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同じ部署の同僚が辞めました。上司はあなたに引き継ぎの資料を渡して、「後任が決まるまで、とりあえずお願い」と言いました。あなたは「分かりました」と答え、その週から会社を出る時刻が遅くなっています。後任の話は、まだ出ていません。
全部は持てない。けれど、断れる立場でもない。そこで決めるのは「受けるか、断るか」ではありません。「何時間分までを、何月何日まで受けるか」です。
この記事で扱う悩み:辞めた同僚の仕事を「とりあえず」で引き受けたまま、量も終わりの日も決まらず、帰りが遅くなっている。
この記事で分かること
- 回ってきた仕事を4週の時間に直す表と、原因を見分ける3つの問い
- 受ける時間と終わりの日を上司に選んでもらう文例と、返事ごとの次の手
- 今の職場で枠を決める・学ぶ・会社を替えるの選ぶ線と、今日する1つ
眠れない日や食事がとれない日が続いているなら、こちらが先
眠れない、食事がとれないといった体の変化が続いている人は、下の表を作るより先に、医療機関の受診を考えてください。話す先がほしい時は、厚生労働省の「こころの耳」(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)が、働く人とその家族の相談を電話、SNS、メールで受けています。こころの耳の相談では、病名の診断や治療方法の提示は受けられません(2026年10月時点。今後変わることがあります)。
「とりあえず」には、量も終わりの日も入っていない
辞めたのは同僚で、残って仕事を引き受けているのはあなたです。上司の「後任が決まるまで、とりあえず」には、何件か、何時間か、いつまでかの数字が1つも入っていません。
ここで決めたいのは、次のことです。回ってきた仕事は4週で何時間あり、そのうち何時間を、何月何日まで受けるのか。
先に数字を作り、そのあとで3つの問いに答えます。原因の分け方は、この記事での整理で、公的な基準ではありません。
回ってきた仕事を、4週の時間に直す
1行に1つ、6つの欄で書く
下は書き方を見せるための例です。
| 回ってきた仕事(例) | 4週の回数 | 1回の作業 | 1回の調べもの | 4週の合計 | 聞ける人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 請求書の発行 | 1回 | 1.5時間 | 2時間 | 3.5時間 | いない |
| 取引先からの問い合わせ | 20回 | 15分 | 15分 | 10時間 | いない |
| 在庫の報告 | 4回 | 1時間 | 0分 | 4時間 | 上司 |
| 備品の発注 | 1回 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
| 展示会の準備 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
「調べもの」は、古い資料を探した時間、過去のメールを読み返した時間、言葉の意味を調べた時間です。作業と分けて書くと、あとで原因を見分けられます。分からない欄は「不明」のままにします。不明が並ぶことも、上司に見せる情報です。
合計を出す
- 請求書の発行:(1.5時間+2時間)×1回=3.5時間
- 問い合わせ:(15分+15分)×20回=600分=10時間
- 在庫の報告:1時間×4回=4時間
- 合計:3.5+10+4=17.5時間(不明の2件は入っていない)
「いつまで」が要る理由を、年の数字で見る
時間外労働には、法律で上限が決められています。上限は原則として月45時間、年360時間です(厚生労働省の案内。2026年10月時点)。特別の事情があって労使が合意する場合の決まりは別にあり、業務や立場によって扱いが違う場合もあります。ここで言う時間外労働は、法律で決められた労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えた分で、会社の定時を過ぎた時間と同じとは限りません。
この数字を物差しとして借ります。たとえば、もともとの時間外労働が月20時間だった人に、上の17.5時間がそのまま乗ったとします(4週を1か月として数えた、粗い計算です)。
- 月:20+17.5=37.5時間。月45時間の内側です。
- 年:37.5×12=450時間。原則の年360時間という数字を上回ります。
