本文へ移動

友人とのつきあい

有給が二十日残る中堅。取れるか確かめて友人に送った旅行の日取り

約13分で読めます

有給と退職の日取りを確かめ友人へ旅行の日を連絡する社員

辞める前の旅行に誘われ、有給が取れるか分からないまま友人に日取りを送った入社七年目へ。退職日と有給の日を一本の線に置き、上司に聞く一問と答えごとの次の手を決めて、「この日で行ける」と送れるようにします。

この記事を読むと、退職日と有給の日を一本の線に置き、上司に聞く一問と、返ってきた答えごとの次の手を持って、友人に「この日で行ける」と日取りを送れるようになります。

友人には送った。上司には、まだ何も言っていない

入社七年目。期間の定めのない雇用で働いていて、有給が二十日残っています。辞めることは、もう自分の中で決めました。

そのことを友人に話したら、「辞める前に旅行に行こう」と誘われました。うれしくて、その場で友人に日取りを送りました。「この日からこの日まで、有給取れたら行こう」と。

けれど上司には、退職日も、有給の日も、まだ言っていません。友人に送った日取りは、「取れたら」のまま宙に浮いています。友人は、たぶんその日を空け始めています。

ここで困っているのは、有給の取り方ではありません。退職日と有給の日を決めていないので、友人に送った日が「約束」になっていない、ということです。

契約社員など、期間を決めて働いている人は、退職日の決まりが別です。下の線の⑤は、契約書を見て、分からなければ総合労働相談コーナーで聞いてから置いてください。

五つの日付を、一本の線に置く

今日から退職日までを一本の線にして、その上に五つの日付を置きます。日付が置ければ、上司に聞く一問が決まり、友人に送る文も決まります。

線の上の日付 書く欄 決め方
① 今日  月 日 書くだけ
② 退職届を出す日  月 日 就業規則の申し出の期間に合わせる。法律の最低線は、申し入れから2週間(民法627条1項)。就業規則が見つからなければ、労働局が常識的な長さの例として挙げる「1か月前」を、この記事では目安にする
③ 有給の初日  月 日 退職日から、使う有給の日数を労働日でさかのぼった日
④ 旅行の日  月 日〜 月 日 ③より後、⑤より前に置く
⑤ 退職日  月 日 自分で決める

有給は労働日で数えます。 二十日残っているなら、週5日勤務の人は、平日で四週間分です。土日や会社の休みは数に入りません。だから③は、⑤からカレンダーで二十日さかのぼった日ではなく、労働日で二十日さかのぼった日です。ここを間違えると、友人に送る日取りがずれます。

線の中に、引き継ぎの日を入れます。 ②と③の間に、引き継ぎをする期間を置いてください。労働局は、退職までの有給は使えるとしながら、引き継ぎなど必要な仕事を果たしていない場合は問題が起きることもある、と注意しています。線の上では、②のあとに「引き継ぎ資料を渡す日」を一つ足します。有給に入る前に、担当の仕事をどこまで誰に渡すかを決めておけば、一問を聞くときに、その分も一緒に言えます。

二十日という日数は、この記事の読者の例です。法律の最低ラインでは、勤続6年6か月以上の人に年20日がつきますが、自分の残り日数は、給与明細か勤怠の画面で確かめてください。

上司に聞く一問と、答えの仕分け

線に五つの日付が置けたら、上司に聞く一問が決まります。聞くのは、有給を「取ってもいいですか」ではありません。日付を先に言い、変えてほしい日があるかを聞きます。

文例です。

「○月○日を退職日にして、その前の○日から○日まで有給を取りたいと思っています。仕事の都合で変えてほしい日はありますか」

この一問には、退職日・有給の初日・有給の終わりの日の三つが入っています。上司の返事を、次の三つに仕分けます。返事ごとに、次の手が違います。

上司の答え 次の手
① 「分かった」「その日で進めて」 線のとおり進める。退職日と有給の日を書いた退職届を出し、友人に日取りを送る
② 「引き継ぎがあるから無理」「辞めるのに有給?」 退職前でも有給は取れること、会社の承諾は要らないことを確かめてから、もう一度、書面で伝える
③ そもそも、この一問が聞けない 自分が上司と向き合えない理由を見る。下の「一問が出ない人の、三つの問い」へ

