本文へ移動

職場での居場所

「大丈夫だよ」で軽くならない人へ。本番前の不安の扱い方は、場面によって違う

約4分で読めます

成功を思い描く準備と、心配な点に備える準備の二つのスタイル

励まされても落ち着かないのは性格の問題ではなく、不安への対処のしかたの違いです。自分の傾向を振り返る3つの問いと、場面に合わせた準備の選び方をまとめました。

大事な場面の前に不安を話すと、「大丈夫だよ」と励まされることが多いものです。それで気持ちが軽くなることもあれば、かえって落ち着かなくなることもあります。これは性格の強さや弱さの違いではなく、不安への対処のしかたの違いとして研究されてきました。そして、どちらの対処を取りやすいかは、人によっても、場面によっても変わります。

この記事では、本番前に自分に合う準備の方法を選ぶための手がかりを示します。人を2種類に分けるための記事ではありません。

この記事で渡すもの

  • 不安への対処のしかたについて、研究で分かっていること
  • 自分の傾向を振り返る3つの問い
  • 場面に合わせた準備の選び方
励ましと具体的な備えという二通りの相談場面

励ましが効く場面と、効かない場面がある

励まされて楽になるときは、よい結果を思い浮かべることで不安が下がり、落ち着いて本番に入れます。

励まされても楽にならないときは、起こりうる失敗が頭に残っていて、それに備えるまでは落ち着きません。「大丈夫」と言われると、まだ備えていないのに話が終わってしまうように感じます。

どちらの反応も、おかしなことではありません。

研究で分かっていること、分かっていないこと

心理学者のノレムとキャンターは1986年の論文で、起こりうる悪い結果をあらかじめ具体的に考え、それに備えることで不安に対処するやり方を「防衛的悲観主義」と呼びました。

この記事は、この研究を人を分類する根拠としては使いません。論文の対象は米国の大学生で、実験室での課題が使われています。職場のあらゆる場面に当てはまるとは限りません。

また、これは人を2つの型に固定するものではありません。同じ人でも、発表の前には失敗を想定して備え、人と会う前には楽観的に構える、ということがあります。

自分の傾向を振り返る3つの問い

眠れない、食欲がないといった状態が続いているときは、どちらの方法も準備として働きにくくなります。その場合は問いに答える前に、休養を優先し、必要なら医療機関や相談窓口を使ってください。

次の3つは、自分の傾向を振り返るための問いです。心理検査や診断の尺度ではありません。場面を1つ決めて(例えば、次の発表)、その場面について答えます。

問い 答え
本番の前に、うまくいく様子を想像すると 落ち着く / かえって落ち着かない
準備が終わったあと もう見返したくない / もう一度確かめたくなる
「大丈夫だよ」と言われると ほっとする / 根拠が気になる

左の答えが多い場面では、よい結果を思い浮かべる方法が合っている可能性があります。右の答えが多い場面では、失敗を想定して備える方法が合っている可能性があります。答えが混ざる場合や、場面によって変わる場合もよくあります。

場面ごとに、準備の方法を選ぶ

傾向 合いやすい準備 避けたほうがよいこと
よい結果を思い浮かべると落ち着く 準備を早めに終え、直前は休みます。うまくいった経験を思い出します 直前に、失敗の可能性を細かく話し合うこと
失敗を想定しないと落ち着かない 起こりうる失敗を書き出し、対処を決めておきます。時間を区切って行います 無理に楽観的に考えようとすること、備えを省くこと

失敗を書き出して備える方法が合う人は、不安を書き出して、準備するものを3〜5個に絞る手順をそのまま使ってください。

自分が人を励ます側になったときにも使えます。相手が不安を話してきたら、「大丈夫」と言う前に「何がいちばん気がかりですか」と聞いてみてください。相手が備えたいと思っている場合、その一言で話が具体的になります。

今日やること。次に控えている本番を1つ選び、3つの問いに答えてください。

よくある質問

自分の傾向は変えたほうがいいですか

無理に変える必要はありません。いまの方法でうまくいっているなら、それを続けてください。うまくいかない場面でだけ、別の方法を試せば足ります。

チームの中に、違う傾向の人がいます

懸念を出し合う時間と、直前の時間を分けると進めやすくなります。前日までに懸念を出して対処を決め、当日は確認だけにする、という分け方です。

出典・この記事の前提

  • Julie K. Norem, Nancy Cantor (1986) “Defensive pessimism: Harnessing anxiety as motivation” Journal of Personality and Social Psychology 51(6), 1208–1217. 対象は米国の大学生で、実験室での課題を用いた研究です。
  • 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」(2026年10月11日確認)
  • 3つの問いと準備の対応表は、CareerPivotが整理したセルフチェック用のものです。正式な心理尺度ではありません。