月では原則の数字の内側でも、終わりの日がないまま続くと、年では原則の数字の外に出ます。「いつまで」を決める意味は、ここにあります。この計算は、残業が法律に合っているかを判断するものではありません。扱いに疑問がある時は、厚生労働省の総合労働相談コーナーで、面談か電話で相談できます。予約は不要で、無料です(2026年10月時点)。
数字を前に置いて、3つの問いに答える
- 何時間分を、何月何日まで受けるかを、上司と数字で話したことがありますか。
- 話した人へ。欄のある文面と、日付を入れた自分の案(どちらも原因Cの手順にあります)を送ったあと、答えの中に「日付」「自分が受けない仕事を、代わりに持つ人の名前」「分からない時に聞く人の名前」のうち、いくつが入っていましたか。後任を募集する予定は、あると言われましたか。
- 表の中に、1回の調べものが1回の作業より長い仕事はありますか。
| 原因 | どういう状態か | 問いの答え | 合う道 |
|---|---|---|---|
| A:人が抜けた分を補わないのが、職場のやり方になっている | 数字を見せて聞いても、終わりの日も、仕事を持つ人も決まらない | 欄のある文面を送り、日付を入れた自分の案も送った。そのあとも3つの欄がどれも空で、後任を募集する予定もない(答えがない場合を含む) | 転職 |
| B:引き継いだ仕事の言葉や判断の基準が、まだ自分のものになっていない | 量よりも、調べる時間で遅くなっている | 問い3が「ある」。止まるのは言葉か判断の基準(社内の置き場所や手順ではない) | 資格 |
| C:受ける枠と終わりの日を、まだ決めていない | 「とりあえず」のまま持っている | 問い1が「ない」 | 現状維持 |
問い1が「ない」人は、ほかの答えがどうであっても原因Cから始めます。数字を見せる前に会社を替えると、見せれば決まったのかを知らないまま離れることになるからです。
原因Aの線は、この記事で置いた目安です。3つの原因のどれにも当てはまらない時は、次のように進みます。
- 話したが文面はまだ送っていない人:原因Cの手順3から始めます。
- 文面を1回送っただけの人:原因Cを続けます。日付を入れた自分の案を送ります。
- 3つのうち1つか2つは入っていた人:原因Cを続けます。空いている欄だけを、もう一度聞きます。
- 3つとも入っていないが、後任の募集が始まっている人:原因Cを続けます。募集の締め切りの日を聞き、終わりの日として置きます。
- 問い3が「ある」が、止まるのは資料の置き場所や社内の手順だという人:原因Cです。学ぶ話ではなく、聞く人を決めてもらう話になります。
原因C:枠と終わりの日を、上司に選んでもらう

手順1:自分が持てる枠を先に計算する
枠は2つの足し算です。もとの仕事のうち、締め切りを後ろにずらせる分の時間と、残業として足せる時間です。残業に申請が要る職場では、足す時間を先に上司に確かめます。
例:もとの仕事でずらせる分が5.5時間、残業として足せるのが4週で8時間なら、枠は5.5+8=13.5時間です。回ってきた17.5時間から引くと、17.5−13.5=4時間が枠の外に残ります。例の表では、在庫の報告(4時間)がこの大きさです。
手順2:10分もらい、2つの形から選んでもらう
例:「◯◯さんから回ってきた仕事を表にしました。10分ほど見ていただけますか。」
例:「分かっている3件だけで、4週に17.5時間かかっています。もとの仕事から5.5時間分を遅らせ、残業を8時間足しても、4時間分が入りません。在庫の報告をほかの方に持っていただく形と、ほかの仕事を止める形の、どちらにしますか。備品の発注と展示会の準備は中身が分からないので、先に3件を進めます。この2件をだれが見るかを、◯日までに決めていただけますか。」
終わりの日は、回数の分かっている仕事のうち、いちばん間の空くものが2回終わる日を置きます。例の表なら、請求書の発行が2回終わる日です(この記事での置き方です)。上司が別の日を言えば、その日にします。
例:「この形を続けるのは、◯月◯日まででよいでしょうか。後任の方の時期が未定なら、その日に分担をもう一度決める時間をください。」
引き継いだ仕事が給料や評価に入るのかを確かめたい人には、増えた仕事と、給料・役職で変わったことを同じ表に書く方法があります。
手順3:その日のうちに、欄のある文面を送る
(例)本日確認した内容です。空いている所と違っている所があれば、書き足して返信をお願いします。
・受ける仕事:請求書の発行、取引先からの問い合わせ(4週で13.5時間)
・終わりの日:( 月 日)
・在庫の報告を持つ方:(お名前)
・請求書と問い合わせで分からない時に聞く方:(お名前)
・備品の発注、展示会の準備:見る方が決まるまでは、上の2件を先に進めます