②の答えが返ってきたときのために、決まりを一つだけ置いておきます(2026年10月時点の内容です。決まりは変わることがあるので、使う前に確かめてください)。

有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるのが原則です。会社が別の時季に変えられるのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」だけです(労働基準法39条5項)。労働局の説明では、有給に会社の承諾は要らず、時季の変更がない限り、退職するまでの間も使えます。さらに労働局は、退職日より後に時季を変えることはできないので、退職までに残りの有給を使う請求には、請求どおり与えなければならない、とも説明しています。

ただし、「残りを全部取れる」と、この記事では言い切りません。会社が仕事の実情を伝えて理解を求めることまでは否定されていませんし、引き継ぎをせずに有給に入ると問題が起きることもある、という注意もあります。だから線の中に引き継ぎの日を入れておく、という順番です。

友人に送る文の、前と後

友人に送った文は、今はこうなっているはずです。

前:「有給取れたら行こう」

これを、上司に聞く前に、一度だけ送り直します。

後:「上司に確かめてから日取りを送るね。○日までに返事する」

「取れたら」は、友人に判断を預けている文です。「○日までに返事する」は、返事の日を自分が決める文です。送る中身は一行ですが、友人に渡す日付が「空けておくか分からない日」から「返事が来る日」に変わります。○日には、上司に一問を聞く日の翌日を入れてください。

一問が出ない人の、三つの問い

ここからは、一問が聞けない人、聞いても進まない人のために、線のどこで止まっているかを分けます。線の上で三つに分けるのは、この記事での整理です。診断のための分け方ではありません。

問い 「はい」なら 「いいえ」なら
① 退職日と有給の日を、上司に自分の口で聞けるか 止まっていたのは、線に日付を置いていなかっただけかもしれない ②へ進まず、原因Bを読む
② 聞いて断られたら、どこに確かめればよいかを知っているか 断られても、線は消えない 原因Aの「止まりやすい所」を先に読む
③ 今の担当に、有給の時期と重なる区切り(決算、納品、締め)があるか 有給の初日をその区切りの翌日に置けば、一問が上司の都合と重ならない 区切りは気にせず、線のとおり置く

答えを並べると、線の上の止まった場所が見えます。

原因 線のどこで止まっているか
A 上司には聞ける。②〜⑤の日付を、線に置いていなかっただけ
B 日付は置けても、一問が口から出ない。前に有給を頼んだときに嫌味を言われた、上司の前では声が出ない。友人に先に日取りを送ったのは、上司に聞く代わりだった
C 有給は取りたいが、③有給の初日を置きたい場所に、担当の区切りが重なっている

線の上の止まった場所が分かれば、道は一つです。自分の原因の道だけを読んでください。

原因A:線を書いて、一問を聞いて、自分で出す

Aの人は、上司に聞けます。止まっていたのは、聞く中身が決まっていなかったからです。

線では、上の表の五つを埋めます。②退職届を出す日は、就業規則の申し出の期間に合わせます。期間の定めのない雇用では、申し入れから2週間で雇用が終わる、と民法627条1項が定めています。就業規則に「1か月前まで」のような常識的な長さの期間があるなら、それに合わせるほうが、もめにくいと労働局は説明しています。

一問は、線を見ながら言えるように、紙に書いて持っていきます。「○月○日を退職日にして、その前の○日から○日まで有給を取りたいと思っています。仕事の都合で変えてほしい日はありますか」。

