自分しか手順を知らない仕事があると、休んだ日にも連絡が来ます。これを変える方法は、手順を10行で書き、共有し、ほかの人に1回やってもらい、止まった所を直すことです。書くだけでは足りません。別の人の手で1回進んで初めて、その仕事は自分から離れます。
この記事では、その4つの段階を順に示します。目指すのは、自分がいなくてもその仕事が1回進むことです。読み終えると、当てはまる仕事を1つ選び、10行のうち最初の3行を今日書けます。
もくじ

自分にしか分からない仕事の見分け方
「君しかいないから」と頼まれる仕事のすべてが、引き継げないわけではありません。次の3つに当てはまるものから手を付けると、進めやすくなります。これはCareerPivotが整理した目印で、当てはまる数で何かを判定するものではありません。
| 目印 | 起きていること |
|---|---|
| 口頭だけで頼まれる | 依頼の記録が残らず、後から探せない |
| 期日が決まっていない | 「なるべく早く」で来るため、自分の予定のほうが動く |
| 終わったことを誰も知らない | 完了の合図がなく、次回も同じ形で自分に来る |
最初の1件は、短く終わる仕事を選びます。毎月や毎週くり返すものだと、後の段階で「別の人に1回やってもらう」機会がすぐ来ます。
段階1|10行の手順を書く
文章にせず、行に切って並べます。読む人は、その仕事を初めてやる人だと考えます。下の記入例は、説明用の架空の例です。
| 行 | 書くこと | 記入例(架空) |
|---|---|---|
| 1 | 仕事の名前 | 月次会議の議事録まとめ |
| 2 | いつ発生するか | 毎月の定例会議の当日 |
| 3 | 誰から依頼が来るか | 課長 |
| 4 | 最初にやること | 共有フォルダから前月分を開いて複製する |
| 5 | 次にやること | 決まったことだけを上の欄に移す |
| 6 | 迷いやすいところと決め方 | 保留の扱い。日付と担当を付けて下の欄に残す |
| 7 | どこに置き、誰に知らせるか | 共有フォルダに置き、参加者へ知らせる |
| 8 | 期限とかかる時間 | 会議の翌営業日まで。約40分 |
| 9 | 過去に問題が起きたところ | 発言内容の食い違い。発言者に確認してから載せる |
| 10 | 困ったときに聞く相手 | 前任の担当者(自分)。不在時は課長 |
うまく書けていなくてかまいません。半分しか埋まらなくても、次の段階に進めます。抜けている行は、ほかの人がやってみたときに見つかります。
気持ちや人への評価は書きません。パスワードなどの認証情報も手順書には書かず、社内で決められた方法で管理します。
段階2|見られる場所に置いて知らせる
自分だけが開くメモに置いても、状況は変わりません。チームの共有フォルダや社内の文書置き場など、ほかの人が探せる場所に置きます。共有の場所がない場合は、依頼してくる人に宛てた連絡の本文に貼ります。
置いたら、上司に一言知らせます。黙って置くと、手順書があること自体が知られないままになります。
知らせる文面の例
「月次会議の議事録まとめの手順を10行にして、共有フォルダに置きました。私が不在のときにも進められるようにしたいので、来月は一度ほかの方に試していただけないでしょうか。」
手順を外に出すと自分の出番がなくなるのでは、と不安になることがあります。ここでやっているのは、仕事を手放すことではなく、仕事に名前と手順を付けることです。手順を書いた人は、その仕事をいちばん説明できる人として残ります。
書いた10行を、職務経歴書に書ける実績にしたい人は、外でも伝わる実績に書き換える手順へ進んでください。同じ10行に、判断・相手・結果の3つを足します。
段階3|別の人に1回やってもらう
ここがいちばん大事な段階です。手順書は、書いた本人には分かるように書かれています。ほかの人が実際にやってみるまで、足りない行は見つかりません。
- 誰に頼むかは、上司に決めてもらいます。勝手に同僚へ仕事を回しません
- 頼むときは、「手順書の試し読み」として1回だけと伝えます
- やってもらっている間は、聞かれるまで口を出しません
- 聞かれたこと、手が止まった所をメモします
引き受けてくれる人がいない場合は、自分が手順書だけを見て、書いてあることしかやらないと決めて1回通します。頭の中の知識で補った所が、抜けている行です。
段階4|止まった箇所を直す
メモした所を手順書に反映します。止まり方によって、直し方が違います。
| 止まり方 | 直し方 |
|---|---|
| 物の場所が分からなかった | ファイル名や保存場所をそのまま書く |
| 判断に迷った | 決め方を1行足す。決められない場合に聞く相手も書く |
| 社内の呼び方が通じなかった | 一般的な言葉に言い換える |
| 権限がなくて進めなかった | 必要な権限を上司に伝え、付与するかどうかを決めてもらう |
別の人の手で1回最後まで進んだら、手順書を直して残します。同じやり方で、次の1件に進みます。
書いたのに誰も実行していない場合は、上司に、試す人と日を決めてもらうよう頼みます。「来月の定例のあと、どなたかに一度試していただけますか。日を決めていただけると助かります」のように、日付まで頼みます。
共有や引き継ぎを断られた場合、仕事が増える一方の場合は、依頼された日時と内容を記録に残します。
手順を渡しても仕事だけが増えるとき
引き継ぎを試しても、名前のない仕事が増え続けることがあります。その場合、足りないのは手順書ではありません。仕事の割り当て方そのものを、上司と話す段階です。
手順を渡しても「期待してるから」と仕事だけが増える人は、期待と給料を同じ表に書く方法で、この1年で増えた仕事と、給料・役職の変化を並べてください。上司に聞くのか、学ぶのか、会社を替えるのかは、その表を見てから決められます。
今日やることは、当てはまる仕事を1つ選び、10行のうち1行目から3行目までを書くことです。仕事の名前、いつ発生するか、誰から依頼が来るか。ここまで書ければ、残りの行は、実際にその仕事をするときに埋められます。
この記事の前提
- 3つの目印と4つの段階は、CareerPivotが整理した方法です。研究で確立された手法ではありません。
- 記入例と文面はすべて説明用の架空の例です。社内の情報共有や権限のルールは勤務先によって異なるため、自社の決まりを優先してください。