かっこの3つが、問い2で数える3つです。返信でいくつ埋まったかが、次の判断の材料になります。
返事が、欄を埋めるものでなかった時
- 「全部お願い」と返ってきた。断らずに、数字をもう一度返します。「5件すべてだと、分かっている3件だけで4週に17.5時間増えます。今の残業と合わせると月◯時間ほどです。この形で進める場合、いつまでと考えればよいでしょうか」。◯には、今の残業に17.5を足した数を入れます(例:20+17.5=37.5時間)。量が動かない時は、期限のほうを聞きます。
- 「後任は未定」と返ってきた。分担を決め直す日だけをもらいます。
- 返信が来ない。自分の案を、日付を入れて送ります。「◯日までにご指示がなければ、上の内容で進めます。備品の発注は◯日が締め切りなので、それまでに担当をお知らせください」。手をつけていない仕事に締め切りがあるなら、その日付も書きます。
原因A:空いたままの欄を、次の職場への問いにする
欄のある文面を送り、日付を入れた自分の案も送った。そのあとも3つの欄がどれも空で、後任を募集する予定もない。この場合、終わりの日は職場の側から出てきにくいと読めます(この記事での読み方です)。進む先は転職です。
手順1:欄を1つずつ、応募先に聞く問いに直す
| 空いたままだった欄 | 応募先に聞く問い(例) |
|---|---|
| 終わりの日 | 「人が抜けた時、その方の仕事は、どのくらいの期間でどう分けていますか」 |
| 代わりに持つ人 | 「今回の募集は、どなたかの後任でしょうか。その方の仕事は、入社までどなたが持っていますか」 |
| 聞く人 | 「入社後、分からない点が出た時に最初に聞く方は、決まっていますか」 |
答えを聞いたら、その場で文面の3つの欄に書き写します。日付か人の名前が1つも書けない答えなら、今の職場と同じ空欄が残ると読みます。面接の答えが、配属先でそのとおりになるとは限りません。
手順2:募集の理由を確かめる
ハローワークに会社が出す求人の申込みの様式には、募集の理由を「欠員補充」「増員」などから選ぶ欄があります(2026年10月時点)。欠員の補充で入ると、辞めた人の仕事をまとめて受ける立場になることがあります。欠員の補充がいけないのではなく、その時は手順1の2つ目の問いを聞く、という使い方です。求人の画面で理由が分からなければ、応募先に自分で聞きます。
探すのは、働きながらにします。先に辞めると、引き継ぎと収入のない期間が同時に来ます。
探す時間がない時、抜けるのは悪いと感じる時
帰りが遅くて探す時間がないなら、受ける枠を文面のとおりに保ちます。人が足りない時期に抜けるのは悪い、と手が止まるなら、作った表を引き継ぎの資料として残します。
原因B:調べものが長い仕事を1つ選び、止まる所を分ける
例の表では、請求書の発行が当てはまります(調べもの2時間、作業1.5時間)。
手順1:止まった所を、3つの種類に分ける
| 止まる所の種類 | 例 | 埋め方 |
|---|---|---|
| 置き場所・社内の手順 | 前月の控えがどのフォルダにあるか分からない | 聞く人を決めてもらう(原因Cの文面の欄) |
| 言葉 | 「売掛金」「締め日」の意味を、毎回調べている | 学ぶ |
| 判断の基準 | この金額をどの月の分として扱うかを、自分で決められない | 学ぶ。社内だけの決まりなら聞く |
学ぶのが合うのは、入門書の索引に載っている言葉と基準です。この3つの分け方は、この記事での考え方です。
手順2:学ぶ範囲を、資格の出題の範囲から借りる
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、引き継いだ仕事に近い職業の名前を検索します。職業のページの「就業するには?」に関連する資格、「しごと能力プロフィール」に知識の分野が載っています(2026年10月時点)。
手順3:調べた時間がいちばん長い言葉を、1つだけ読む
止まった言葉ごとに、4週で調べた時間を横に書きます。例:「締め日」15分×2回=30分、「売掛金」30分×3回=1.5時間。時間のいちばん大きい言葉を1つ選び、出てきた資格の入門の級の出題の範囲で、その言葉が出てくる項目を1つだけ読みます。お金の記録なら、簿記の入門の級がその例です。資格を取れば仕事が早くなる、とは約束できません。目指すのは、同じ言葉を調べ直す回数を1つずつ減らすことです。
出題の範囲に自分の言葉が見つからない時は、社内だけの言い方の場合があります。聞く人の欄へ回します。帰りが遅くて学ぶ時間がない時は、先に原因Cの手順で枠を決めます。
3つの道を、同じ表に並べる
| 道 | 原因 | 選ぶ線 | 線に届いていない時 |