退職届は、答えが①なら、その日のうちに書きます。退職日と、有給を使う日を書きます。口で言っただけだと、あとで「聞いていない」になることがあるので、書面で残します。

友人には、「この日で行ける」と、確定した日取りを送ります。

止まりやすいのは、「辞めるなら有給は取らせない」と言われる場面です。有給は、退職までの間も使える権利で、会社の承諾は要りません。会社が時季を変えられるのは事業の正常な運営を妨げる場合だけで、退職日より後に変える余地はない、と労働局は説明しています。その場で言い返す必要はありません。労働基準監督署か総合労働相談コーナーで、自分の線を見せて確かめてから、退職日と有給の日を書いた書面を、もう一度出します。総合労働相談コーナーは無料で、予約は要りません。労働基準監督署は、法律に反する扱いを正させるところで、有給を取らせないという扱いはそこが受け持ちます。

今日やるのは、線に五つの日付を書くところまでです。上司には明日以降でかまいません。

頼めるのは一問を代わりに言うことまで

原因Bの道は、一問を自分の口で言わずに済ませる道です。その前に、代わりに言ってもらえる範囲を、線の上で確かめておきます。

弁護士でない退職代行にできるのは、本人が決めた退職の意思を会社に伝えることまでです。この記事の線でいえば、「⑤の日に退職し、③の日から有給を使う」と会社に伝えるところまで。会社が「その日は困る、別の日にしてほしい」と有給の時季を変えると言ってきたとき、その話し合いを代わりにすることは、弁護士でない事業者にはできません。弁護士でない人が報酬を受けて法律の事務を扱うことは弁護士法72条で禁じられていて、弁護士会や労働委員会も、この点に注意するよう呼びかけています。

自分で伝える道との違いは、一問を自分の口で言わずに済むこと、ここだけです。答えが「困る」だったとき動くのは、自分です。

頼んだあとも、線の上には自分の仕事が四つ残ります。

  • 会社が別の日を言ってきたときの返事。相談先に聞いてから、自分で返します。
  • 離職票と源泉徴収票の受け取り。離職票は、会社が手続きをしない場合でも、ハローワークに申し出れば本人の請求で手続きが進みます。源泉徴収票は、退職後1月が出す期限とされています。
  • 健康保険と年金の切り替え。任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険と国民年金は14日以内に手続きします(2026年10月時点)。家族の扶養に入るなら、家族の勤め先を通します。旅行から戻る日より前に期限が来ないかを、線の⑤の横に書いておきます。
  • 旅行中に会社から電話が来たときの対応。代行は「本人への連絡は控えてほしい」と伝えることはできますが、それは頼みごとで、会社を縛る決まりではありません。電話が来ないとは言えないので、出るか、戻ってから書面で返すかを、旅行に出る前に決めておきます。

調べて見た額を、ここに書いておいてください。(    円)。この額で頼めるのは、線の日付を代わりに伝えてもらうことです。自分で一問を聞く道なら、この額はかかりません。自分で伝えるのが基本の道で、代行は一問がどうしても口から出ない人のための道です。

代行を使わない場合は、一問をそのまま書面にして出します。「○月○日を退職日とし、○日から○日まで年次有給休暇を取得します。仕事の都合で変えてほしい日があれば○日までにお知らせください」。この退職届を、上司ではなく人事や総務に出す方法もあります。退職の意思は会社に届いたときに効き目が出るので、渡す相手が上司でなくてもかまいません。

原因B:線を埋めてから、一問を代行に渡す

Bの人は、前に有給を頼んだときに嫌味を言われています。上司の前では声が出ません。友人に先に日取りを送ったのは、上司に聞く代わりでした。

線では、頼む前に四つを決めます。退職日。有給の初日と日数。引き継ぎ資料をどこに残すか(共有の場所に置くのか、誰かに渡すのか)。私物をいつ持ち帰るか。この四つは、代行が会社に伝える中身になるので、自分で決めます。代行は決めてくれません。上の線の表を、ここで埋めてください。

