送る方法があります。

「頼む」と「決める」は別の人がやる

Bの道に進む前に、退職代行との役割の分け方を、恋人への一文に結びつけて書いておきます。

Bの人が終わったあとに恋人へ言う一文は、「辞めた。会社とは直接話さずに終えた。手続きは自分でやってる」です。この一文のとおりに、役割が分かれます。

「辞めた」と決めるのは、自分。
「会社とは直接話さずに終えた」のは、代行が退職の意思を会社に伝えたから。
「手続きは自分でやってる」のは、退職届を書いて送ること、社員証やパソコンを返すこと、離職票と源泉徴収票を受け取ること、健康保険と年金を切り替えることが、代行を頼んでも自分の仕事のままだから。

弁護士でない代行にできるのは、この真ん中の「伝える」だけです。退職日を延ばせないか、残業代はどうなるか、といった条件の話し合いを、弁護士でない事業者が報酬を受けて行うと弁護士法72条の問題になります。弁護士会や労働委員会が、注意を呼びかけている点です。条件の話が要るなら、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に自分で持っていきます。

自分で伝える道との違いは、上司と話す回数だけ。試用期間の途中でも、この分け方は変わりません。

費用は、ここでは書きません。恋人に話す前に、自分で見た額を次の欄に入れておきます。「手続きは自分でやってる」の中に、この額も入ります。

費用:(    )円

代行を使わずに、上司と話さずに済ませる手もあります。退職届を人事に直接渡す方法と、郵便局から郵送する方法です。上司の顔を見ずに済ませたいだけなら、こちらは代行の費用がかかりません(郵送なら郵便の料金だけです)。

原因B:会社と話さずに終え、終わってから報告する

Bの人は、上司に言う場面を思うと体がすくみます。試用期間が終わる前に、顔を合わせずに終えたい。それなら、「伝える」という作業だけを人に頼みます。

頼む前に、自分で決めておくことが3つあります。

決めること 書き込む欄
最終日 ○月○日
貸し出された物(社員証、パソコン、制服など)の返し方 郵送/会社に置いてくる
恋人に話す日 手続きが終わったあと

3つ目は、この記事ならではの項目です。頼む前に話すと、「自分で言えないの?」という話になって、頼むこと自体が止まることがあります。話すのは、終わったあと。そう決めてから頼みます。

頼んだあとは、恋人に言う一文の「手続きは自分でやってる」を、順に埋めていきます。退職届を書いて郵送する。社員証やパソコンを返す。離職票と源泉徴収票を受け取る。健康保険と年金を切り替える。会社から直接来た連絡に対応する。全部が済んだ日が、報告の日です。

会社からの直接の連絡について、1つ知っておくことがあります。代行は「本人に連絡しないでほしい」と会社に伝えますが、それはお願いであって、会社を縛る決まりではありません。上司から電話が来ることもあります。出る必要はありませんが、退職の意思は本人から会社に届いている必要があるので、代行に頼むのと同じ日に、退職届を郵便局の内容証明で送っておきます。内容証明は「どんな内容の文書を出したか」を、配達証明をつければ「届けた事実」も、郵便局が証明する仕組みです。

Bの人が引っかかるのは、終わったあとに恋人から「自分で言えなかったの?」と聞かれる場面です。この一文を、先に持っておきます。

「辞めると決めたのは自分。伝えるのを頼んだだけ。」

決めたのが自分で、頼んだのは伝えることだけ。この順番は事実なので、そのまま言えます。

原因C:試用期間の終わりを期限に、確かめることを1つ決めて残る

Cの人は、辞めたい理由が試用期間中の研修や仮の配属に限ったことで、終われば変わる見込みがあります。それなら、試用期間の終わりまで残るのも1つの道です。ただし、期限と条件をつけます。

期限は、試用期間が終わる日です。入社時の書面に書いてあります。

条件は、「本配属の仕事と残業の有無を、人事に聞いて確かめる」ことです。聞き方は、こうです。

「本配属後の仕事の内容と、残業がどれくらいあるかを教えてください。○月○日までに知りたいです。」

確かめた結果で、試用期間が終わる日に決めます。本配属の仕事が今と違い、残業も自分の線の内側なら残る。今と変わらない、または答えがないなら、辞める。辞める方に決めた場合は、その日からAの手順に入ります。最終日を決めて、上司に伝え、最終日の夜に恋人に「後」の一文を言う。Cの道は、Aに戻る道と地続きです。

人事に聞くとき、自分の線も先に決めておきます。「残業は月○時間まで」「本配属の仕事に○○が入っていること」のように、1つか2つ。線がないまま聞くと、どんな答えが返ってきても「もう少し様子を見よう」になります。線は、紙に書いて、答えを聞く前に置いておきます。

自分の線 書き込む欄
残業の上限 月(  )時間まで
本配属の仕事に入っていてほしいこと (    )
人事に答えてもらう期限 ○月○日

Cの人が引っかかるのは、聞いても答えが曖昧な場面です。「まだ決まっていない」「配属先による」と言われたら、「○月○日までに教えてほしい」と日付を添えて聞き直します。その日までに答えがなければ、答えがないことを答えとして、辞める方に決めます。期限を決めたのに答えを待ち続けると、Cではなく、ただの先のばしになります。

帰りの電車で、1行だけ書く

3つの道のどれでも、今日やることは1行です。帰りの電車で書けます。

Aの人:辞めたい理由を1行で書く。「後」の一文の「次は△△から始める」を決めるのに使います。
Bの人:代行に伝える最終日を1つ書く。「○月○日」。
Cの人:人事に聞くことを1つ書く。「本配属の仕事の内容」か「残業の有無」か、どちらか1つでかまいません。

「仕事どう?」に、「もう終わったよ」と答える日

恋人に「仕事どう?」と聞かれます。「順調」ではなく、こう答えます。

「もう終わったよ。」

そのあとに、「後」の一文が続きます。終わった日と、次にやること1つ。謝る言葉はありません。

Aの人は、最終日の夜にこの一文を言います。Bの人は、手続きが終わった日に言います。Cの人は、試用期間が終わって決めた日に言います。進む道は3つでも、恋人に言う一文は同じ形です。「迷っている途中」ではなく、「決めたこと・終わったこと」。それを言えるのは、日付を自分で決めたからです。