|---|---|---|---|
| 現状維持 | C | 何時間分を何月何日まで受けるかを、数字で話していない | 文面と自分の案を送っても3つの欄がどれも空で、後任を募集する予定もないなら、転職の道へ |
| 資格 | B | 調べものが作業より長い仕事があり、止まるのは言葉か判断の基準 | 止まるのが置き場所や社内の手順なら、聞く人を決めてもらう(現状維持の道へ) |
| 転職 | A | 欄のある文面を送り、日付を入れた自分の案も送った。そのあとも3つの欄がどれも空で、後任を募集する予定もない | まだ数字を見せていないなら、先に表を見せる。文面を1回送っただけなら、自分の案を送る。欄が1つでも埋まったなら、空いた欄を聞き直す |
どれか1つが正解、という話ではありません。枠を決めたあとに調べものの長い仕事が残れば学ぶ道へ、枠が決まらなければ移る道へ進みます。書いた表は、後任が来た日にそのまま渡す資料になります。
道ごとに、今日は1つだけ
現状維持を選んだ人:表を3行書き、一言を写す
相手は、仕事を割り振った上司です。用件は、受ける枠と終わりの日です。順番は「表を書く」「合計を出す」「10分もらう」「文面を送る」です。今日は、回ってきた仕事を3行書き、回数と1回の時間を入れます。書けたら、原因Cの手順2の最初の例文をメモに写します。
資格を選んだ人:調べものの時間を、1件だけ計る
今日、引き継いだ仕事で調べものを始めた時刻と終えた時刻、調べた言葉を1行書きます。教材は、市販の入門書で足ります。
学ぶ言葉と範囲が決まったあとの学び方の1つに、オンラインの資格講座があります。スマートフォンやパソコンで学べます。
- 合う人:取る資格と試験の時期が決まっていて、すき間時間に通信講座で学ぶと決めた人
- 合わない人:学ぶ言葉をまだ決めていない人(先に、調べた時間を計ります)、市販の入門書で進められている人、いまは受講料を出せない人
- 負担:受講料がかかります。学習時間は自分で確保する必要があり、合格は保証されません
合う条件に当てはまり、負担も確かめた人は、次のボタンから講座の案内ページへ進めます。申込みの流れ、支払いの時期と方法、受講できる期限、解約や返金の決まりは、講座ごとに違います。申し込む前に、案内ページで確かめてください。
学ぶ言葉をまだ決めていない人と、いまは受講料を出せない人は、先に調べた時間を計り、入門書で始めてください。
転職を選んだ人:空いたままの欄を1つ、問いに直す
送った文面を開き、空いたままの欄を1つ選んで、応募先に聞く問いを1つ書きます。その下に、表から「聞ける人がいないまま回した仕事」を1行写します(例:請求書の発行を、聞ける人がいない状態で、4週に3.5時間)。問いは応募先に聞くこと、写した1行は応募先に伝えられる経験です。求人は、厚生労働省のハローワークインターネットサービスでも探せます。
上の手順は自分で進められます。問いの作り方をだれかと話して決めたい人には、国が委託して行う無料のキャリア相談があります。働いている人と仕事を探している人が対象で、対面とオンラインがあります。申込みが必要で、事前に用意する書類(ジョブ・カード)があります。全部書けていなくても申し込めます。仕事の紹介は行っていません(2026年10月31日確認。今後変わることがあります)。
出典(国の案内と様式)
- 厚生労働省 働き方改革特設サイト「時間外労働の上限規制」 2026年10月時点
- 厚生労働省「労働時間・休日」 2026年10月時点
- 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」相談窓口案内 2026年10月時点
- 厚生労働省「働く人の『こころの耳電話相談』利用規約」 2026年10月時点
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 2026年10月時点
- ハローワークインターネットサービス「求人申込書」(募集の理由の欄) 2026年10月時点
- 厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」 2026年10月時点
- 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」 2026年10月時点
- 厚生労働省委託事業 個人向けキャリアコンサルティングの案内 2026年10月時点
上限の時間や受付の方法は、今後変わることがあります。残業の扱いは、会社の協定や個別の事情で結論が変わります。使う前に、各ページで今の内容を確かめてください。