一問は、代行が会社に伝えます。「⑤の日に退職し、③の日から有給を使う」という意思です。ここが、代行に頼む部分です。

頼んだあとに線の上に残る四つの仕事は、上の「頼めるのは一問を代わりに言うことまで」に並べたとおりです。旅行の日が④にあるので、四つ目の電話の対応は、頼む日に決めておきます。

友人には、会社の返事を聞いてから日取りを送ります。

止まりやすいのは、会社が「その日は困る」と、有給の時季を変えてくる場面です。代行は、この話し合いができません。退職日より後に有給を動かす余地はないので、退職前の有給は通常は認められる、というのが労働局の説明です。けれど「通常は」です。ここで動くのは本人で、労働基準監督署に線を見せて相談してから、「○日から○日まで年次有給休暇を取得します」と書面で返事をします。

今日やるのは、有給の残り日数を、給与明細か勤怠の画面で確かめるところまでです。頼む前に決める四つのうち、ここが一番先に要ります。

原因C:区切りの翌日まで残り、③をそこに置く

Cの人は、有給を取りたい気持ちは固いけれど、今の担当に決算や納品の区切りがあり、それが有給の時期と重なっています。区切りと重なったままでは、一問に「変えてほしい日」が返ってきやすい人です。

残る期限は、区切りの日です。決算なら締めの日、納品なら納める日。その日までは残ります。

線では、③有給の初日を、区切りの翌日に置きます。そこから労働日で有給の日数を足した日が、⑤退職日になります。

一問は、区切りの翌日を初日にした日付で聞きます。上司の都合と重ならない日を、先に自分で選んである一問です。

退職届は、今出します。退職日が区切りの先にあるからといって、出すのを待ちません。区切りまで残るのは、この書面を出したうえでの「残る」です。出さないまま残ると、区切りが来ても次の区切りが見えてきて、線が延びることがあります。

友人には、「この日から後なら行ける」と、有給の初日より後の範囲を送ります。日取りは、上司の答えを聞いてから確定します。

止まりやすいのは、区切りが延びる場面です。納品が一週間ずれた、決算の締めが遅れた。ここで有給の初日をずらすと、友人との日取りも退職日もずれます。だから、退職届を出すときに、上司に先に言っておきます。「区切りが延びても、有給の初日は○日のまま動かしません」。そのうえで、旅行は有給の後半に置きます。前半が区切りの残りで削られても、後半は残ります。

今日やるのは、区切りの日を線の上に書くところまでです。今の予定表に書いてある区切りの日を、線に移します。

どの道からでも、友人に送る文は一つ

原因が一つに決まらなかった人は、線のどこで手が止まるかで選んでください。

②〜⑤の日付が書けて、一問も口に出せそうなら、Aです。最初の一手は、線に五つの日付を書くこと。

日付は書けるのに、一問を思い浮かべると声が出ない。前に頼んだときの言葉が残っている。それならBです。最初の一手は、有給の残り日数を確かめること。Bを選んでも、線は自分で埋めます。

一問は聞けるけれど、③を置きたい場所に区切りがある。それならCで、期限は区切りの日です。最初の一手は、区切りの日を線に書くこと。Cを選んでも、退職届は今出します。

三つのどれを選んでも、線に五つの日付を置くことから始まり、友人に送る一行に着きます。

上司の答えを聞いた夜に

Aの人は、一問を聞いた日の夜。Bの人は、代行が会社に伝えて、会社の返事を聞いた日の夜。Cの人は、区切りの日を線に書き、退職届を出して、上司の答えを聞いた日の夜。

その夜に、友人に送る文は、どの道からでも同じです。

「この日で行ける」

「取れたら」と送った日取りが、確定した日取りになって、同じ友人に届きます。線に置いた五つの日付のうち、④旅行の日が、ここで初めて約束になります。